PITTI UOMO SNAP by BEAMS 3 | ELEMENTS OF STYLE

PITTI UOMO SNAP by BEAMS 3

国内の展示会も終盤です。


話題の新しいブランドもあれば、

今まで展開していたブランドがパワーダウンしていたり、

無名のブランドで掘り出し物があったりと、

コレクションの良し悪しも様々。


見た目が良くても実際に試着してみるとサイズバランスが悪く、

修正サンプルを上げて確認をしないとオーダーできないものや、

生地のコレクションやカラーバリエーションに追加要望を出したりと、

なかなか一回ですんなりとオーダーできるものは少なく、

同じ展示会へ何回も行くケースも多いです。


おそらく、お取引様にとってはBEAMSは面倒な奴らですね。(笑)

でも、ヨーロッパのサプライヤーが提案するものが全て正しいわけではありませんから、

しっかりモノを見極めてオーダーしなければなりません。


前回に続き、” PITTI UOMO SNAP by BEAMS 3” です。






ブラウンのダブルブレストのスーツは、

よく見るとガンクラブ調のチェックです。

ベストも同じ生地でダブルブレストのスリーピースです。

今回のPITTIでは3ピースも多くみられましたが、

シングルブレストの場合はダブルのベストが付いているなど、

オーソドックスな3ピースではなく、

趣味性の強い3ピースが多くみられました。

ネクタイは明るい色のプリントタイですが、

この辺は今年の春夏のトレンドの継続です。






前回も登場したZANBALDO氏。

この日はベージュのコーデュロイスーツに

ブラウンのタートルネック、

コートはジャガードのダブルブレストでメタルボタンが付いています。

足元は REDWINGのIrish Setter 。

一見スーツにワークブーツはミスマッチに思えますが、

彼のコーディネートは、まったく違和感を感じさせません。







TAGLIATORE の PINO LERARIO氏
もちろん全身TAGLIATOREです。

3ピーススーツはミディアムグレーにボルドーのウインドウペン。

ブラウンのダブルブレストのコートはやはりメタルボタンです。

大判のストールにデカバッグと、

アクセサリーやバッグもしっかりトレンドを押さえています。

TAGLIATOREは今回PITTIに初出展でしたが、

ブースは連日多くの人で賑わっていて、

勢いを感じるブランドです。






ブルーにグリーンのウインドウペンという、

一見ジャケットのような生地のスーツ。

このような生地の場合は、この人のように、

ポケットを敢えてパッチポケットにするのもいいですね。

ノータイのスーツスタイルは、ただネクタイを外すのではなく、

ノータイのためのディティールやコーディネートがあると思います。

この人のスーツスタイルがまさにそれだと思います。





ジャケットにタイドアップしてデニムのファイブポケット。

コートはツイードのダブルブレストです。

雰囲気はすごくいいですが、デニムの丈の長さと、

ドレッシーなシューズのマッチングが惜しい感じです。

最近、またタイドアップにデニムのファイブポケットというスタイルの人が増えています。

日本人は似合う人が限られますが、

イタリア人は似合う人が多いです。

残念ながら私は全く似合いません。(笑)






この方もジャケットにタイドアップでデニムスタイル。

色のトーンもライトグレーを挿し色に使い

上手くまとまっていますが、小奇麗にまとまりすぎて、

デニムをコーディネートしているにも関わらず

かたい印象に見えてしまいます。

タイドアップにデニムを合わせる場合は、

抜け感がないと逆効果になってしまうことがあるので、

こなれた感じを出すのが実は難しいです。








3ピーススーツのジャケットをネイビージャケットに替えたようなコーディネート。

この人はあるニットブランドのデザイナーですが、

数年前は、このスタイルにネイビージャケットではなく、

ショールカラーのニットを羽織っていました。

その当時から彼の着こなしには注目していました。

クレリックのシャツの襟型やクラシックな配色のレジメンタルタイも

計算されたコーディネートだと思います。







後染めのネイビージャケットにネイビーのタートルとパンツ。

全身ネイビーのコーディネートですが、

それぞれのアイテムのトーンが微妙に違うので違和感がありません。

PITTIでは、こんな感じのコーディネートの人をよく見かけますが、

何も考えていないのか、計算されたコーディネートなのか、

いまだに謎です。(笑)

一つ言えることは、なぜかサマになっていること。

ブルー好きのイタリア人の成せる技なのでしょうか。








カラフルな色を身につけた人が減っていた今回のPITTI UOMO。

色物であってもトーンを落としたカラーが多かったので、

これだけ明るい色を挿し色に使っていると逆に目立ちます。

二人ともタートルですが、左の人はブルーをボルドーやパープルやピンク、

右の人はライムグリーンを抹茶のようなグリーンに変えると、

来秋冬っぽいカラーコーディネートになると思います。





3回連続で1月のPITTI UOMOのスナップをお見せしました。

ブログを書きながら何百枚もあるスナップを見ていると、

自分も来年の秋冬の傾向を改めて確認することができ、

来秋冬のディレクションの参考にもなりました。

ただ、日本のドレスクロージングは、

PITTI UOMOで見られるような傾向だけではなく、

モード的なトレンドやカジュアルのトレンドも影響を受けるマーケットなので、

その流れも見ながら、BEAMSとして取り入れるものと取り入れないものを

判断してディレクションしていかなくてはなりません。


私はあまり直感的に物事を判断するタイプではありません。

じっくり色々なモノを見て、色々な話を聞いて判断するので、

クリエイティブディレクターとしてはダメなタイプかもしれません。(笑)

でも、結果的にお客様がBEAMSの品揃えに共感していただければ、

それは、時間をかけただけの甲斐があるといつも思っています。


不器用なタイプですが、これからも宜しくお願いします。


次回からは春物を少しづつご紹介していきたいと思います。