90年代のロンドン | ELEMENTS OF STYLE

90年代のロンドン

 

このところ締め切りのある仕事に追われ、社内の行事も多いためなかなかブログの更新ができません。

 

私も皆さんと同じく、せわしない年末を迎えています。


 

私がバイイングで海外出張に行くようになってから約20年経ちますが、初めて海外出張に行った時から海外のショップのディスプレイ写真を撮り続けています。


 

当時は当然カメラもフィルムだったので、今のように多くの写真は撮れませんでしたが、それでも各都市でチェックしなければならないショップのディスプレイは毎回必ず撮っていました。


 

今回は、90年代にロンドンで撮ったショップディスプレイの写真をお見せしたいと思います。


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1992年、ロンドンのジャーミンストリートにあるTURNBULL&ASSER のディスプレイです。
 

 

基本的には今も変わらないディスプレイです。
 

 

シャツの袖をクシャクシャにしたり、ネクタイを波打ったように曲げるディスプレイテクニックは、当時BEAMSでも真似たものです。
 

 

90年代の英国と言えば、右のようなマルチストライプやオルターネートストライプのシャツが多く、これに綺麗な色のネクタイを合わすコーディネートが新鮮に感じた時代でした。


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1998年、ロンドン サビルローのKILGOUR FRENCH&STANBURYのディスプレイ。
 

 

左はチョークストライプのダブルブレストにホワイトのダブルカフスのワイドスプレッド、サテンのシルバータイ。
 

 

右はライトグレーの2Bスラントポケットのスリーピースにホワイトのダブルカフスワイド、タイはネービー×ホワイトのドットです。


 

どちらも英国らしいエレガントでシンプルなコーディネートですが、今でも通用するコーディネートです。

 

 

この後、このキルガーフレンチ&スタンバリーは全面改装して、モダンなショップ(テーラー)になり、BEAMSでも展開していた、KILGOURという既製服のブランドを立ち上げて新しいイメージを確立します。


 

 

 

 

1996年、 ロンドンのピカでリーにあるCORDINGSのディスプレイです。


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コーディングスは、英国のトラディショナルなスポーツウェアからスーツまで揃うショップです。

 

 

バブアーやマッキントッシュ、グレンフェルなど、当時日本で人気のあった英国ブランドが最も多く扱われていたショップでした。


 

当時はブリティッシュスタイルがトレンドだったので、PITTI UOMOにも出展していてブラウンのモールスキンのパンツが大人気でした。
 

 

当時のイタリアのセレクトショップは英国ブランドの品揃えが今よりかなり多く、高級なショップには必ず英国の有名ブランドが品揃えされていました。

 

 

英国ブランドを展開することが、ある意味ショップのプレステージを上げる要因になっていたのですが、当時の日本ではあまり知られていませんでした。


コーディングスは今も当時と同じピカデリーありますが、最近はリサーチしていないので現在の品揃えは分かりません。

 

 

当時BEAMSでも展開していたので私がバイイングしていました。


 

 

 

 

1993年ロンドンのジャーミンストリートにあるビスポークシューメーカー FOSTER&SONのディスプレイです。


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当時も今もウインドウに飾ってある靴は基本的にビスポークのサンプルです。
 

 

当時はビスポークシューメーカーのディスプレイをチェックして、レディーメードの参考にしたものでした。


 

上の画像はライトブラウンやタンのカーフを使った靴が多くディスプレイされていますが、当時イタリアを中心にレディーメイドではこういった明るいブラウンの靴が人気でした。


 

 

 

 

1996年、 ロンドンのサビルローの ANDERSON&SHEPPARD のディスプレイです


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アンダーソン&シェパードは、当時から綺麗な色や柄の生地がディスプレイされていて、この写真も見たことが無いような綺麗なツイードの生地に眼を引かれ撮った写真です。


 

店内にはビンテージも含め、他のテーラーとは比較にならない程多くの生地がストックされていて、それぞれの生地にビスポークした人の名前が書かれていました。


 

当然見たこともないような生地も多く、アンダーソン&シェパードのセルべージが付いた生地以外は交渉すれば生地だけでも買うことができました。


 

私もどうしても欲しい生地があって値段を聞いたことがありましたが、とんでもなく高くて諦めた覚えがあります。


 

その後、知人がこの店で買った生地を譲っもらい、日本の工房で作ったスーツは今でも大切にしています。


 

 

 

 

 

1996年、ロンドンのスローン ストリートにあるHACKETTのディスプレイ。


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当時サビルローやジャーミンストリートの老舗ショップばかり見ていた私にとって、英国のクラシックスタイルを継承しつつ、若い感覚の色柄やアイテムを展開していたハケットは非常に新鮮でした。


 

特にこのスローン ストリートにあるショップは、当時ロンドンで最大級のショップで ”スローン レンジャー” と呼ばれていた、この地区に住む上流階級のご用達ショップでした。


 

そして、私が当時のハケットの印象が強く残っているのは、こんなエピソードがあるからです。

 

 

80年代から90年代中頃まで、ヨーロッパ最大の展示会は PITTI UOMO ではなく、パリで開催されていたSHEM(セム)という展示会でした。


 

当時、私が宿泊していたホテルが、パリのモンパルナスのNOVANOXという、フィリップスタルクがデザインしたプチホテルでした。

 

 

そのホテルを定宿としていたのが、ジェレミー ハケットと当時彼のパートナーであったロイド ジェニングスでした。


 

私は当然彼らを知っていましたが、ある日朝食を食べていると、ロイド ジェニングスが私の履いていた POULSEN SKONE の靴を見て、「どこの靴?」 と尋ねてきました。
 

 

私がポールセーンスコーンだと言うと彼らも興味を持ったようで、私たちの素性を聞いてきたので名刺交換をしました。

 

 

彼らは当時からBEAMSを知っていたので、それから展示会で会う度に挨拶を交わすようになりました。


 

当時の彼らのイメージは、ジェレミー ハケットは少し気難しい印象で、ロイド ジェニングスはフランクで温和な感じの人でした。


 

その後、ハケットはジャーミンストリートの老舗が撤退する中、ジャーミンストリートにショップをオープンさせ現在に至ります。



 

 

 

そして90年代のロンドンと言えば、NEW TAILORと呼ばれた新世代のテーラーの出現でした。
 

 

RICHARD JAMES・OZWALD BOTENG・MARK PAWELL・TIMOTHY EVEREST・JOHN PEARSE といった、新しい世代のテーラー達が伝統に縛られない新しい感覚のビスポークテーラーを開き、レディーメイドも展開したことで当時話題でした。


 

イタリアン クラシックが流行し始めるのと同じくらいのタイミングだったので、当時のファッション誌もこの二つのクラシックスタイルを同時に紹介していましたが、結果的にはその後世界的にイタリアン クラシックが全盛となり、日本でも所謂 ”クラシコイタリア ブーム” が起き現在に至ります。



 

 

 

当時の写真はかなりの枚数があり、英国好きの人達にとっては興味をそそる写真も多くあるので、また別の機会にアップしたいと

思います。


 

次回は同じく、90年代のイタリアのディスプレイを紹介したいと思います。







 

 

 

 

 

先日またオトナのスニーカーを買ってしまいました。


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ADIDAS GAZZELEのグレーです。

 

今シーズンのシーズンカラーのようで、以前購入したブルーに続き2足目です。


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平日はレザーシューズしか履いていないので、スニーカーはほぼ休日しか履きませんが、アディダスだけで6足、これ以外にディアドラやニューバランスやコンバース、スペルがなども持っているので、我ながらいつ履くのだろうと思ってしまいます。


今の悩みは収納です(笑)。