シャワー
事故からかれこれ3週間、一度もお風呂
に入っていない。毎日身体を拭いているものの、やはりお風呂
に入りたい。せめてシャワー
だけでも浴びたい。そんな欲求がだんだん強くなっていった。
トイレにはウォッシュレットがついており、こちらはよいのだが、いくらなんでも3週間は長い。上半身はゴシゴシこすれるが、赤紫色に腫れあがって熱をもっていた腿(受傷部は脛だが・・・とにかく足先から付け根まで見事に腫れ上がっていた!)は強くこすれず、白い膜が張ったようになっていた
。ひざから下は洗ってもらうこともあったので、それほど気にならなかったが、気持ち悪い。なんとかきれいにしたい。それで
作戦を実行した
。
比較的発言権のある看護師さんが病室に来たときを狙って、まだ歩けない同室の患者とトイレ
の話をしたのである。
「ここのトイレ
にはウォッシュレットがついてるよ。お風呂に入れないから、いいよ。でも、やっぱりお風呂
には入りたいよね。あのウォッシュレットを見てると、あれで全身、洗ってやろうかっ
ていう衝動にかられるよ。」
看護師さんが振り返った。
(しめたっ!)
「シャワー浴びる?」
「うんっ!」
めでたくシャワーが浴びられることとなった。
救急救命センター
には患者が自分で入れる浴槽がない。浴槽はあるのだが、火傷治療用の薬を入れた消毒用の浴槽しかないのである。
浴室の奥にあるシャワーの前で、椅子に座り、タオルに石鹸をつけて身体をこすった
。気持ちいい
。死ななかったが、生き返った気分だ。シャワーを掛けると、おぞましい光景が目に入った
。つけた石鹸の量から考えると、どう考えても石鹸カスではない白いカスが排水溝に一杯なのである。タオルを洗い、もう一度石鹸をつけて身体をこすり
、シャワーを掛けた。汚れがひどい場合は二度洗いに限る
!やはり排水溝に白いカスがたっぷり溜まった
。さすがにこれではひんしゅくをかう。とはいえ、掃除できるほど動けない
。仕方がないから、しばらく水を流し続け、白いカスが流れるのを確認して一安心した
。
病室に戻ってドライヤーを掛けると、本当にすっきり
した気分になれた
。入浴というのは人間をリラックスさせてくれるものである。