◇ 基本的な考え方を明確に = 震災の復興対策についての基本的な考え方が、少しずつ固まってきた。政府はまず総額4兆円程度の第1次補正予算を早急に組み、災害地の復旧に充てる。そのあと6月をメドに第2次補正予算を成立させて、本格的な復興事業を開始する方針。並行して検討を開始した復興構想会議では、財源についての具体的な試案も提起されている。

第1次補正予算は、ガレキの撤去や仮設住宅の建設などの費用。第2次補正予算は、まだ復興計画が全く手つかずなので、その総額は算定できない。しかし阪神・淡路大震災の事例から推計すると、少なくとも10兆円は必要だと考えられている。問題はその財源をどこに求めるかだ。

この点については、震災特例国債を発行するしか方法はないだろう。この国債は通常の赤字国債とは全く切り離し、復興事業以外には使えないようにする。また償還は、増税に頼るしかない。この増税も復興特別税とし、復興需要で景気が好転する2-3年後に導入、特例国債の償還以外には使えないようにする。税目は「みんなで負担する」ことを基本にして、所得税、法人税、それに消費税を5年程度に限って引き上げる。

こうした基本的な考え方が最も常識的かつ現実的だと思われるが、いま与党のなかにも野党のなかにも反対論が散見される。だが仮に震災特例国債や復興特別税が実現したとして、途中で政権が代わったら基本的な考え方も変更されるようなことがあってはならない。たとえば特例国債や特別税の収入を、財政赤字の穴埋めに転用されては困るわけだ。各政党はいま、復興計画と財源に関する基本的な考え方をマニフェストとして国民に約束すべきではないか。


原発事故の影響で、日本を訪れる外国人の数が急減している。観光局の集計によると、震災後の3月中下旬では前年比73%の減少だという。ところが株式市場では、全く逆の現象が起きている。東証の集計によると、3月14日ー4月8日の外国人投資家による買い越し額は1兆5500億円。昨年1年間の買い越し額3兆2104億円の半分近くに達した。

その一方で、国内の個人投資家や金融機関は大きく売り越している。このため先週も、日経平均は週間177円の値下がりとなった。この程度の下げ幅に止まったのは、外国人投資家のお蔭と言っていい。外国人投資家は割安になった日本株に目を付けているわけだが、その姿勢がいつまで続くのか。原発の復旧作業や震災の復興事業がモタつくと、空気が変わる危険もある。

ダウ平均も先週は38ドルの下げ。小幅ながら4週間ぶりの値下がりとなった。不安定な中東情勢を受けて原油が高騰、
ガソリン価格の上昇で個人消費が抑制されるのではないかという心配。ギリシャの国債利回りが14%に上昇、財政不安が再燃したこと。一部企業の決算が期待を下回ったことなどが、株価の足を引っ張った。

今週はインテル、ヤフー、シティ・グループ、IBM、マクドナルド、GEなど主要企業の決算が集中する。ニューヨーク市場がどんな反応を見せるか。経済指標は19日に、3月の消費動向調査。20日に、2月の第3次産業活動指数と3月の貿易統計。アメリカでは19日に、3月の住宅着工。20日に、3月の中古住宅販売。21日に、2月の住宅価格が発表になる。3月の貿易統計では、輸出の減少幅が注目される。

◇ カギを握る猛暑時の冷房 = 計画停電が解除された最近の電力需要は、ピーク時でも4100万キロワット-4200万キロワット程度。供給能力の4500万キロワットを下回っている。この需要が7-9月になると、5500万キロワットから6000万キロワットに跳ね上がると予想されている。その主たる原因は、冷房による電力の消費だ。要するに、仮に冷房の使用がなければ電力の不足は生じない。

もう1つ重要な点は、1日のうちでも電力需要が増大するピーク時の消費が抑えられればいいということ。政府は石油ショック時の1974年にも電力の使用制限令を発動したが、このときと現在とでは全く状況が違う。というのも当時は原油の確保が困難になり、化石エネルギーの総消費量を削減する必要に迫られていた。しかし今回は総量規制の必要はなく、ピーク時の需要を抑えることが課題となっている。

したがって、冷房需要がピークになる平日の10時-3時に冷房を使わない運動を展開したらどうだろう。被災地のことを念頭に置いて、いちばん暑い昼の5時間を我慢する。電車も新幹線などを除いて、この時間帯には冷房を入れない。もし関東地方の家庭の8割がそうすれば、ピーク時の電力需要を500万キロワットほど削減できる計算だ。

その代わり、病院や福祉施設などに対する使用制限は行わない。またピーク時以外の不必要な節電も奨励しない。デパートやスーパー、飲食店や小売り店は、できれば昼のピーク時は休んで夜遅くまで営業する。照明を明るくし、冷房も入れれば、お客も夕方から買い物に出かけるようになるだろう。景気にとっても大きなプラス。東京電力に供給余力ができれば、東北電力に電気を送ることも可能になる。「がんばれ! にっぽん」の気合で、“10-3冷房なし”運動を始めてみよう。