〇三河に残る古い城下町


愛知県西尾市、旧三河国地域では尾張に近い地域であり、名鉄西尾線で名古屋まで直通の電車が走るなど比較的名古屋からも近場で行ける城下町。その一方で、城跡としての遺構もそれなりに残っているので非常に良い所です。

町の随所に城のかつての門などの表示が残っています。ここは二の丸鉄門跡

二の丸は市街地化されていますが、

ここから内側は西尾市歴史公園となっています。まずはこちらは木造で復元された二の丸丑寅櫓です。

そしてここから天守台石垣までの土塀は何と令和2年に復元されたという最新の復元物。もちろんきちんとした史料による考証によるものです。

丑寅櫓は見た目は2層2階ですが、実は内部は3階構造となっています。

土塀内部

流石に最新の木造復元とあって内部はかなり綺麗です。

そして西尾城の特色として天守台は本丸ではなく二の丸にあると言う点です。この

天守再建計画もあるそうですが、果たして?

そして日本全国でも珍しい景色が見られるのはここの土塀です。

この土塀、2か所で「屏風折れ」と呼ばれる独特の構造となっており、

それがこうして鮮明に見られるのは非常に嬉しい限り。これだけでも西尾城に来てよかった!と思えました。

現在は二の丸は公園となっており、広い平地となっています。かつてはここに城主の御殿が建てられていました。

西尾歴史公園のマップ

二の丸と本丸の一部を歴史公園とし、そこに2基の櫓と1基の門が復元された名古屋近郊では貴重な復元城郭

 

鍮石門

 

 

城主の居所である二の丸御殿に至る城の重要な門でした。

水堀

そしてここからは上が本丸となります。

ここの石垣は年季を感じさせるものとなっています。

 

馬出跡

近衛邸

京から移築された屋敷で、その名が示す通り、公家の近衛家の建物を移築したものです。江戸後期の建物と言われており、今も室内での茶室サービス(有料)があります。

本丸内部は西尾神社境内となっており、

あちこちに残る石垣は二の丸と違い、現存したものであることを示しています。

 

そして城では一番の最高所にあるのが本丸丑寅櫓

二の丸にもさっきご紹介した通り丑寅櫓があるので、同じ名前の櫓が2つあるというのも珍しい

こちらも平成8年に木造復元されたものです。

 

 

 

事実上の天守に相当する城や城下町を見下ろす役目を果たしていた本丸丑寅櫓

この光景は非常にお城らしくていい光景です。

公園内には西尾市資料館があるので是非寄っておきましょう。西尾城の歴史解説や書籍もあります。

かつての西尾城は城下町全体を堀で囲う総構の構造をしていました。

西尾城東の丸太鼓門跡

現在は学校敷地となっています。

西尾歴史公園内にもう一つあるのが尚古荘

昭和初期の米商人岩崎明三郎によって建てられた京風庭園付きの建物で、東の丸跡にかつての城を偲ぶ思いで建てられたと言われています。

西尾藩6万石の城下町として栄えた西尾市。その面影は随所に残っており、名古屋近郊で見られる貴重な城下町でした。

 

〇吉良氏の城として

西尾城の歴史は古く鎌倉時代に承久の乱で戦功を立て、三河国守護となった足利義氏によって築城されたのが始まりと言われています。その後、彼の子孫が吉良氏と名乗り、以後は足利宗家を支える一門の本拠地として重要な場所でした。その後は戦国期には城主が目まぐるしく変わり、天正13年(1585)徳川家臣の酒井重忠によって現在の西尾城の形になったと考えられています。

江戸期にもここは譜代大名が入れ替わりで頻繁に転封を繰り返しましたが、最終的には大給松平家6万石の藩として、明治維新を迎えたのでした。

 

〇アクセス


名鉄西尾線西尾駅から徒歩15分

・西尾歴史公園

午前9時から午後6時(10月~3月は午後5時まで)

・本丸丑寅櫓

午前9時30分~午後4時

・西尾市史料館

開館時間:4〜9月 9:00〜18:00
     10〜3月 9:00〜17:00

入館料  無料

休館日  月曜日・年末年始

 

「西尾城に狼煙が一本…」