JACKET IN THE BOX
MEN’S EX 11月号が発売されました。
今回は連載以外にBELVESTの代表的なモデル、
”JACKET IN THE BOX” の魅力に関してコメントしています。
ジャケット イン ザ ボックスは今から10数年前、
ベルベストが初めてこのモデルをコレクションに加えた時から展開している
BEAMSにとってはベルベストの定番モデルです。
今でこそイタリアのほとんどのスーツブランドやファクトリーが
”センツァ インテルノ” と言われるこのタイプのジャケットを展開していますが、
元々はナポリのテーラーが芯地や肩バッドなどの副資材を一切使わず、
縫製とアイロンワークだけテーラードジャケットのように構築的に見えるジャケットを
仕立てたのが始まりで、その後、既製服でもハンドテーラーリングで高い技術を誇るKITONが、
ナポリのテーラーが作るのと同等なレベルのセンツァ インテルノのジャケットを既製服として
世に送り出したことで、多くのブランドが ”軽く柔らかいカーディガンのようなジャケット”
を開発するようになり、現在に至ります。
ベルベストは、その中でもいち早くセンツァインテルノのジャケットの開発に取り組み、
”JACKET IN THE BOX” という名で、文字通り ”畳んで箱の中に入る”
軽くて柔らかいジャケットを開発しました。
このジャケット イン ザ ボックスの素晴らしさは、軽さと柔らかさです。
それはイタリアの他のブランドのセンツァインテルノのジャケットと比べても群を抜いています。
その理由の一つがこんなところにあります。
前身頃の裏の見返し部分からフロントの内側を見ると、
テーラーで仕立てるセンツァインテルノと同じく
芯地も何も入ってなく、表地と見返しの生地だけで縫製しています。
因みに、皆さんも良く知っているイタリアの多くのブランドのセンツァインテルノは、
このように接着芯を使って生地を安定させてから縫製するケースが多いです。
現在は多くのイタリアブランドがこの手法を使ってセンツァインテルノのジャケットを
縫製していますが、現在の接着芯は品質も高く、数十年前の接着芯のように経年変化で剥離したり
生地が固くなることは無く、芯地を使わないジャケットの品質を安定させる為にも
必要な副資材であるので、接着芯を使っているから品質が悪いとは一概には言えません。
しかし、それでも接着芯を使わないでセンツァインテルノのジャケットを縫製するには
縫製するときに細心の注意が必要で、ナポリのハンドテーラードのファクトリーならともかく、
ベルベストのような、ある意味量産型のファクトリーが、柔らかく繊細な生地を使って
これを行うのは困難な部分も多いと予想できます。
また、接着芯を使わないことによる裾周りの柔らかさは、着用した時の流れるような裾の動きが、
なんとも言えないエレガントな表情を生みます。
胸や肩には毛芯を入れてありますが、それも毛芯の中では最も薄く柔らかい毛芯を使っているので、
着用した際は全く重さを感じず、肩のラインや胸のボリュームは通常のテーラーどジャケットの
ような綺麗なラインをだしています。
最近はイタリア製のジャケットでも10万円以下で買えるものも多く、
それに比べれば10万円以上するベルベストのジャケット イン ザ ボックスは
高いと感じられている方もいらっしゃると思いますが、
外見では分からない、テーラードの高い技術で作られていることを考えれば、
このジャケットが15万円程度で買えるというのは、バリューがあると思います。
ベルベストに関しての薀蓄はもっとあるのですが、語れば語り尽くせない程長くなるので(笑)
また別の機会にアップできればと思います。
ベルべストのジャケット イン ザ ボックスをご試着したことがない方は、
是非一度ご試着いただき、他のブランドのジャケットと着比べてみてください。
”着る人をエレガントに見せる” ジャケット イン ザ ボックスはそんなジャケットです。
私の連載 ”中村達也の今、買のアイテム”
今回はストライプシャツです。
文中の中で 「僕もどんどん着るつもりなので」 と書いてありますが・・・
本当に着ています(笑)。
私も今シーズンは積極的にストライプシャツをスーツコーディネートに
取り入れようと思っています。
是非連載ページをご覧になってください。