がんになって、よかった。
と思うこともあります。
もちろん「よかった」訳じゃないけど…
うーん、うまく表現できない。
なにせ語彙が少ないので、
とりあえず「よかった」が今のところあてはまるかな。
病気が分かるまで、
私はいろんなことをひとりで抱え込んで、毎日イライラしてたと思う。
オットとムスメとの3人暮らし。
オットは頼りにならないし、ムスメはいつまでも世話が焼けるし。
「もう、私がやるしかないじゃん!」
って。
仕事も家事もムスメの学校のことも、ぜんぶ私ひとりががんばってた。
もともとは会話が多い夫婦だったんだけど、
そんなふうに私が忙しくなって、
気持ちも追いつめられて、イライラして。
だんだん会話も少なくなって。
「ムスメが出て行ったら二人きりの生活なんて考えられない!」
って思ってました。
そんなオットが、
私の病気がわかったとき
「もうこれからは、なんでもひとりでするな」
って言ったんです。
「今まではおまえ一人でなんでもやってしまってたやろ。
もうそういうのやめて、
これからは自分の体のことを考えろ」って。
こうやって文章にしてみると、当たり前のことなのに(笑)
そのときの私には衝撃でした。
それまで私がすることには何も言わなかったオットが、
はっきりと「もうやめろ」と言ったこと。
そして、私がひとりで勝手に「私がやらなきゃ」と思い込んでいたと気づいたから。
まぁ、急に頼りがいのあるオットに変身したわけではないですけど(笑)
その後、結婚して十数年やったことのなかったゴミ出しをやってくれるようになったり。
術後重いものを持てない私と、
買い物にいっしょに来て荷物持ちをしてくれたり。
なにより、病気のことを含めいろんなことを話し合うことが増えました。
私自身は、がんばりすぎないように心がけ、
人に頼むことが苦手だったけど、それもできるように気をつけて。
家族らしい家族になった、と思いました。
抗がん剤初日には、
オットは病院で先生から話を聞いて
「よろしくお願いします」と頭を下げてくれました。
これから治療を始めるというときに
とても頼りになりました。
病気にならなかったら、
今でも寒い空気の家族だったかもしれません。
家族を顧みることを忘れていた私に
それを気づかせるために病気になったのか、と本気で思いました。
こんなにならないと気がつかないなんて、私はバカだって。
オットだけでなく、
職場でも家族にも、たくさんの人に助けられました。
本当に感謝しています。
病気にならなくても気づくのがもっといいんだろうけど…。
──こうして当時のことを振り返ると、
今の私はしてもらうのが当たり前になってしまっていることに
また気づかされます。