先週、映画鑑賞。ここ数年、映画館での鑑賞が当たり前となっていたコナン映画。今回は

怪盗キッドが出る!久しぶりに山口勝平さんのボイスが長く聞けるぞ!

と実はかなりワクワクしていたんですよ。長いことの勝平さんファンである私にとっても怪盗キッドが登場する映画はやっぱり待ち望んだ回。ほら勝平さんってさぁ…コナンではレギュラーなのに凄い出番無くて悲しくなるのよ。基本的に映画版での登場は最早恒例の自己紹介コーナー(前半オンリー)かたまに蘭姉ちゃんとの電話での吹替くらいしか出番が無くていつも哀しい思いがしていたんで、胸躍る映画館鑑賞で見れる!…と思っていたのですよ。そして映画館を見た時の感想はというと…

もうこれが全てでした。

なんかここ数年見たコナン映画では一番微妙なクオリティ。特に昨年の『黒鉄の魚影』がエンタメとしてもミステリものとしても非常に高いバランスを取っていただけに今回の残念さが際立ってしまうのよね。とりあえず今回、謎として機能していたのは

何も知らない大泉さんネタ

が一身に担っておりました。ここだけは随所で伏線が張られ、ツッコミどころも実は最後には見事に回収されていたのです。今回もドジっ子の大泉と思わせて、お?と思わせるようなネタの数々。あと大岡紅葉はやはりゆきのさつきの妖艶さが堪らないのよね。今回、残念ながらキッドとの絡みが無かったのが本当に残念(るーみっくワールドの住人的に)だったけど、まあネタとして彼女の北海道の名所ツアーは楽しませてもらいました。

良かったのはここまで

あとは色々とツッコミどころ満載でした。いやまぁ、コナン映画に真面目なツッコミはするなんて野暮の極みなんですが、今回はそんな理性も吹っ飛ぶほど全体的に整合性が取れていない。とりあえず箇条書きで私がダメと思った箇所を述べていくことにしましょう。

 

①犯人の行動のチグハグさと唐突で滅茶苦茶な行動原理

今回は登場人物が少なく、しかもアカラサマな「怪しすぎて容疑者から除外」されるキャラを除くと完全に容疑者候補が簡単に特定されてしまう方式。だから「犯人」についても簡単にあの人だろうと特定してしまっているのですが、問題なのは今回犠牲者一人だけというコナン映画にしては控えめだった殺人事件に関して言えば、最後まで見ると余計な蛇足でしかなかったのはミステリものとして大きなマイナス。実際、今回の被害者についていうなら強いて犯人が殺人を犯す必然性が全然見えなかったのよね。おまけに殺人事件についての推理はそっちのけでいつの間にか宝探しがメインで殺人事件はそっちのけとなっていました。

完全に殺され損になった被害者涙目

 おまけに犯人が中盤で取った行動が逆に「彼」に「託す」ための行動において大きな制約となっていて、全く整合性がついていないのよ。一葉のフォローがあって「フレームアップ」であることが判明したからいいものの(それでもあの程度で無罪と判断する警察もどうかと思うが…)もし「彼」があのまま拘束されたままだったならどうするつもりだったのでしょう。

オマケに一般人でしかない彼がいきなりセスナで万歳アタック

これも何の伏線も無いままなんで、もう「セスナの翼上で人間があんな戦えるわけはないだろ!」というツッコミ以前の問題。いやほらコナンって、一応一般的には「黒の組織に生存を知られない為に潜伏している」のに正体隠す気あるのかってほど映画では凄まじいフリーダムな活躍っぷりをしているのですが、これも

「名探偵」として知名度UPとなった小五郎のおっちゃんの存在

キッド関連で言えばコナン自身も「キッドキラー」として顔が効く

天才科学者阿笠博士のチートな発明品

財閥令嬢である鈴木園子のコネ(今回も見事にオンライン越しで達成)

FBIや公安警察のバックアップ

ついでに黒の組織内部が内通者だらけ(笑)

があるからそのフリーダムさには最低限の整合性があるのです。犯人についても特別なスキルがあるという設定を用意していることで今までもその辺の整合性はキチンと取れていました。ところが今回の犯人についていうなら一般人でしかないのに(一応、先代の財閥当主が遺した遺産も活用したとはいえ)幾ら何でもフリーダム過ぎ。更に「彼」の行動原理である「親族が戦争で落命した」と後付けで動機を平次にペラペラと話していますが、そういうのはちゃんと事前に伏線を張れよ。おまけに「兵器を憎む」為に取った行動が

「戦局を一変させる兵器が犯罪者に渡ったら多くの犠牲者が出る。だからたとえ多くの人を巻き添えにしても特攻で破壊する」

という「慶喜が生きていたら多くの人が戦火の犠牲になる。だから江戸を焼き討ちにしろ」という『西郷どん』の主人公並みにサイコパスな行動原理は流石にどーよ?

 

②「宝」を「兵器」にした弊害と隠し場所の安直さについて

「太平洋戦争時に隠匿された『戦況を一変させる兵器』」

だったのですが…

80年も碌に管理されていない隠匿兵器が現代で使い物になるわけないだろ定期

という身も蓋もない結論でしかないわけですよ。仮に核兵器だろうと、ウィルス兵器だろうとこれにしかなり得ない訳で、そんな代物に外国の武器商人までが血眼になって探すんだよ。(それも今までは慈善家という表向きの仮面を被っている設定が顔バレで露骨な犯罪行為までして)で、案の定正体が判明すると、やっぱりこの結論に達するしかないわけでそんな当たり前の結論に結局行きつくわけですよ。ここら辺「兵器」ではなく、金塊にしていたらまだ説得力があった…でもそれやるとゴールデンカムイの丸パクになってしまうからなぁ…

あと、宝の隠し場所の安直さが気になりました。いや、まあタイトルの時点で嫌な予感はしていたのですが、流石にそれはないやろと思っていたら、まんまそのままだったのが本当に憤怒した。。マジレスすると

「宝の隠し場所となったあのスポットは元々太平洋戦争まで帝国軍の管理下にあった場所」

であり、たとえ暗号解読できなくてもまずは「あそこが怪しいんじゃないの?」と宝を追い求めていたメンバーが全く考えもしていなかったのは迂闊すぎ。

 

③副長が出てくる必然性

はい、これももう完全にゼロです。単に宝を隠した財閥の初代が土方ファンだっただけで、この箱館戦争パートと戦中パートが殆どリンクしていなかったのが痛い。もうこれでいいよね。おまけに副長にとっての黒歴史の〇〇が暗号解読のヒントに使われるとか当人からしたら「死体蹴り」もいいところ。

 

④今回の衝撃の真実公開ネタ

去年の作品での衝撃の真実ネタは非常に良かったです。黒の組織の内情やそしてあの方についての「ヒント」が隠され、まさに本編を補完する役割を果たしていたと言えるので、まさに美味しいネタでした。しかるに今回の

「何で怪盗キッドと工藤新一はそっくりなのか?」

はいや、そりゃ漫画家の作画の癖だからに決まっているじゃない。いや確かに原作者先生は「キッドと新一がそっくりなのは偶然ではない」と言っているけどさ…

こんな蘭姉ちゃんにそっくりな中森青子まで今回登場していて今更過ぎひん?(ただし、胸の大きさと戦闘力は除く)これだと

毛利小五郎と中森銀三は双子の兄弟でないと整合性取れへんぞ

(完全なネタバレ)