採血
救命救急センターではしょっちゅう血を採られる
。入院時、手術前、手術後、その他諸々。
早朝から注射針を刺されることもままある。
それは、手術が終わってしばらく経ち、かなり元気になってきた頃の話。
とはいえ、まだベッドから降りるには早すぎるというある日の早朝だった。
看護師のMさんが病室にぶつぶつ言いながら入ってきた。よく聞いてみると、
「人間には向き、不向きっていうものがある。・・・それは仕方のないことだ。」
なんのこっちゃ
と思って見ると、その手になにやら光るものが・・・。注射器・・・。逃げられない・・・。
「もしかして、注射、苦手なの
?」
「はぁ~い
。」
妙に明るい
。
「それで
・・・、今から採血なの
?」
「そうなんですよ
。」
「・・・・・・
。」
私は、すかさず左手を引っ込め、右手を差し出した。
「こっちの手は初心者向けだから、こっちにしてね。」
にっこり笑って
ゴムチューブを腕に巻くMさん。
なんだか緊張
して、Mさんの一挙手一挙動を凝視してしまった。
はっきり苦手だと宣言されてから針を刺されるのはこんなに緊張を強いられるものだと初めて知った。そして、例えこれでMさんが失敗してもとても文句なんて言えないなぁと変なあきらめを感じたのだった。
そして無事に採血は終わった。痕が青くなることもなかった。
こうやって経験を積んで看護師の方々は技術と自信とを身に付けていくのだなぁと思った。