TVスペシャルにおいて、孫悟空が死ぬ間際、ブルマに抱かれ泣くシーンで初登場。人造人間の暴挙を止められない自分の無力さに涙し、悟飯に師事する。超サイヤ人になれない自分にあせるも、悟飯に「自分をも超える」と感心させた。遊園地では、18号と闘い一撃を見舞うも力の差は大きく一蹴され、重症を負う。最後の仙豆を託され、復活後はひたすら超サイヤ人への覚醒を目指した。そのとき再び人造人間が現れ、闘いたいと懇願するが悟飯に気絶させられる。目覚めたとき、すでに悟飯は死んでおり、天を衝く怒りと激しい悲しみに涙し、超サイヤ人に覚醒した。
3年後、超サイヤ人に自由に変身できるほどに成長。人造人間との闘いに向かったが、自身の攻撃が通用せず、戦意喪失。18号から至近距離でのエネルギー波をくらい重症を負った。退院後、ブルマから心臓病の薬を手渡され、過去へ。「悟空が瞬間移動で地球に戻ってくる」という歴史を知らなかったため、先走ってフリーザ一味を瞬殺。悟空に未来の惨状を知らせ、一旦帰還。その後、3年後の時代では17号や18号は未だ現れておらず、歴史のズレに驚愕。目覚めた17号と18号、16号を恐れ、ベジータを説得するも失敗。加勢するものの全く歯が立たなかった。
再び研究所に行き、幼体のセルを消した後は精神と時の部屋で修行し、第2形態のセルをも圧倒する超パワーを身につける。完全体のセルをも倒そうとするが、超パワーのバランスについての知識不足により惨敗。再び精神と時の部屋で修行する。
セルゲームでは、セルジュニアと闘うも活躍できず、セルの放ったエネルギー弾で死亡した。しかし、ドラゴンボールで復活したあとは、仲間たちとに見送られ未来へ帰還。最後は17号・18号、そしてセルをも圧倒的パワーで撃破し、未来に平和を取り戻した。(CV:草尾毅)
今シリーズもう一人の主人公、それが鳥山先生も女性ファンを意識して書いたというトランクスだ。
生後1歳にも満たない中、この世は人造人間による地獄と化し、生きてきた彼。4歳で荒野に放り出されピッコロの特訓を受けた悟飯以上の過酷さである。なのに13歳になってもなかなか超サイヤ人に目覚められなかった。かたやブウ編の少年トランクスなど贅沢きままに暮らして、わずか8歳で覚醒したというのに・・この差はいったいなんなのだろう。そりゃべジータも「超サイヤ人のバーゲンセールだな」とあきれるというものだ。
遊園地では足手まといになったが、むしろ恐れずに立ち向かったその勇気を評価すべき。「俺はやらねえぞ、見物だけだからな!」なんて言う人もいるだけに際立つというものだ。
超サイヤ人への覚醒シーンは声優の草尾毅氏の熱演とBGMで、むちゃくちゃ胸が痛くなる。あの水たまりに倒れる悟飯の姿はあまりにも痛々しい。
それだけに彼の初登場時は破格の好待遇だった。まず作画監督がご存知中鶴勝祥氏。キャラクターデザインを担当しており、当時最高の作画監督である。それに加え、超サイヤ人への変身時には伝説BGM「バトルポイントアンリミテッド」が流された。
このBGMはCDの「ヒット曲集」に収録されているものであり、サントラには収録されていない。知る人ぞ知る曲だったのだが、改の盗作騒動により水をさされることになってしまった。
しかし真のファンなら、そんなことを気にせず観てほしい。このトランクス対フリーザは、演出・作画・BGM、全て
スタッフの意気込みが伝わる神回であった。
その後の回の作画がアレなだけにさらに際立つ内容となった。
さて、そんな好感度抜群のトランクス君だが、スペシャルでも本編においても、後半で急激に株が暴落してしまった。まずスペシャルでは、自分から「自信があるんだ!」と意気込みながら、「だ・・だめだ・・かわされている・・ど、どこだ!どこにいるんだ!!」と逃げ回ったうえに二人にめったくそにされてボロ負け。「攻撃が直線的だよ・・そんなの疲れるだけだと思うけど」とは18号の弁であるが、やっぱりこの辺は親父そっくりだなあと。べジータさんもフリーザとの闘いで絶望し、戦意喪失してボロ負けし、セル戦でも32巻と35巻で連続エネルギー弾をひたすら撃ちまくった末に一蹴されている。トランクスも冷静さを失ってからはエネルギー弾の連発ばかりだった。
