蝦夷地唯一の大名として長く君臨した松前氏。その歴史は蝦夷地に渡った武士が動乱の中から頭角を現し、遂には一国一城の大名にまで上り詰めた軌跡はこの渡島半島に残る史跡が物語っています。今回は渡島半島の「付け根」にあたる上ノ国町から南端にある城下町松前までのドライブ旅。そこは本当に北海道の道らしい広くそして殆ど車も人もいない爆走の旅であった。
前回は洲崎館は上ノ国町の中にあったが、今回訪問する花沢館は少し離れた郊外の所にある。高台には続日本100名城に選出された勝山館がある。花沢館はそのすぐ近くの少し低地の場所にあった。国道沿いであり、きちんと「花沢館」という案内表示があるのだが、問題は駐車場らしいものがないということ。既にここ北海道は鉄道も消え、バスもどんどん先細りになっており、今や車訪問が前提だ。しかし花沢館にはそれらしいものがない。仕方なく入口付近の空き地らしい場所に止めさせてもらった。
入口から少し登っていくと草むらだらけだが、館跡への道が少し草むらだらけであるが、ある。しかし、こういう草むらは一番今怖い。既に訪問時期はクマの出没件数が今までにないくらい増加しだしており、いつ何時ヒグマに出くわすか分かったものじゃない。途中に鐘があった。もちろんガンガンガン!!20回くらい叩いて上へ登っていく。
やがて段々状になった曲輪らしき場所に到達した。
高台の上がかつての花沢館であろう。中世城館らしく背後に土塁と堀切があった。元々この上ノ国町には3つの館跡があった。
花沢館→(前回紹介した)洲崎館→そして勝山館である。中世に蝦夷地と呼ばれた今の北海道に移住した和人達は十二の館を建設し、ここを足掛かりにある時はアイヌと平和裏に共存共栄し、ある時には搾取と戦争を繰り広げていた。花沢館はその十二館の一つであり、有名なコシャマインの乱の時にも館主であった蠣崎氏と当時そこに客将であった松前氏の先祖である武田信広らが奮戦し、陥落を免れた数少ない館である。そしてやがて武田信広は逆にこのアイヌの乱を鎮圧し、飛躍の時を迎えることになる。いわば松前氏の揺籃の地である。
次の勝山館は既に記事にしてあるので簡易に。花沢館→洲崎館と道南における和人勢力で頭角を現した武田信広が最終的な本拠地として定めたのがここ勝山館である。ここは流石に続日本100名城にも指定されるだけあって、他の2館と違い、道路も整備され、ガイダンス施設もあるなど非常に恵まれている。車できたら本当にあっという間であった。
日本海と江差の町を遠くに臨む
そして整備された史跡として見事な柵と
空堀
木橋もある。
やはりこの勝山館は本当に北海道でも数少ない史跡整備された城塞だけあって、いつ来てもいい。
さてそのまま渡島半島沿いの国道をひたすら南下していく。出来れば途中の町などでも下りてみたいと言う思いがあったが、この200㌔近い道路を走破して函館市内に夕方まで戻らなくてはならない。
そして松前では道の駅にてサーモン丼を食事。
道の駅傍にはかつて江戸時代に使われていた福山波止場が復元されていた。
かつて日本海沿岸沿いの物流の大動脈であった北前船は日本海の荒波を越えて、ここ松前で蝦夷地の物産品を全国へと運んで行ったのである。かつてそれこそ蝦夷地で一番繁栄した城下町(というか唯一であるが)の面影である。ただし、その統治は特に江戸期のそれはアイヌに対する搾取の度合いが酷く、何度も乱を起こすものであったが…
松前城、正式名称は福山城であるが、幕末に海防のために築かれた城は本格的な和城を北海道に誕生させた。
もっともやはり長きにわたる泰平の時代の末に築かれたものであるためか、戦国~江戸初期という戦乱の記憶が色濃く残された時代に築かれた本州の城と比較するとどうもやはり「これ大丈夫?」という思いを禁じ得ないくらいどうにも城としての防御力に不安を感じてしまう。堀の感覚は狭く、いしかも途中にこんな足場を作ってしまってはね…
現存する大手門と鉄筋コンクリートで復元された天守
元々、ここ松前城天守は昭和それも太平洋戦争後にまで残っていた貴重な天守であった。戦後の失火さえなければ、貴重な現存天守としてもっと多くの人々が訪れただろうに返す返すも残念でならない。近年、木造で復元する動きがあるようだが、果たして?
松前城の奥にある阿吽寺の門はかつての松前城の門を移築したものと言われている。
かつては交易で繁栄した城下町。その繁栄の度合いはそれこそ船乗りたちが青森まで来た時には「辺境まで来た」と思っていたのに、北海道まで来たらまるで上方のような賑わいで驚いたという逸話もあるくらいである。中世に蝦夷地に渡り、遂には明治まで続く北海道の大名となった松前氏の歴史はこの渡島半島南部に残されている。
〇アクセス
JR北海道新幹線木古内駅から車で1時間30分(花沢館)入口から主郭まで約15分
「花沢館に狼煙が一本…」




















