この話の翌日。


仕事から帰ると、母が

「昨日、末息子くんから電話があったよ。泣いてたよ。お母さんから頭ごなしにダメって言われたって。」


まただよ


自分の言い分が通らないと、すぐばあちゃんに泣きつく。

娘も末息子も、いつもそう。


「その話はやめて。口出さないで。」


「口出している訳じゃない。今どき同棲は普通よ。少しくらい話を聞いてやったら?」


頭に血がのぼった。

どの口が言う?


私が高校生の頃、母は、

「彼氏ができたら紹介しなさいね。」

といつも言っていた。


真に受けた私は、高校2年の時、軽い気持ちで紹介した。


休日に遊びに行こうとすると、どこに行くのか、何時に帰ってくるのかとさんざん干渉し、挙句

「泣き目にあうのは女なんだから!」と毎日毎日言われ続けた。


その時の彼氏とは、健全な関係だったし

分別はわきまえてた。


なのに

毎日毎日言われ続け ほとほとウンザリした。

彼氏とは3ヶ月くらいしか続かなかったので、母からの責苦は終わったが。


私は地元の大学に入ったので、自宅生だった。

女の子達と遊びに行くのさえ

「誰と行くのか、どこに行くのか、友達の家庭環境は」

と根掘り葉掘り聞かれた。

サークルのコンパで家に帰るのが遅くなると、玄関に仁王立ち。


「あんたを遊ばせるために大学に行かせてるわけじゃない。」

だの

「男と会ってたのか」

だの


私がいくら本当のことを説明しても疑い続けた母。


もう 一切、彼氏ができたとしても、本当のことは言わないと決めた。


その後彼氏ができたけど、

全部嘘をついた。

絶対に会わせたくなかった。

電話もかけてこないでと言って、どうしても用事がある時は公衆電話からかけた。

携帯電話がなかった頃は不便だったなあ。


それなのに。


「今は普通」

だの

「もっと話を聞いてやれ」

と言う母。


頭にきすぎて、

「私が若かった頃さんざん疑って嫌なこと言ったのは誰?  物分かりが良いふりはやめてくれんかな!いっつもいっつもうちの事に口出しして!やめてくれ!」


と言ってしまった。


つづく