「ザ・ファン」
The Fan
丁度1週間程前だろうか。ダルビッシュ投手のニュースの中で、彼が拘った背番号が11と聞いて「ん?」と思った。
背番号11。何処かで聞いた数字だと思ったら、これだった。
若かりし頃のデルトロ出演作のうちのひとつ、デニーロ主演、1996年の映画「ザ・ファン」。
良く考えたらこの映画の記事もなかったなあと思い、折角なのでダルビッシュ記念という事で書く事にするw
監督は昨年の「アンストッパブル」のトニー・スコット。スコットさんちのリドリー君の弟である。
また、共演者が豪華。でにろが惚れ込む大物スラッガーがウェズリー・スナイプス(凄いキャスティングでしょ)、
ウェズリーのマネージャーがレグちゃんことジョン・レグイザモ、野球番組のラジオDJがエレン・バーキンさま、
そして!ウェズリーのライバルとなる選手に我らがベニシオ・デルトロである。どうよこのメンツ。かなりのもんでしょ。
ナイフのセールスマンでにろ=ギル(この辺の設定が既に伏線w)は元野球小僧でありヤバいくらいの野球ファンで、
今はウェズリー=ボビーの熱狂的な信者。そのボビーが地元ジャイアンツに戻ってくるってんで嬉しくてしょうがない。
が、私生活はボロボロ、親権は取れないし元妻は男を作るし会社はクビになるしでもう散々。
ボビーはボビーで、最高契約金額で呼ばれた割には、自分の思い通りに行かない事が多くてイライラ。
第1の理由が、思いを込めた背番号11を、他の奴が譲ってくれなかった事にある。その11番とは、ホアン・プリモ、
ボビーが来た事でポジションを譲らなければならなくなった、それまでの一番のスター選手=デルトロの背番号だった。
上の写真が映画のシーン。下は多分打ちあわせしてるとこでしょうね。うふ、若くて可愛いわあ。
話を戻すと。
ボビーは最初こそ背番号など関係ないとポーカーフェイスを気取っているが、打てない取れないと悪い事づくめ。
ファンからは野次られるしマネージャー=レグちゃんはボンクラで使えないしで益々落ち込んでいくにつれ、
その原因があの背番号であると次第に思うようになって行く。
まあここまでは誰にも似たような事があるから何となく解る訳で、となるとボビーがふとラジオ番組でDJ=バーキンに
漏らした一言「あの背番号、喉から手が出る程欲しいね」ってのもまあ、人情かなと。
ところがこれが人情では済まない男がいるのよね。今や仕事もなくなり部屋で鬱々としているギルはこれを聞き、
「ダメじゃん、俺があいつのために背番号取ってやらないと」と勝手に思い出す。
「俺、ボビーとこないだ話したもの」ってラジオに出たので回線繋いで声かけただけなのにw これがストーカーの始まり。
ギルがホアンに会いに行く。するとホアン君、どういう訳だかサウナにいるんだなwww 一説によると監督の趣味とかw
まあ我らデルトロファンとしちゃあ、あれは最大のサーヴィスショットだと思ってるからいいんですけどwww
しっかしこの頃は細いんだよねえ。筋肉もあるし、いい身体ってヤツよ。監督が脱がせるのも無理はないw
で、当然の如くホアン君、でにろギルを一蹴。俺は肩に焼き印まで入れてる程、11番に入れ込んでんだっての。
それを幾らスター選手だからって譲れないだろって。まあ当然だよね。そうすると二人でもみ合いになって。
んで、ぷすっとな。
上手いところに刺したねえ、ギル、と言いたくなるような、撮影するには実に絶妙な場所にギルのナイフが刺さる。
そうすると、大した事ない場所なのに、なんつったってサウナでしょ?w だからばばっとね。
そしてホアン君はこの世を去ってしまう訳よ。つまり、デルトロの登場シーンはここでおしまいヽ(;´Д`)ノ
この後、どういう訳だか絶好調になるボビーに客は大ブーイング。お前がやったんじゃねえの?とまで言われる始末。
一方ギルはボビーの調子の良さにホクホクしつつもふとこう思う。
「あいつ、俺のお陰で絶好調なのに、どうして礼の一つも言いやしねえんだ?」
そしてギルは一歩一歩、着実に、ボビーの私生活にも踏み込んで行く。
吹替えでも何度か見てるんだけど、とにかくボビー役の山寺宏一さんが、ウェズリーよりもウェズリーっぽくてさ(爆。
上手過ぎです山寺さん。最高。
デルトロ本人はいつも通りおとなしめの感じなんだけど、吹替えではちょっと威勢よくなっててw、それもまた楽し。
いつも白が優勢とは限らず、最近見た「プライド 栄光への絆」のように黒が白を凌ぐ世界もあるけど、いずれにしても
我らは人種の問題っていうとどうしても白と黒の話だと思いがちだけど、ここにはもう少し深い話が描かれている。
ホアン君は多分プエルトリコから来た野球選手って設定なんだよね。名前から考えても生粋のアメリカンではない。
で、それをボビーに揶揄されると無言でキレる。例えば背番号を譲ってくれとバーのトイレで口説くシーン、
「なあ、俺みたいな選手が来たら、フツー譲るもんだろ? まあお前の国ではどうか知らねえけどよ」
と、こんな調子で何かあると必ず「お前の国では」と言われる訳だ。ホアン君、この時はトイレのタオルのマシンを叩く。
我らの国の選手達ももしかしたら何処かで同じような思いしてるのかな、なんてふと考えたりね。
そう言えばToro、この映画でも履いてたな、白いジーンズ。ヴェルサーチなんか着ちゃってさあ、それが結構似合うw
何着てもお尻が小さくて可愛いんだよねえ。若かりし頃のToroの魅力のひとつ。うほほ。
でにろギルのキレっぷりと共に、どのような結末を迎えるのか、最後までお楽しみ頂ければ幸いですw
で、オマケ。
ちょっと小さいですけど、これ、この頃のToroが一番良く解る写真。
真ん中の3人のうちの左なんですけど、解ります? どう、端正でしょ?ww
Toroの右側にいるのがまこなへーで、まこなへーの隣がプリオどす。
解って欲しかっただけなのに。
解りたかっただけなのに。
悲しい程笑えるのは何故。
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以上、本年1月25日付の記事である。
この作品で、まだまだ知名度の低かったデルトロを起用し、野球なんか出来ないのにスター選手の役に抜擢し、
主人公のデニーロに殺される重要なファクターにつかせ、そして全裸タオル一丁という姿を晒させた。
トニー・スコット監督の功績がどれ程大きいかは、言うまでもない事である。
冗談はさておき。
あれだけの成功を収めた人であっても、心に抱えたものは我々と同じくグレイの雲がかかったものであったのか。
監督のその瞬間の気持ちを量る事は出来ない。
沢山本数を見た訳ではないが、まだまだいい作品が作れた監督だったと思う。本当に悲しい。
ご冥福をお祈り致します。