土曜日、長い長いレッスンでした・・・

10時からの予定だから9時前に到着。

新年度だからか、先月に比べて人が少なく感じる。

皆様忙しいんだろうな。

その日のレッスン内容は、予約状況とボスが考えるライダーの教育内容で乗る馬が変わる流動的なスタイルなので、誰が来るのか少しハラハラするのであります。

上手な人は馬を選ばずにレッスンが出来るのだと思うけど、こちとら初心者も初心者。

何でも出来てしまうスーパーホース A先生のありがたさが本当に心に染み渡る・・・

 

今日はMちゃんで。(ボスの奥様)

 

先週に引き続き、愛馬Mちゃん登場!

一気に緊張感MAXへ・・・

レッスンを受ける前にボスが調馬索、前乗りをして体力ヘロヘロにした後で乗るから、それほど怖くは無いのだけど、

それでもやっぱり動きが読めない怖さと言うか、手綱コントロールの難しさがあるのが怖い。

前回は調馬索ありで速歩で回るレッスンを何とかこなしたし、今回も同様でいけるはず!

・・・の予定でしたが、乗り始めて常歩→速歩をすると前回と明らかに違う。 おかしい。

その異常さは鞍のズレで現れた。

前回も確かに左右方向のバランス、これは難しいと感じたのだが、今回は明らかに異常。

 

愛馬Mちゃん、背中が丸っこい形状なので、鞍も特注です。

お腹の断面形状を書くとこんな感じ。

いわゆる普通の馬、サラブレッドや色々な馬は左側の断面で、細かく書くともっと複雑な形状をしているのだけど、

単純に書くと縦に長い。

だから鞍も縦長で腹帯を締めると、動かなくなる。

鞍は中に金属製の主柱が入っていて、これで馬の背中を包み込む形をしているので、鞍は絶対に回らないのです。

対する愛馬Mちゃんはと言うと右のように、概ね丸。

馬に詳しい方が見れば、あーあっち方面の種類かな?とだいたい想像はつくと思います。

形状があう鞍が無いから、特注で採寸に来てもらったものの、フィッティングの方も悩ます丸さだったようです。

「鞍はズレないもの」だが、Mちゃんはズレる可能性がある。

ゼッケンの下にズレ防止で滑り止めとかを入れ、色々工夫をした上での騎乗開始だったのです。

(鞍も専用品だし出来上がるまで騎乗も出来ないから、騎乗をしての調教は今年に入ってから)

 

そして、かみさんがMちゃん用に良かれと購入していた腹帯が、大変な曲者だったのです・・・

調馬索を繋いで速歩をすると、鞍がズレる!!

 

「あぶなっ! 落馬するので停めます!」

 

とMちゃんを停める僕。

そんなのは乗りながら直せ! と怒るボス。

 

どうもおかしい、前回はもう少し乗れたのに今回はまったく乗れる感じがしない。

(前回も左右のズレを多少は感じたが、今回は異常なぐらいにズレた)

思い返すと恐らく腹帯がユルユルだったのかな?と思う。

「良かれと思って買った腹帯」は、帯にゴムが入っているタイプ。

これは腹帯を嫌がる馬や、腹帯する瞬間に腹を膨らませてキツくしまるのを回避しようとする(ズル賢い)馬用なんだろうけれど、

これがMちゃんにとっては大変ダメな代物だな、と。

鞍を真上から見て背骨と鞍の中心が指3本分ぐらズレてるのがわかった。

指3本、左右の鐙の長さに直すと指6本分、10cm近くは左右の足の高さがズレる事になる。

これじゃあ初心者は怖くて乗れないです・・・

時計回りの調馬索で、左足が5cm下がった状態で乗るイメージをすると伝わり易いと思いますが、

遠心力で外側に振られ、そっちの足が鐙に届かない! バレリーナ爪先立ちでやっと鐙に・・・ 落ちるって。

そして、このズレは左右方向だけでなく前後方向にも現れる。

速歩移行するとき、馬の動きにワンテンポ遅れて前に引っ張られる感覚と言えばいいのかな。

通常時 → トントントントン のリズム

鞍異常時 →ポンポンポンポンポン のリズム   

 