しかし、実戦経験の乏しさからすれば仕方のないことかもしれない。師匠の悟飯は5歳でナッパやべジータ、リクーム、フリーザといった絶望的な実力差のあるものとばかり闘って生き抜いてきた。かたやトランクスは闘いに行くときはいつもそばに悟飯がいた。単身闘いに挑むのはこれが始めてなのである。恐怖におびえ、ひきつってしまっても誰も彼を責めることはできないだろう。怒りよりも恐怖が上回ってしまった時点でもはや彼に勝機はなかったのである。
さらに再び未来から本編の歴史に来てからは、ろくなことがなかった。自分の思っていた歴史とは全然状況が違い、とっくに治っているはずの悟空はダウン、ドクターゲロは生きている、父親は大暴走する、その父親に殴られる、16号なんて全然知らん奴まで出てくる、17号、18号に一蹴される、セルの存在で頭はパニック、もうトランクス本人からしたらまさに「なんでやねん」の連続だったろう。
そんな彼に再び光が訪れたかにみえたのが、精神と時の部屋からでたあとである。ロングになった髪、それに伴なう超サイヤ人でのロングヘアー。「完全体にはさせんぞ!!」と必死で18号を逃がそうとする彼の姿には、結果がわかってても「がんばれー!」と応援してしまう。
そして「お前を殺すぞ・・セル」の超変身。もはやブロリー級の迫力を身につけたトランクス。アニメではベジータが一方的にやられたセルを相手にわざと時間稼ぎができる力を発揮しており、まさに栄光の瞬間であった。
まさかこのあとにあんな悪夢の展開が待っていると誰が予想したであろう。
「こんなパワーアップのためだけの変身ではなにも生み出せない・・バカだお前は」
「こんなことは誰だってわかる!お前の父ベジータでもな!!」
ついさっき五分の激闘を繰り広げていたはずのセルにこの言われよう。
もうこれで彼の名は地に堕ち、小学生当時、俺の周りの男子の中では「青二才」という印象が完全についてしまっていた。学校では「トランクスが好き」と言うだけで、言った俺自身も「え~」と批判されるほどであり、実に悲しかった。
そしてセルゲームでは、セルジュニア相手に奮闘していたはずなのであるが、ピッコロさんがアニメで獅子奮迅の活躍を見せてくれたのとは対照的に、彼の活躍シーンはほとんど無く、原作でもあったあの回し蹴りだけだった。
ついこないだまでセルとあんなに激闘していたというのに・・・
天さんやヤムチャの活躍より、トランクスがセルジュニアと互角の闘いをするところを見たかった。とどめにあの35巻のあっけなさすぎる死亡シーンである。もはやいいとこなしなキャラに堕ちてしまっていたように思えた。
だが、鳥山先生は彼を見捨ててはいなかった。未来編完結の原作2話は名誉挽回・汚名返上に十分になった。
「ではなぜ17号と18号はいなくなったんだ・・?」
「絶対にお前を過去にはいかさん!」
この時の彼の姿にしびれたのは私だけじゃないだろう。あれだけのことがあったからこそ、「こんな立派になって・・」と彼が一段と輝いたのだと私は思う。
そして「孫悟空の死」というトランクスの衝撃的な宣言から始まった人造人間編は、「孫悟空の死」で決着がつき、その「孫悟空の死」を宣言したトランクスによって幕が閉じられたのである。
余談だが、この青年トランクスはゲームでかなり多彩な技名を披露している割には、劇場版の魔閃光以外一切技名を叫んだことがない。PS2やPS3でも覚えられんほどの技をもっているが、リアルタイム世代の俺としては、トランクスの必殺技といえばやはり超武闘伝の「バーニングアタック」と「フィニッシュバスター」を思い浮かべる。ちなみに一番好きなのは、アルティメットバトル22の「バーニングヘルズスラッシャー」である。



