使用禁止
病室にNさんの主治医U先生がやってきた
。Nさんの病状は今ひとつ落ち着いていないようで、十二指腸の穴もまだふさがっていないようだった
。(Nさんは手術せずに内科的に治療していた。)
U先生は機械をいじったりチューブを見たり、色々やっていたのだが、後ろを振り向いた。
と、突然、私の横の空きベッドを指差して、私に聞いてきた。
「このベッド、なんで使用禁止なの?
」
ベッドには「使用禁止」と書かれた紙が貼り付けてあった。
(スタッフでもないのに、そんなこと知るか!)
「さぁ?
」
すると、こんどはNさんの処置で忙しく動き回っていた看護師さんのSさんに向かって聞いた。
「ねぇ、ねぇ、なんで使用禁止なの?
」
「知りませんよ!キャスターが壊れているかなんかじゃないですかっ!
」
Sさん、ちょっとイライラしながら冷たく応えた。
「ふ~ん
」
U先生、納得したのか去って行った。
U先生は、ちょっと天然系
だった。
私の退院後の話で、あとでNさんから聞いた話だが、Nさんが食欲が出てたのに、まだ食事
できなかった時、U先生がNさんのところに来て言った。
「ボクねぇ、昨日、こんな厚いステーキ食べたんですよ!おいしかったですよ!
」
U先生の親指と人差し指の間は2センチくらい開いていたそうだ。
Nさん、口では「はい、そうですか
」って言いながら、
さすがに「コノヤロー
」って思ったそうです。
ストレスで十二指腸に穴を開けたのに、余計にストレスが掛かるっ
てもんじゃぁありませんか!
まぁ、Nさんも無事穴がふさがって退院し、その後も快調でよく呑んでいる
らしいからいいけどね
。