先日、映画館で鑑賞してきました。実は鑑賞前から頻繁に感想ネタバレなどを見たり、職場の同僚たちからの感想も聞いてしまったのですが、まあ本作に関してはネタバレなんて気にしない気にしない♫

基本的にあたしゃSEEDシリーズには脚本には何ら気にしていない

いやSEEDシリーズって何かこう音楽とかMSバトルとかは素晴らしいのだけど、シナリオ面では何ら期待できない、と端緒から切って捨てていますし、実際見てきた感想は

私「うん、これはやはりお祭り映画なんだよな。真面目に感想とか言う意味がない」

それにしても世の中分からないものです。何度か映画化の話はあったけど諸事情でお蔵入りとなり、そのまま誰しもが忘れ去っていたと思ったら何と20年近い歳月を経て、まさかの公開するとか。最初は「でも流石に20年前のシリーズを今更映画公開してヒットするのか?」などと思っていたのですが、なんと凄まじい反響で、公開1週間での興収跳ね上がっているそう。これはガンダム映画の過去最高を記録した『閃光のハサウェイ』を超えるのも時間の問題になりそうです。うーん、しかしそうなるとやはり

私のような宇宙世紀至上主義者としては「映画1本でMSバトルそっちのけで宇宙世紀世界観の再現に費やした『ハサウェイ』という傑作がお祭り映画に負けることになるのか…」とちょっと複雑な気分。これは是非とも早くハサウェイ第2部でオールドファン総動員しないといけませんね(使命感)

 

なお私は基本的に本作に関しては真面目なツッコミはNG

ネタ的な意味合いでのコメディとして見ています。

作中に出てくる数々の描写(ラクスがアコードのオルフェと惹かれあうシーン)や「臭すぎる」台詞に「これギャグとして描いているの?それとも真面目に描いているつもり?」と真剣にどっちなの?と自問自答しながら見ていました(笑)

ストーリーの粗筋も

「TV版本編では登場してこなかったポッと出の新興国家が世界を自分の都合の良いように改変しようとキーマンであるヒロインを誘拐します。主人公達は一度は相手のチート能力の前に敗北を喫しますが、かつてTV版で敵対した者たちが総出で味方化して、戦います。そうなると何しろオーバースペック集団なのでやはり彼らの敵ではありませんでした。かくして新興国は敗れ去り、主人公は意中の人と結ばれます。メデタシメデタシ」

と固有名詞さえ入れ替えれば

 

『コードギアス 復活のルルーシュ』と瓜二つなのもそっくり。そう考えると新キャラの天才技術者アルバート・ハインラインにCV:福山潤というのもそういう意味でのセルフパロディとしては最高でした。他にも3回目の登板で念願のキャラ生存となったSV桑島のアグネスが寝返るシーンとか完全に

『逆襲のシャア』のクェスのシチュエーションそのまま。ついでにルナマリアとのバトルシーンは『Zガンダム』エマとレコアそのまんまとか

こちらも「本気出した」シンのF91パロディとかネタ的な意味での笑いがこみ上げてくるシーンが多数ありました。

そう、本作は真面目な感想を述べるなんて野暮。そりゃさ、色々と言いたい部分はあるんですよ。今頃になって本編には一切出てこなかった

「ラクス・クラインは実はコーディネーターを超える支配者人種『アコード』の一人として生まれたんだよ!」

「な、何だってー!!」

とか今頃になって更にまた風呂敷広げてどーすんだよとか、「テレパシー能力」とかこれまでオカルト描写については控えめだったSEED世界観をぶち壊しにしかねないスペックとか…他にもアークエンジェル退艦時のマリューさんのボロボロ軍服姿とかラクスのノーマルスーツ姿とかのエロ、そしてレクイエム攻撃で焼かれる人体描写とか過剰なまでのエロとグロには凄まじいクオリテ五とか良くも悪くもSEED作品らしさ全開。折角の

「ディスティニープランが導入された場合の負の影響」を提示する

というこれはこれで真面目な作品としてなら非常に良い着眼点があったのに、ファウンデーション陣営のメンバーが悪い意味でヒャッハーーすぎるわ、初登場時から怪しさ全開でこれを見抜けないコンパスのメンバーもどうか?と思うよ。

つまりは「優秀」とされた者達が支配者階級となり、劣等とされた人々を搾取し、選民国家という形でのファウンデーション王国を登場させながら、それらが全く生かされず(アスランが潜入調査する時の僅かなシーンのみ)、ファウンデーション陣営の「正義」を糾弾する主人公陣営の主張がそれらではなく

「好きな人と愛することのできない世界は嫌だ!」

と恐ろしすぎるほどのシンプルな回答で終わってしまったのは残念。まあこれも真面目な作品と取るからダメなんですよね。むしろ女王アウラのCV田村ゆかりでの「ゆかり王国」「ロリBBA」というネタとして見たらいいのですよね、いやさぁ、正直言うと『コードギアス』との違いはというとこの「敵対陣営」の描写と主張がスカスカすぎるのが残念と言えば残念。あの作品で言えば、アウラはシャムナに相当するのですが、肝心のアウラの内面とかが全く深掘りできていない点で負け。ちなみに本気になった田村ゆかりの新国家建設に向けてのビジョンと狂気ぶりなら

『シュバルツェスマーケン』のベアトリクス・ブレーメで彼女の凄みを味わえます。

アウラ「私に歯向かう者は人類の敵だ!!」

とここにスズケンさんが出てくれば

シン・アスカ「俺たちを舐めるな!」

となったのになぁ…失礼。

しかも結局締めくくりはキラとラクスがまたラブラブカップルに戻って終わりメデタシメデタシ…ってそれで締めくくりでいいわけねーだろ!!もうせめてもう少し戦役終了後の世界がどうなったかとか描くべき部分があるだろうが!!完全に結局広げた風呂敷をキチンと畳めないまま終わったSEED DESTINYと同じ顛末かよ!つくづく監督は「メカバトルとエログロへの拘りは超一流だけど物語を綺麗に終わらせられない」人なんだなぁ…

 

ここまでかなり酷評な感想述べましたが、もちろん見所が無かったわけではありませんよ。本作は18年ぶりにSEEDメンバーが一同に会した同窓会として見ると、20年経っても変わらない石田彰の凄みとか(流石に保志君はちょっと限界があった)シンとルナマリアが中の人が結婚しているので、そのイチャコラぶりが何か凄く微笑ましくなったとか(スズケンさん&真綾さんも未だに変わらないのが素晴らしい)、相変わらず西川ニキの歌とガンダムバトルのハマりっぷりとか色々な意味で面白かった部分はありましたよ。それにしても

シン・アスカ「ジャスティスだから負けたんだ!(ディスティニーなら)負けない!」

というセリフが最高に草でした。ああ、やっぱりシンとアスランではやはり最悪の相性だったのね。実際、キラの下でいるシンは目は°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°だし、生き生きとしているし、キラを素直に尊敬しているし、やはり種運命でのシンの「迷走」ぶりはアスランが上司としてはポンコツであったことが判明。とかく「裏切者」と何かというとネタにされがちなアスランですが、やはり彼の場合自分自身は超優秀だが、組織人としてダメ人間という意味では『相棒』の杉下右京と似た者同士なんだな。実際、本作ではメイリンのフォローがあるとはいえ単独で活躍ぶりから見るとこれが正しい「アスラン・ザラの使い方」なのでしょう。