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しなくて良い親の介護

ようやく子育てのゴールが見え始めたら、親の介護がスタート⁉
他にも兄弟がいるのに自分にだけ、頼ってくる両親。不公平じゃない?

私は弟が嫌いです。


ほんの小さな幼児の頃から
弟は暴れん坊で暴力的でした。


弟が暴れ出すと、大人でも手に余りました。


母は暴れる弟を制止する事ができず、
弟が大人しくなるまで放置しました。


その被害をもろに受けたのが私でした。


おもちゃを壊されて、
叩かれて、蹴られて、
髪を引っ張られて、
噛まれて、
私は泣き叫びました。


それでも母は弟を止めませんでした。


弟の気が済むのを待っていました。


毎日、毎日、何度も、
こんな事が繰り広げられていました。


祖父の家に行った時、
家の前にポイ捨てされた
火の消えていない
タバコが落ちていました。


それを見つけた弟は
嬉しそうにそれを拾って
吸おうとしました。


私が、「吸ったらダメ」と言うと
「それなら、お姉ちゃん吸って」
と言いました。


私が嫌だと言うと、
苛立った弟は私に捕まりかかって
無理矢理に吸わせようとして
口元にタバコを押し付けました。


私は「やめて、やめて。」と言って
揉み合いになりました。


私に吸わせられない事がわかると、
弟は更に苛立って、
火のついたタバコを
私の首元に
押し付けました。


叫び声をあげ、私は泣きながら、
家の中に逃げ込みました。


母は家の中で叔母と
おしゃべりをしていました。


私が弟にタバコの火を 
押し付けられた事を訴えました。


それを聞いた叔母の
ものすごく驚いた様子を見て、

ばつの悪かった母は、


「もう、この子は本当に大袈裟ね。
ちょっと当たっただけでしょ?
何ともなって無いじゃない」


と言いながら、
弟のしたことを

うやむやにしようとしました。


叔母は私の首を見て
「赤くなってるよ、薬塗ってあげないと」
と言って薬を渡してくれました。


叔母は弟に
「タバコなんか拾うもんじゃ無いよ」と

言ってくれましたが、


弟が「お姉ちゃんが拾えって言った」
と言いました。


私は否定しましたが、
自分のことを貶められたように感じましたし、
叔母に私が悪い子だと思われてしまったと
感じて悲しくなりました。


母は無言で私の腕を

掴んで引き寄せ、


忌々しげな表情で乱暴に
薬を塗りつけて、


「あっち行って遊んでなさい」


そう言って私を追い払いました。

 

こんなことが
弟が10歳になるくらいまで
続きました。


こんな風だったので
私は弟の事も母の事も
好きにはなれませんでした。


うわべでは家族が好きだと
装っていましたが、
いつも2人のことを
警戒していました。

 


大人になってから、
母や弟のことを
理解しようとしました。

 

家族を嫌っていては
自分が幸せになれないと
思っていたからです。


母は生活が大変で
辛かったから
しょうがなかったのだ。


弟は母にかまって
貰いたくて
暴れていただけなのだ。


そんなふうに考えて
許したつもりに
なっていました。


ですが、何年経っても、
私の体の中には
ザワザワする気持ち悪さが
残っていました。


弟の顔を見るたびに
感じる不快感。


子供の頃の事を
大人になっても
根に持つなんて
馬鹿馬鹿しい。


そう思って忘れたつもりに
なっていました。


最近、未熟な自分でいいと
思うようになりました。


未熟な自分のことを
愛してくれる人たちがいる。


家族でなくても
親切にしてくれる人がいる。


そう感じることが幸せだと
思うようになりました。 


そして、自分に正直で良いと
信じられるように
なりました。


心が正直になってきたので
本心では許していない事を
無視できなくなりました。


未熟な自分では
幸せになれないと
思っていました。


だから、見ないようにして
幸せになろうと 
していました。


蓋をして心の奥底に
埋めてしまっていただけ
だったので、


ほんとうに
幸せになる事は
できませんでした。


弟の事が許せなかったんだ。


そして、弟のことを許さなくても
いいんだと思いました。


弟のことを許さなくていい、
それでも私は幸せになれると
わかりました。


私は心の中で弟を
切り離しました。


以前は、家族を切り離すなんて、
罰当たりだ、


そんなことでは幸せになれない


そんな不安を感じて、
切り離す事ができませんでした。


血の繋がった家族というのは
自分の体の一部のように感じます。


もし自分の指先が壊死して
切断しなければいけないと


医者に言われたとしても

すぐに承諾はできないでしょう。

 

壊死した指先が、

いつか元通りになるかもしれない。


そんな希望を捨てて、

自分の指先を切断すると決めることは

本当に難しいと思います。


でも、壊死した指先は

もう元には戻りません。


遅かれ早かれ

切断してしまわなければ
体中に毒素が回ってしまい、

自分の命を脅かします。


自分の命を守るためには、

どんなにつらくても
壊死した指先を切断する他に

方法はないのです。


そう思うと

嗚咽がこみ上げ、

幾筋もの涙が

頬を流れ落ちました。


それでも私は、

 

体の一部を切り離す痛みに耐え、


自分の命を守る決断をしました。