新世代の英国。 | ELEMENTS OF STYLE

新世代の英国。

英国スタイルと言うとサヴィルローやジャーミンストリートのような、
昔ながらの英国のクラシックスタイルを連想される方もいらっしゃると思います。
若い世代の人達は、それ自体良く分からないという方も多いのではないでしょうか。

私は90年代に英国のクラシックなスタイルや
ビスポーク スタイルのトレンドを経験しているので、
英国スタイルと言うとサヴィルローやジャーミンストリートの老舗で見られるような
典型的な英国のクラシックスタイルか、
RICHARD JAMESOZWALD BOTENG のような、
当時ニューテーラーと呼ばれたデザイナー達による、
クラシックなビスポークスタイルに捻りを加えたようなスタイルがイメージです。

しかし、さすがに変化が無いと言われた英国のスタイルも
世代が変わり、最近は少し変化が見られるようになってきました。

今日は、そんな新しい世代の英国スタイルについて触れたいと思います。




このブログをご覧の方は多分ほとんどの方が知っていると思われる
英国を代表するネクタイブランドの ”DRAKE’S”

左がデザイナーの MICHEAL HILL
右は最も若いスタッフです。



二人が着ているスーツやジャケットは英国製ではなく、
イタリアのあるブランドのモノです。

モデルも最近主流の肩パッドのないソフトなコンストラクションのモデル。
マイケルのパンツのシルエットもスリムなシルエットで
裾幅も細く、丈の長さもイタリア人のスタイルと変わりません。

右のスタッフも色落ちしたデニムのファイブポケットをロールアップして
かなり短めの丈で穿いています。

そして、二人が履いている靴は ”ALDEN”
マイケルの着ているダウンベストはハリスツイードですが、
”BEAMS PLUS のオリジナル”です。

彼らのスタイルはアメリカ的でもあり、最近のイタリアのトレンドでもある、
テーラードとカジュアルをミックスしたスタイルであるとも言えます。

因みに、今回のPITTIのトレンドのひとつが、
”テーラードとスポーツウェアの融合” ですので、
マイケルのスタイルも次シーズンのトレンドであると言えます。



ブランド自体のアイテムのバリエーションも広がりました。

  

シャツは英国の ”CLEEVE OF LONDON” 製のダブルネーム。
ボディーも時代性に合わせてスリムなシルエットになっています。
生地の色柄はイタリアのブランドとあまり変わりません。
ワイドスプレッドの襟型はイタリア製のシャツと変わらず、
ボタンダウンもクラシックなアメリカの襟型と変わりません。
もちろん、シャンブレーやデニムのシャツも展開しています。



コーディネートも以前とはずいぶん変わりました。

  
  
 
ジャケットの色柄やチェンジポケットのディティールこそ英国的ですが、
ジャケットは軽い仕立てのイタリア製、
ボタンダウンの襟のボタンを外すテクニックは、
イタリア人がよく使うテクニックです。

チャールズ皇太子のようなスタイルが好きな人には
怒られそうなコーディネートですね。(笑)



ロンドンのショップを見ても
確実に若い世代のスタイルは変わってきています。
以前はほとんど無かったイタリアやアメリカのブランドを扱う
セレクトショップや老舗のデパートも増え、
実際にそれらのブランドはかなり人気もあり
年々売上げを伸ばしているそうです。

そして、英国王室の王子二人も英国ブランドだけではなく、
我々が知っているようなイタリアのブランドの服や靴も
実際に身に着けているそうです。

因みに、ウイリアム王子がロイヤルウェディングで着たこのシャツ。

 

イタリアのあるカミチェリアでオーダーしたシャツだそうです。
もちろん、そのカミチェリアの既製品はBEAMSでも展開しています。
どこのシャツかは言えません。(笑)



私が英国の製品をメインにバイイングしていた頃は、
英国人もプライドが高く、なかなか他の国の製品を認めないような風潮がありました。

一方、イタリア人は英国のブランドへの憧憬が深く、
当時イタリアの高級セレクトショップへ行くと
必ず英国ブランドが置いてあり、
イタリアのブランドがメインでありながらも
英国ブランドを置いてあることが、
その店のステイタスを上げるような時代でした。

そして、英国のブランドを買収することも、
イタリア人にとってはとても名誉なことであることは言うまでもありません。

シャツ生地のDAVID JOHN ANDERSONTHOMAS MAISON、
ニットのBALLANTAYNEDRUMOHR
シューズブランドのCHURCH’S などがその一例で、
元々は英国を代表するブランドでしたが、
今はイタリアの企業がオーナーになっていて、
イタリア生産になっているブランドも多くなっています。



このような時代背景を経て、英国のファッション業界も新しい世代に変わり、
時代性をどんどん取り入れようという流れになってきています。
古き良きものは大切にしながらも、新しいモノもどんどん取り入れて、
新しい世代の英国スタイルを作り上げて行こうという印象を強く感じます。

それは、イタリアも同じ。
ここ数年は ”全身イタリアン”  みたいなスタイルは古くなり、
コーディネートのどこかに英国やアメリカ的なテイストを入れたスタイルが
新しいとされています。

そして、このような英国やイタリアの流れは、
個人的にも良い流れであると思っています。
ファッションやスタイルを国という枠で捉えることが、
個人的には少し古いと感じていました。

では、何故これだけイタリアのブランドがもてはやされているのか。
これに関しては深くて長い話になるので、
また別のの機会に。






B.R.CHANNEL 再登場しました。

 

今回のテーマは、”ナポリ服の魅力” についてです。

”ナポリの服は男の体をセクシーに見せる”  とコメントしていますが、

私が着ても全くセクシーにはなりません。(笑)

是非ご覧ください。


B.R.CHANNNEL
http://www.bronline.jp/feature_entry/?entry=134