北斗の拳 ラオウ伝 殉愛の章 | 極星十字相殺拳

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真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝 殉愛の章 ディレクターズ版 初回限定版 [DVD]/阿部寛,宇梶剛士,柴咲コウ

 本作は、真救世主伝説シリーズの第一作。内容はサウザーとの闘いがメイン。主人公はケンシロウだが、物語の視点を拳王様におくことで、原作とは違ったストーリーを展開している。また、本シリーズには拳王様の幼馴染のソウガとレイナが登場する。 

 

 コミックバンチにおいて制作発表され、声優が全変更と知ったときは天を衝く怒りに身を震わしたものだが、今となっては、これはこれでありだったと思わざるをえない。慣れというのは恐ろしいものである。

 事実、劇場で観たときは阿部寛氏の違和感のなさ、そして柴崎コウの圧倒的うまさに驚愕した。阿部氏は「ケンシロウの声は神谷さん以外に考えられない」と一度は断ろうとしたが、最終的には「できるだけ神谷さんに近づけよう」と演じたそうだ。その気持ちが嬉しいし、PVで「お前はもう死んでいる」や「貴様もまた野望ゆえに闘うというのか」を聞いたとき、「え・・?神谷さんやんな?」と思った人も少なくないだろう。 

 柴崎コウについては、そもそもレイナ自体が新キャラのため、あってるも何もないし、冒頭のナレーションが実に魅力的であった。

 

 やはり、ファンに抵抗があったのは拳王様を演じた宇梶剛士氏であろう。その声質の違いには当初私も愕然とした。しかし、考えてみてほしい。内海賢二御大はもはや72歳という高齢である。パチスロやゲームならともかく、それほど高齢な方に全国劇場版の主役をやり、20年以上前の迫力ある声を常に出して演じてくれなどどいえるだろうか。 

 それに、本シリーズの拳王様と旧アニメの拳王様では雰囲気が違う。二人ならんだらほとんど別人だ。宇梶氏と内海氏の声質と同様にキャラ設定も異なっている。内海氏が演じていても違和感はあったのではないか。

 長々書いたが、つまり私が言いたいのは「旧アニメとは別物として考えろ。」ということである。旧アニメは「世紀末救世主伝説 北斗の拳」で、本作は「真救世主伝説 北斗の拳」なのだから。

 もう一つ批判されるのは、オウガイの件がカットされている点だろう。当時散々な評価をくらったのをよく覚えている。しかし、あのストーリーの雰囲気でオウガイだしたら、そのほうが違和感があるとは思いませんか?と思うのだ。脚本:堀江信彦御大も「サウザーには悪役に徹してもらいました」と述べておられる。今回の「殉愛の章」はレイナの拳王様に対する殉愛を描いた作品だ。カットするのもやむを得ないだろう。

 ちなみにサウザーやシュウ、トキもそれぞれ声優が違うが、この3人もなんら違和感がない。シュウの最期は劇場でかなり泣いた。

 私の一押しは、あの松本孝弘氏作曲の本作のテーマ曲である。未だCD化されていないが個人的にはキルザファイに匹敵する名曲と思う。
 ディレクターズカット版には武原堀江の北斗三巨頭によるインタビューなどがあり、かなり魅力的なものがあるので一見の価値はある。ぜひ観て欲しい。