「時間は掛かりますけど」 | 「不登校・ひきこもり」と向きあった日々

「不登校・ひきこもり」と向きあった日々

私たちは不登校・ひきこもりを体験した子どもたちをもつ保護者の集まりです。
「先の見えない不安や苦しさ」「相談できない孤独」「わかってもらえない悲しさ」 このような中で自分と向きあってきた日々をつづります。

息子は小学3年生の時に腎臓病を患い

大学病院で入院治療をしたが、

担当医師から最初に・・・

「今の医学では完治することは出来ない。

現状維持及び悪化しないようにします。

そして本人の成長と共に自然治癒するの

を期待します」と説明された。

 

私は歯痒かったが専門医に言われたので

納得せざるをえなかった。

しかし心の中では納得していなかった。

 

 

 

入院中に、同じ病気の子を持つあるママ

から「漢方薬を飲んだ知り合いの子が、

薄皮を剥ぐようにだけど、治ったそうよ」

と聴いた。

 

教えてもらった情報を頼りに、中医学の

先生を訪ねた。

「時間はかかりますけど、治ります」と

キッパリと言った。

 

大学病院は「治すことは出来ない」と

言い、

中医学は

「治ります。時間は掛かりますけど」と

言った。

 

私に迷いは無かった。

その日から大学病院と中医学の診療所の

両方に通うことにした。

 

 

 

中医学では眼と舌と脈などから、その時の

息子の身体の状態を診て生薬の調合を決定

する。

1回の分量がこぶしを握ったくらいの生薬

を煎じ器で煎じて、大人の湯呑みいっぱい

に出来た独特の臭いと味の生薬を朝晩2回、

小学3年生から中学3年生までの7年間を

毎日飲み続けた。

 

中学を卒業する時に中医学の先生に・・・

「漢方薬も卒業だね」と言われ、

腎臓病が完治したことを告げられた。

私は天にも昇る気持ちだった。

 

 

 

そして息子は食事制限も運動制限もなく

元気に高校生活を送ることが出来た。

 

 

 

大学生になり音楽仲間と出会い、中退まで

して音楽で身を立てようと努力しましたが、

なかなか望むようにことが進まず、思い悩

むようになった。やがて家出をして家出先

で引きこもり生活となり、家族や友人とも

音信不通になった。

 

私はどうしたらいいのか分からず動くこと

が出来ず、あっという間に1年が過ぎた。

 

そのころに「東京都ニート相談窓口」とい

う1枚のチラシをもらい「違うのでは?」

と思いつつも電話を掛けた。

 

すると担当者の方が「状況的にこちらより

も『相談室ハーモニー』さんの方が良いと

思います」と言って、谷口英子先生を紹介

してくださった。

 

すぐにカウンセリングを申し込んだ。

 

カウンセリングで息子の経緯を伝えると、

谷口先生は

「年齢が高いので、より時間は掛かります

が、同じくらいの年齢の方で親子の絆を

取り戻した方はおります」と話しをして

くださった。

 

「親子の絆」が取り戻せた実例は、我が家

にとって「一筋の光」が見えたように感じ

た。

 

「時間は掛かりますけど・・」という言葉

を、またここでも聴くこととなった。

 

そして何の根拠もなかったが、

「4年くらい掛かるだろうから覚悟しよう」

と想った。

 

過去の腎臓病を治すのに7年掛かったこと

を思えば、4年くらい大したことないと思

えた。

 

 

 

谷口先生のアドバイス通り、息子の所を訪

ねるようなことはせずに、ひたすら絵手紙

に息子の身を案じていること、息子がいつ

実家に戻って来てもこちらの状況が分かっ

ているようにと想い、家族、親戚、近隣の

変化や近況報告を随時書いて送り続けた。

 

息子に対しての要求は一切しなかった。

 

息子に会えないその間は、私自身もワーク

ショップに通い「人と人の心地よい関わり

方」を学び続けた。

 

 

 

絵手紙を送り続けて8ヶ月目にポツリと

「帰っても、大丈夫?」とメールが

息子から入り、そこから少しずつメール

のやり取りが出来るようになった。

 

しかしその後1年もの間、息子が帰って

来る気配はまったくなかったが・・・

祖父(夫の父)が危篤になり知らせると

すぐに会いに来てくれた。

 

この時が、息子が家出をして会うことが

出来なくなってから、約3年弱の月日を

経ての再会の日となった。

 

谷口先生のカウンセリングを受けてから

で言うと、何とたったの2年弱だった。

 

 

 

渦中の時は、このまま親子関係が戻らぬ

まま死ぬまで息子に会えないのではない

かと、不安に想うことも沢山あったけど、

 

「時間は掛かりますけど」と言われた時

に、私が覚悟した4年より遥かに早く

息子に再会することが出来たことは・・・

谷口先生と祖父のお陰だと想っております。

 

 

by   かすみ草

 

 

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