リハビリ室
リハビリ室から初めて呼び出しがあった日、装具を着けた状態で車椅子に乗せられ、本館のリハビリ室に行った。看護師のFさんが車椅子を押してくれた。リハビリ室までの道々、売店や自販機の場所など教えてもらった。
リハビリ室に行くと、担当のT先生は平行棒のところに車椅子をつけた。
「これを持って立ってみて」
平行棒を頼りに立ち上がった
。
「足を一歩踏み出して」
平行棒の上で手の位置をずらしながら、歩を進めた。
端から端まで歩けた!
方向転換をして、反対方向から戻り、車椅子に腰を下ろした。
T先生は松葉杖を持ってきて、私をもう一度立たせた。
杖の長さを調整して、使い方を教えてくれた。
平行棒での歩き方が松葉杖での歩き方の基本となるらしかった。
ぎこちなくではあるが、自分の行きたい方向に自分の足で歩けた
。
その日はほんの少し歩行練習をした後、関節を曲げる練習をした。
膝は90度近くまで曲がるようになっていたが、足首はビクともしなかった
。
足首の関節を曲げようとするT先生の様子がおかしい
。
「怖いなぁ・・・」
「何で?たいしたことないんでしょう?H先生はたいしたことないって言ってたけど・・。」
「(救命救急)センターでだろう?!言っちゃあ悪いけど、あそこは死に掛けの人ばっかだから・・
・。本館の病棟でなら、この骨折はかなり重傷なんだよ。ボキボキに折れているだろう?!すぐに処置をしないと足がダメになってしまう可能性があったから
(救命救急)センターに送られたんだから・・・。」
「えっ、そうだったの
?!」
初めて知った。確かにZ線写真を見るとボキボキだったが、周囲の患者さんが大変な状態の人ばかりだったから、自分はたいしたことがない
と思い込んでいた。少しショックだった
。
「脛骨は髄内釘を入れていて固定されているけど、脾骨も折れていて、こっちはグラグラ
のままだから・・。」
「それはどういうこと?」
「足首を曲げると、脾骨も動くから・・・」
「つまり、あまり動かせないってこと?」
「そういうこと・・・。」
リハビリ室では杖を使っての歩行練習と関節を柔らかくする最低限の訓練が主だった。
その日のリハビリメニューが終わると、看護師のFさんが迎えに来てくれた。お土産に松葉杖を持たせてもらった
。「リハビリ室を出て、救命救急センターに帰るには・・。」と、帰りには道順のおさらいがあった。
「MR室の表示を
目印にしてくださいね。」
「関係者以外立ち入り禁止
って書いてるよ」
「大丈夫、関係者だから
」
「関係者?!・・・。
」
救命救急センターの病棟に帰ると、歩行器がやってきた。病棟内は歩行器でヨチヨチ
歩き回れるようになった。そして、翌日からは毎日のリハビリの帰りに自販機で新聞と飲み物
を買うのが楽しみとなった。
リハビリでは後日、松葉杖で階段の上り下りの練習もしたが、2階まで上るだけで汗だく
になった。相当、体力が落ちているらしかった
。