値付けと旗振り
プライシング、所謂、値付けだ。
お客が買いたいと思う、最も高い値段をつける行為、
とでも言おうか。
売る側と買う側の高度な駆け引き。
最近では、マクドナルドが価格改定により、
日本での全国一律価格をやめると発表した。
土地によって、所得差があり、競争環境も違い、
そもそもファーストフードの受容性も異なるだろう
から、価格が異なって当然だ。
以前グランドキャニオンのふもとにあるマクドナルドに行ったら
ビッグマックセットが10ドル以上もしていた。
しかし、物資の輸送、僻地でのバイト人材の確保にはコストが
かかり、そしてグランドキャニオンにはファーストフード好きの
アメリカ人の胃袋を満たす代替手段がないのだとしたら、
十分筋が通る話だ。
ただし、日本のマクドナルドの話、価格を改定します
と言って東京など都市部を多めに値上げする、
そういうことだろう。実質値上げということだ。
消費者とハンバーガーショップの高度な駆け引き。
さて。
メキシコのティファナに行った。
アメリカ側から、歩いて国境を越える。
従ってメキシコ手前のアメリカ側の町は、そうしたニーズに
応えるかのように、町中駐車場と、旗を振るメキシカン
のおっさんだらけだ。
40度を超えるであろう、目のくらむような炎天下、
一歩でも多く歩きたくない俺は、プライシングに着目した。
ハイウェイを降りたすぐの駐車場は1日7ドル、
ちょっといくと、5ドル。4ドルというところもある・・・
一見不規則なプライシング・・・
しかし・・・そうか。なるほど。
国境に近ければ近いほど価格が上がり、大変でも
距離を歩く覚悟があれば駐車料金は安いのか。
俺は歩きたくない。
俺は、自分の「気づき」に感謝した。
数ドルのカネならくれてやる。持ってけ資本主義。
国境から激近で、しかも、
「どんだけ停めてもたったの12ドルだよ、セニョール」
た、高い・・・ ここだ。
俺は颯爽と車をおり、自分の「判断」に満足しながら国境へ向かった。
さて、数時間後。
メキシカンを満喫し国境の町に戻る。
だがアメリカ側に越境したところで、自分の目を疑う。
停めたはずの駐車場が、無い。
そう、入国と出国では、高速道路を挟んで
ゲートが正反対の場所にあるのだ。
俺は、すぐそばにある1日4ドルの駐車場を横目に
とぼとぼと、そこから最も遠い駐車場に向かった。
さっき食べた油ギトギトのメキシカンが
原因なのか、暑さからなのか、それとも
駆け引きで敗れ去った敗北感からか、疲労困憊だ・・・
あの駐車場は何故あんなに高くてやっていけるのか。
値段を「読む」ことは難しい。
高いから良いとは限らない。
常に高度な判断が求められる、売る側と買う側の
勝負の世界。
いやしかし単に俺のような、ガイドもろくに読まずに行く連中が
アメリカには多いのも事実だろう。
メキシカンの旗振りのおっさんの笑顔が
脳裏から離れない。