病室模様 | 救急救命センター潜入レポート

病室模様

 ある日の午後、面会時間、同室のSさんのご兄妹が面会に来られていた。

 Sさんも交通事故で重体だったが、だいぶ安定していた様子で、私たちはすっかり打ち解けていた。

 みんなで話をしていたのだが、事故当時の話になった。私は車跳ね飛ばされたときにアスファルトに叩きつけられたものの、咄嗟に受身をとって頭をかばい、衝撃をうまく逃していたようで、車にまともにぶつかった左足を除いてはかすり傷程度だったのだが、それはちょいとばかり武道経験があるからだろうという話になった。と、Sさんの妹さんがSさんに言った。

「おねえちゃんは?」

「私はバスケだから・・・こう!」

と、酸素マスクの下から言い、ひじを張り出したパンチ!。爆笑ニコニコとなった。

 しばらくして、救急車が入ってきた。Sさんのお兄さんが「新入りですよ!」と言った。家族も患者が安定してくると余裕が出てくる。そして、そうなのだ。その頃、私は病室の主のようになっていた。

 救命救急センター病院では患者の入れ替わりが激しい。心筋梗塞など入院して来た患者さんでも約1週間~10日で退院していく足あとのだ。3週間を超えるとなるとかなり長い入院ということになる。さらに、長期入院の患者の場合、入院当初は意識がないか朦朧ショック!としているかが多いのだが、私は当初から意識ははっきりかおしていた。つまり入院中、ずっとコミュニケーションをとれる状態だったのだ。主のようになってしまうわけである。

 ただ、こういう状態が続くと退屈シラーで仕方がない。Sさんのお兄さんが立体木製パズルを持ってきてくれた。元々、パズル好きなので、ご機嫌ニコニコになった。何とか組み立てるとチョキ、今度は組木箱細工のパズルを渡されたニコニコ。箱を開くとやつだ。チンパンジーの愛ちゃんに挑戦!食事ナイフとフォークもそっちのけで熱中あせるしてしまった。