排泄の苦難 | 救急救命センター潜入レポート

排泄の苦難

 手術から5日目、自力でまともに座れるようになり、膀胱に入っていたカテーテルが抜かれた。

でも、ベッドの下にはスリッパもなく、下には降りられない。まだトイレにも行けないという事だ。ということで、しばらくはトイレもベッドの上で済ますことになった


 膀胱からカテーテルが抜かれて変わったことといえば、尿意を催す度にナースコールを押して看護師さんを呼び、便器を持ってきてもらい、ことが終わるとまたナースコールを押して便器を持っていってもらうという非常に面倒くさいことになっただけだった


 その日、尿意を催し、順当にことを済ました後、処理してもらうためにナースコールを押そうとすると、言い争う声が聞こえてきた。


 「なんで管を抜くんですか

 「自分の身体はあなたより私の方がわかってます

 「全部、抜いてどうするんですか

 「放っておいて頂戴

別室の年配女性の患者と看護師さんが言い争っているのだ。

争いは終わる気配がない


「どうしよう・・・・。」おしっこのはいった便器を見つめてナースコールを押すべきか否か迷った。

救命救急センターの看護師さんは通常はいつも走り回っているのだ。一人が患者とやりあってるとなると・・・。押すのがはばかられたが、便器から立ち上るおしっこの臭いに背を押され、とうとうナースコールを押した。


すると、あの、患者と言い争っていた看護師さんがやってきたのだ

「ちょっと待てる?」

便器からおしっこがこぼれなければいい話だから・・・

「うん・・・」

「ゴメンね、じゃぁ、もうちょっと待って!」

「はい・・

看護師さんは行ってしまった。同時にバトルが再開した。


まだまだバトルが続いていたが、ナースセンターに数人の気配を感じた。

他の看護師さんが戻ってきたのだ。すかさず、ナースコールを押した。

別の看護師さんがやってきて、何事もなかったかのように(その看護師さんにとっては何事もなかったのだが・・)おしっこの入った便器を持って言ってくれた。


やっと、立ち上るおしっこの臭いとこぼれないかという不安から開放された。

ベッドの上におしっこのはいった便器があると身体を動かすたびに揺れて、こぼれないか不安だったのだ。


それにしても、「自分の身体は自分が・・」なんてねぇ。そんな患者も少なくはなさそうだし、看護師さんって大変だ。