*2011年3月18日アメンバー記事として初出、4月1日一般公開。
「上海の伯爵夫人」
The White Countess
ヒロインのナターシャ・リチャードソンが2009年にスキー場の事故で亡くなっていることも、
彼女が大好きな俳優の一人、リーアム兄さんの奥さんだったことも、映画見終わってから知った。
リーアム兄さん辛かったろうなあ。こんなきれいな人だし。
この映画の中でも、主人公の2人は、愛する人を失って、その傷から最後は立ち上がるのだけど、
その気持ちを思いながら、つい、地震で傷付いた人達にもいつか立ち上がって欲しいと願わずにいられない。
脚本がカズオ・イシグロなだけに、安っぽい戦争メロドラマに終わることが決してなく、
その脇に至るまでの重厚さを兼ね備えた、見ごたえのあるドラマになっている。
一人、煮ても焼いても食えない伯母が出てくるけど、大叔母や伯父は実にいい。
中でも素晴らしいのが、ヒロインの夫の妹=義理の妹。
ただの意地悪女ではなく、姪っ子を思う気持ちが強いからこそ愛情がゆがんでしまう様を、
最後の最後の場面までしっかりと表現し切っていた。
下の階に住んでいるユダヤ人も最高に味がある。巧いねえ。
上手いと言えば、真田広之が想像以上に巧い。芝居もだけど、英語が。
発音の細部はどうであれ、イントネーションが実に自然。御見それしました。
映画は見るのだけど、コメディをちっとも楽しめない自分がいる。
心の下の方で、こんな私でも、堪らなく思っているのだろう。
そういう時にこれを選んだ自分は正しかった。
傷付いて、悲しくて、でも最後には手と手を取り合える誰かを見つけることが出来る、
そんなラストに暖かい希望を見出せる。見出そうとする。見出さなければいけないと思う。

