「バックビート」
Backbeat
ずっと以前BSを録画してそれっきりにしといたのをやっと見た。
若き日の、スチュアート・サトクリフが在籍していた頃のビートルズと、そしてサトクリフが死を迎えるまでのストーリーが丹念に描かれている。
考え様によっては大変入り組んだ感情の交差が飛び交う映画。
親友のジョンが、絵画の世界を目指す筈の自分をバンドに誘ったのはルックスのせいだけであって、自分はベースが決して上手ではなく、少なくともポールの方が腕はいい事が十二分に解っているサトクリフが、ドイツでアストリッドという写真家の女性と出会い、人生が変わる。
「あいつはダメだ。演奏の最中も心ここにあらずだし腕は悪い。あいつがいたのではバンドは成り立たない。スチュはやめさせるべきだ」と意見するポールに「スチュがやめるなら俺もバンドを出て行く」と断固として反対するジョン。「何故だ。一体お前らの間には何があるんだ」食って掛かるポールに「ゲイだって言いたいのか」と牙をむくジョン。
ジョンは確かにある意味スチュアートを完全に、愛している。
それはきっと「ヴェニスの商人」における♂2人の関係に似ている。
親友という度を越した、一心同体的な錯覚。
それと♀を好きになる事は別物で、ジョンはアストリッドに焦がれる。
だがアストリッドにはスチュアートしか見えていない。
アストリッドは、ジョンが自分に心を開かないのは、自分がジョンからスチュを奪ったからだと思っている。
つまりアストリッドは、ジョンからスチュを奪っただけでなく、ジョンの♂としての好意も拒絶している事になる。
更に彼女には、どうしても縁の切れない優しい男がいる。彼がビートルズの演奏を聴きに行こうと誘わなかったら、アストリッドはスチュアートに出会う事はなかった存在だ。
ジョンはスチュアートに言う。あの女は絶対お前を捨てる。
だがスチュアートは捨てられる前に、アストリッドに見取られて脳内出血でこの世を去った。
ビートルズ初のシングルがリリースになった年だった。
正直、ビートルズに思い入れはない。ストーンズの方が余程馴染む。
だが初期のビートルズは好きだ。勢いがあって、説教臭くない。
突っ走ってる感じ。その曲の様に青く突っ走ってる映画でもある。
難を言えば、…全てのファックシーンが冗漫。
見せればいいってもんじゃない(爆)。
音楽ファン、イギリスファンなら一回見といて損はないかも。
