TV, 2002: basquiat | **コティの在庫部屋**

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「バスキア」

Basquiat


アート系ではない、人間としてのバスキアの野望と成功と苦悩と失望が
様々な人間との関わりの中で浮かび上がってくる映画で、
バスキアを演じたジェフリー・ライトの表情が大変いい。
脇を固めるメンツもマジで素晴らしい。
マイケル・ウィンコット、デヴィッド・ボウイ、デニス・ホッパー
ウィレム・デフォー(こないだ見た「ニモ」でもお魚の声をしてた。渋い☆)
ゲイリー・オールドマン(珍しくまともな役。「レオン」を想像しない様に)
コートニー・ラブ(全然痩せてます!!!!!!!!!!!!)
サム・ロックウェルがバスキアのストリート画を盗む若い男で出てくるが
最後のキャストのトコ見たら役名が"Thug"って書いてあった。成程。
特に素晴らしいのは、バスキアにインタビューするジャーナリスト役の
クリストファー・ウォーケンおとうさん。まだ若い。
売れたバスキアに厳しい質問を優しく投げかけるんだが、目が鋭い。
それがいい。仕草も上手い。
それと、デヴィッド・ボウイの吹替えをやってる、野沢那智さん。
ボウイはアンディ・ウォーホール役なのだが、もうね、あの人にそっくりでね
だから思わず野沢氏もそうやっちゃったんだろうと思うんだけど…
うるさいマイケル・ウィンコットに対して"Shut up, Lene."というシーン、
吹替えも字幕も「おだまり、ルネ」。
スイマセン、大爆笑でした。ハマりすぎ。
これを借りてつまらなくなったら、是非吹替えでも見てほしい。
いいえあったっしはー♪って歌いだしそうなボウイに感激です。


話をToroに戻そう。
Toroの役名はベニー・ダルモウ。バスキアとつるむストリートのジャンキー。
一緒にバンドを組んだり、彼の絵に理解を示したり、クスリを吸ったり。
だが彼はただのジャンキーじゃない。
ストリートバスケをしながら語り合う2人の台詞がいい。
(この場面のToroが余りにも美味しそうで何度涎が出たことか…)

  「なあベニー、どうやったら有名になれるんだ?」
  「絵か?音楽か?」
  「有名ならどっちでもいい」
  「じゃあまずいい服を着ろ。そしてお歴々と付き合え。社交ってヤツさ。
  そうして、誰が見てもお前の絵だって解る様に、同じ絵を何枚も描け。
  でもなあ、お前は有名になるには、利口過ぎるぜ」

大変に痛烈で、的を得た批評だ。
また、名が知れてきた事で次第にバランスを崩し出したバスキアに
「なあ、思い上がるなよ。お前の事なんてみんな忘れる日がくるんだぞ」
と冷や水を浴びせかける事もある。
バスキアの苦悩を映し出す鏡の様な存在のベニー。
アンディの死から立ち直れない姿のバスキアを、最後に助けるのも
このベニーだったりする。
道端に倒れこんだバスキアを起こし、無言で抱きしめてやるベニー。
Toroファンでなくても、この映画中最も感じ入るシーンだ。

バスキアにとってベニーは守護天使の様な存在だったのかも知れない。

そう思ったらなんか、謎が解けた気分だった。というのも。
このDVDには英語字幕が付いていないので、どうしても正確な台詞が
知りたく、数年前ネット上を徘徊してスクリプト(脚本)を見つけた。
これを読んでみると…意外なことが解った。
ベニーはもともとすっごいイケメンに設定されており…って、
あ、これは意外じゃないか(笑)。
ええと、ベニーがバスキアの恋人ジーナ(クレア・フォーラニ)に横恋慕する事は
一緒だが、脚本ではバスキアと別れたジーナはベニーと付き合う事になってる。
2人でアパートの窓からしょぼくれて帰っていくバスキアを見つめるシーンがある。
だが映画ではそうではない。
横恋慕して大好きになって、思わずジーナにキスしてしまうベニー。
(以前からしつこいようだがコレほど可愛いキスシーンを私は見た事がない)
でも見事玉砕。頭にきてヤクを買いに行っちゃう…ってな具合。
どの段階で脚本が変わったのか知らないけど、案外これを提案したのは
ジリアン・シュナーベル監督と親しかったToroじゃないかなーと勝手に推測。



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数多の吹替えをなさった野沢那智さんのニュースを読んで、この映画の事を思い出しました。

リスペクトをこめて、再アップ。