ジェットコースターの凄まじい加速で、体が後ろにおいてかれる感覚があって、あれに近いかも。

速歩をする心のリズムと鞍からの動きがあわないから、前後方向でのズレまで発生する。

鞍にあるSOSバー(鞍の前側にある手で掴むやつ)を掴まないと、振り落とされる!手前までいった。

ロデオだよ、ロデオ。

結果的に、凄まじく叱られ、怒られ、Mちゃんもボスにこっぴどく怒られ・・・

新馬調教ってこんなにも辛く、厳しいものなんだなと身をもって体感致しました。

レッスン時間は1時間半ほどにも及び、肉体的にもメンタル的にもボロッボロで終わり(汗)

 

 

 

「騎乗以外で学ぶことが多いレッスンだった」が冷静に考えて思う所です。

 

学んだこと。

Mちゃんの手綱コントロールの難しさも学びつつあるのだけど、ここは次回の騎乗で本格的に学んだので今回は割愛。

 

その1:ゴム入り腹帯について

これはたぶん、ボスはMちゃんの腹帯がゴム入りなのを知っていて今回のレッスンをやっていたと思う。

前回はある程度普通に乗れて今回は乗れなかったのを考えると、腹帯を緩めにしてレッスン開始した疑惑を僕は持っている。

これは

 

「騎乗者は馬との距離を近づけようとする努力が必要」

 

を体感させるためだったんでは?と思う。

言い換えると、

 

「ライダーは馬との距離を近付けろ」

 

と言う事。

距離と言うのは物理的な距離で、それこそ本当は鞍すらも無いぐらいに近い方が良い。

鞍と言う物は乗馬する上で本当に大切で重要な物です。

その鞍がグラついてしまっては、人と馬の距離が近付く訳が無い。

ゴム入り腹帯は距離感を狂わせてしまう道具な訳です。

騎座での扶助が将来的に必要になってくるが、それも出来る訳が無い。

ゴム入り腹帯は、その距離を遠ざけてしまっているんだろうな、と。

本当は騎乗中に僕が腹帯締めてもいいっすかと言うべきだったのかもしれないが、それを言える余裕が無かった(笑)

それほどまでに色々とあった訳です・・・ Mちゃん本当にすまない。

 

 

 

その2:馬にとって良かれと思って選ぶ道具は、本当に良い物なのかどうか選べる目を養う

 

それは一部の馬にとっては良いかもしれないが、自分が乗る馬と人にとって良い物なのか?

きちんと考えて選ばないと人も馬も不幸になる。

を教えてくれたのが今回のレッスンなのかな…

例えば馬に良かれと思って購入した馬具が原因で、ライダーが落ちたり怪我をして馬に乗れなくなってしまった。

結果的に、その馬に乗れる人はいなくなってしまった。

こうなってしまったら、その馬の存在価値は皆無に等しくなる訳で、また、ライダーの怪我の内容次第では下手すると殺処分となる恐れだってある訳で。

そういった事を身をもって体感させ、考えてもらいたかった・・・ のがボスの真意なのかなぁ・・・?と思った。

考えすぎかもしれないけど。

ただボロッボロになったレッスン後に色々と言われて、その中に、

 

「腹帯は変えた方がいい」

 

と仰ってたので、やはりMちゃんにとって良くない物だったんだろう。

物を選ぶ難しさを痛感させられたなぁ・・・としみじみ。

弱虫ペダル 巻島先輩のありがたいお言葉で、今回の日記を〆たいと思います(笑)

 

 

 

 

 

最後に念のため付け加えておくと、ボスは僕がある程度何があっても落馬はしないと信じてくれての今回のレッスンだと思います。

危険と隣り合わせのスポーツでありますので、きちんとその辺は乗る人を見ながらレッスンの内容を構築してます。

人馬の命がかかってる訳ですから、ボスは本当に色々見て、考えているんだろうな。 大変だよ。