・乾燥対策のイロハ
・シミ、いろいろ
乾燥対策のイロハ
乾燥は単なる水分不足ではありません。水分を補うだけでは乾燥は改善できません。
私たちの皮膚は、角層(角質層)といって、死んだ角質細胞が何層にもなって形成されています。角層自体が保湿機能を備えています。(角質細胞のなかにある天然保湿因子(NMF)が水分を吸着する性質が強いため) 角質細胞をひとつひとつくっつける役目をしているのが、細胞間脂質です。
このため、角層の水分が蒸発して外に出にくい仕組みになっています。そしてその皮膚の表面を覆っているのが皮脂膜で、この膜はさまざまな外部刺激から皮膚を守っています。
皮脂膜がはがれてしまうと、細胞間脂質が流れ出し、くっついていた角質細胞がバラバラになり、水分を保つことが難しくなります。そうすると肌は乾燥に傾きます。
皮脂膜がなくなるは、脱脂力の強い洗顔料、乾燥成分や刺激性のある成分の入った化粧品(特に化粧水や乳液・クリーム)によって引き起こされます。使用中の化粧品にそういったものはないか見直す必要があります。
肌は大気中の湿度の影響を受けます。それは角層が外界の湿度と関連しているからです。湿度の高いときは肌の水分量は増えます。逆に湿度が低くなれば、肌は乾燥してきます。エアコンのきいた部屋に長くいると肌が乾燥するのはこのためです。特に皮脂膜が十分でない場合、その影響をまともに受けます。
乾燥している箇所はどんどん乾燥していきます。湿度の低い環境に長く過ごすときは、肌に油分を補うことも肌を乾燥させない方法の一つです。
自宅では、年間通して部屋の湿度を一定に保つ工夫をするといいでしょう。
乾燥は紫外線とも関係しています。紫外線を浴びると角層は厚くなります。普通ならば一定の周期で角質は剥がれ落ち、新しいものに代わります。しかし、角質が剥がれず厚くなって、いつまでも皮膚を覆っているということは、古い角質細胞の集まり、つまり保湿機能の低い角層になっているのです。年間通して紫外線対策を怠らないこと。
(季節を問わず日焼け止めはつける) 角質除去をすることがポイントです。
加齢による乾燥もあります。皮脂分泌の低下やエストロゲンの減少によるものです。
女性ホルモンであるエストロゲンは皮膚のしなやかさやハリを保つ働きをもっています。
また皮下脂肪の増加にも関係しています。年齢が上がると皮膚が薄くなり、皮下脂肪が減ります。外部からの刺激に弱くなります。こういったときには、肌に油分を補給し乾燥から肌を守ります。(肌に油分を与えるとしなやかになります) 更年期障害の場合、ホルモン補充治療でエストロゲンを補うことで症状を軽くすることもできます。
あなたの乾燥の原因は何でしたか？その原因を理解することが健康な肌に近づきます。
シミ、いろいろ
一口にシミと言っても、いろいろな種類があります。種類が異なれば、対処も違います。
皮膚科学において、シミは肝斑をさします。しかし、一般的には、顔の色素沈着をひっくるめて、シミといっています。私たちの言う‘シミ’、および化粧品業界、美容業界の言う‘シミ’は後者の意味合いです。
肝斑のほかに、ソバカス(皮膚科学では雀卵斑)、老人性色素斑、炎症性色素沈着症などがあります。
老人性色素斑とは、紫外線にあたってできるといわれています。日光性色素斑とも言い、いわゆる、私たちが、日焼け後のシミと呼ぶものです。
炎症後色素沈着症は、ケガやニキビあとの色素沈着のことです。
シミには先天的なのもと後天的なのもがあります。
先天的もしくは遺伝性のもの・・・ソバカス、あざ
後天的のもの・・・肝斑、老人性色素斑、炎症後色素沈着症など
美容上、気になるシミ種類を取り上げてみました。
肝斑、ソバカス、老人性色素沈斑、炎症性色素沈着症の原因と対策です。
１．肝斑
顔に左右対称にできるのが特徴
主な原因とその対策
a．日に当たったあとにできる
→日焼けを避ける。日焼け止めをつける
b．肝臓・卵巣の働きが悪いとできる
こういった場合、皮膚が日光に過敏になっているため
→肌の問題ではなく、体内の疾患。身体の不具合の早期発見に努める
c．精神的ダメージが大きいとき
色素細胞は神経系性のものなので、悩み、ストレス等の精神的影響を受けやすい。よって、メラニン色素を刺激することもある
→肌に及ぼす精神的影響(悩み、ストレス、不安等)が弱くなれば改善に向かう
d．妊娠するとできる
妊娠初期(１～２ヶ月頃)に目立ってくる人がいる
妊娠に関わらず、卵巣機能の低下によりシミができる
→出産してから、２、３ヶ月すると自然に消えていく
日焼けに気をつける
２．ソバカス
直径数ミリのまでの細かな茶褐色の斑点
原因と対策
ソバカスは遺伝性。親にソバカスがあると子に遺伝することがある
妊娠中、ソバカスが増えたり、目立ったりすることがある
→ソバカスは日に当たると濃くなるので、日焼けを避ける。日焼け止めを塗る。
３．老人性色素斑
よく日に当たる、顔や手の甲にできるシミ(私たちがシミと呼んでいるもの)
主な原因と対策
最大の原因は、日に当たること。
→日焼けはしない。日焼け止めをつける。
４．炎症後色素沈着症
ニキビやケガなどのあとの色素沈着
主な原因と対策
皮膚の炎症によって、色素細胞が刺激されて、メラニンの増加でできる
→一過性の色素沈着(シミ)なので、時間がたつにつれ、薄くなって消える
ビタミン剤の内服が効果的とされている。治りが早くなるのと色素沈着させにくくする
ニキビあとの治りが遅いとか、そのままシミになってしまうのは、ニキビあとの
色素沈着に日光が反応したため、つまり日焼けしたということ
こういった色素沈着がある場合は、日焼けに注意する
シミは作らないように、その原因を避けることが大切です。
いずれのシミも、紫外線対策は有効です。