何やら多忙につき、コメントへのお返事遅れております。ご了承くださいませ。
という訳で、毎日ちょぼちょぼと読み進めていた本をやっと読了。
- バット・ビューティフル/ジェフ ダイヤー
- ¥1,995
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50年代を中心にした、ジャズプレイヤー達の半ドキュメント・半創作、な小説を、ムラカミ氏の翻訳で。
ぶっちゃけ、相当体力要りますよ、この本読むのに。
本編が2段組という分量の多さも勿論だけど、その中身の濃さに唸る。
ムラカミが言ってるもん、「癖のある文体で訳しにくかった」って。そういう英文の和訳だから、無論簡単じゃない。
私が今年見た映画のキーワードの1つとして、
「ブラックスワン」に代表される、人間の「どうにもなんねんだよなあ」的なものの表現ってのがあるんだけど、
この本もジャズミュージシャン達のその、どうにもなんねんさ加減をよく表現していると思う。
あとがきにあるので書いてもいいと思うけど、
黒人のジャズミュージシャン達はアメリカの(白人)社会通念というものと常に戦ってきたようなところがある。
一晩のプレイ代の破格の安さ。でも常に新しいものをプレイしていなければならないという、
一種の強迫観念めいたインプロヴィゼーションへの渇望から、彼らはアルコールからヘロインへ手を出すようになる。
そうなると身の破滅へと追いやられるのはもう、至極当然のことでありながら、その彼らの残したプレイの数々の美しさ。
作者は言う。ジャズというものが既に呪われた音楽なのだと。
それを演奏する(それも半端ないレベルで)人間を悉く潰し、
二度と這い上がれない程までに傷めつけなければ完成し得ない芸術形態。
毒を食らい、自らが毒にならなければ望む高みには登れない、そのパラドクシカルな事といったら。
私はこれに出てきたミュージシャンの音楽を、まあ大体全部聞いてきた事があるので、そのリアル感が凄かった。
創作も半分はあるんだろうに、まるっきりそれが、本当に起こった出来事のように聞こえる。そのくらい自然。
さすがはサマセット・モーム賞受賞作だけあって、文章が素晴らしい。
しかもそれが一様ではない。ミュージシャンによって語り口が違う(8人取り上げられている)。凄いね。
ちなみに取り上げられいるミュージシャンは以下の通り。
レスター・ヤング
セロニアス・モンク
バド・パウエル
ベン・ウェブスター
チャールズ・ミンガス
チェット・ベイカー(ムラカミはチェト、と表記しているが私はチェットの方がしっくりくる)
アート・ペッパー(こちらもペパーになっているが、私はペッパーなのだw)
デューク・エリントン
バド、ミンガス、チェット、ペッパー辺りはiPodでしょっちゅう聞いてる。
ミンガスを読む時はずっと「ハイチアン・ファイト・ソング」を聞いていたのだが、これが本文にあうあう!お薦め。
これは、私が初めて、「ああ、やっぱり世界のムラカミは違う」と感嘆した本になったw よし、ムラカミは翻訳からだw