ブログネタ:この冬、ゲレンデがとけるほど恋した?
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所詮幻と解っていながら
ついて行ってしまう、
それが。
「真夜中の銃声」
Up at The Villa
原作はこれまたモームの「女ごころ」。今聞くと演歌っぽいタイトルだなと思うのがちと悲しいw
原題は映画の原題と同じなので、直訳で「別荘にて」って方がまだ良くないか?と思うのは凡人かな。
邦訳タイトルが気に入らなくて(こら)こちらも原作は未読。
試しに粗筋を検索してみたら、殆ど映画の内容と同じなので、かなり忠実な映画化と言えそう。
原作が好きな人にもお勧めできると思うな。
作られたのは2000年で、かなり前の作品なもんで、主演の二人が若い若いw
特にペンが若い、若いってか、可愛いwww しかもペンにしちゃ割といい役なもんでそこも意外。
1人の若くて美しくい未亡人と3人の男の話、と良く言われるが、警察のあいつも入れていいかも。
勿論彼女はそいつには全く気を向けたりしないのだけど、あいつの方が最初彼女に気があるでしょ。
それが、彼女が彼を助けんがためにあいつに反旗を翻すじゃない。必死に。あの辺がなかなか味。
で、その3人の男なんだけどね。
誰もがプリンセス=アンバンのように思う訳よ。あんたバカねえ、あんな男について行くの?と。
ロマンチックなんて最初だけ。妻を捨てるような男だもの、あんただって時間の問題よ。解るでしょ?
悲しいかな、多分、いや鉄板でそれは当たっているw 幾ら彼が愛しているのは君だけだと言っても、
そんなの、勿論彼女も解っているように、どこにも保証はないのだ。いつ変わるかも解らない。
彼女が彼について行くのは(多分あの後そうなるに決まってる)、彼の言葉を信じたからではない。
恐らく彼女も、彼が信じられる人物だとは思ってはいないだろう。
(大体あのモームがそんな甘っちょろい人物造形をするとは思えないw)
彼女は多分、彼を好きな自分の方が、あの人と結婚しようとした自分よりも好ましいと思っている。
嘘とか真実とか愛とかそういう事より、「自分」だったのではないか、彼女が大切にしたかったのは。
だからもしあの後で、彼と彼女が巧く行かなくなっても、多分彼女は後悔しない。
と書くとカッコいいのだけど、彼女が「ダメ男体質」だった事は否めないよなあ(苦笑。
最初の旦那もかなりのダメ男でしょ? で、今度のだって色んな意味でダメ男じゃん。
勿論それは、彼女自身がダメ女子だったからに他ならないのだけどね。
(ああ、何でこんなに私の心が痛いのだろう。おかしいなあ、しくしくするよう。痛いよう)
彼の魅力に負けまいとする彼女は、明らかに悪と解るものに対して結界を張る力は持ってる。
ところがその、明らかに悪と解るものだと判断している彼女の価値基準は、実にスノッブである。
それは、結婚を申し込まれた、カネも権力も社会的地位もあるあの人に合わせてのスノッブさなのだ。
だから彼女はあの若いバイオリニストを可哀想だと思い、たまった家賃が払い切れる程チップを弾み、
車で轢きそうになったのを悪く感じ、別荘に招待し、食事を振る舞い、屋敷の絵画や庭を見せ、
一夜の夢でさえも与えてしまう。
が、彼女にとっては一夜の夢でも、戦争を通じこの世の果てさえも見て来たバイオリニストにとっては
永遠に続く夢であると勘違いさせるには十二分の体験となってしまうのだ。
ここら辺について、ペンが後に語る台詞が白眉。流石はモームと唸る場面だった。
たださあ、このバイオリニストの行動ね、これはやり過ぎちゃうの?と感じてしまったのよねw
大体解るだろ。あんな勘違いフツーする?と思う私はやぱし、若い男子を解ってないって事かねえ。
いずれにしても、彼女がバイオリニストを哀れだと感じたスノッブさというのは、まあ、あの時代だから、
と言えば説明はつくんだろうけど、それ自体が非常に上から目線というか。多分あのバイオリニストを
最も傷付けたのは、彼女のそんな「私が決められるのよ」的な部分だったんだろう。
受身で自分からは何も行動できないような女に見えながらもその実そうではない。
しかも天使のように優しいと思ったらそれは単に同情されているだけだったと知ったら。
男として、そら悲劇だわなあ。
誰も良くばかりいないし、悪くばかりもいない。
まさに「ザ・人間ドラマ」を描いているのに味わいは軽い。昼間のテレ東の再放送を思わせるw
軽みの中にこそ真実があるという感じ。ふと聞こえてくる台詞にずきゅんと打たれる程の鮮やかさ。
受身の彼女が好んで着るのは、柔らかく美しいスモーキーブルーの服ばかり。
ラストの彼女が来ているスーツの深紅が目に沁みる。この辺の衣装のアイコンも解り易くていい。
彼女と親しくなる、オネエのラッキーを演じるデレク・ジャコビが最高。出番少ないけどめちゃよかった。
イェイツの詩を諳んじたりね、それが気障にも嫌味にもならないの。素敵よーホント。見どころ。
危険もなければ後悔もしない
そんな当たり前の人生を
望んでいた昨日。
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