〇冬・飯田線
次なる目的地はいよいよ長野県飯田市まで進軍!飯田線のローカル線旅は色々楽しい車窓と駅が多いので楽しめます。
本長篠駅から飯田線天竜峡行きに乗車
県境を走るこの区間は列車の本数も少なく、乗客もまばらでした。
そしてここ飯田線は秘境駅と呼ばれる珍しい駅の宝庫。秘境駅とは駅以外に何もない「本当に利用客がいるの?」とか思ってしまうような駅のこと。最も今では逆に人気スポットとして有名になっており、鉄道ファンがここを訪れるのがメッカとなっています。かくいい私もここ小和田駅には一度下車したことがあります。
ここは文字通り電車でないと辿り着けない駅。道路もなく、集落までの獣道を歩かないと辿り着けない本当の意味での「秘境」です。
使われなくなったホーム
本来ならもっとお届けしたいのですが、ここから目的地の松尾城までの道程です。
最寄り駅の毛賀駅は伊那地方の中心地・飯田から数駅ほどの距離にあります。
ここも待合室だけの無人駅。目的地の松尾城までは山のほうへひたすら歩いていきます。
もっとも城跡は今では公園となっており、近くまでアスファルト道路が整備されています。
すっかり公園となっておりますが、地形に空堀や土塁などのかつての城跡の遺構を偲ばせてくれます。
二の丸跡に残る城跡の石碑と案内板
流石に信濃で大きな勢力を誇った小笠原氏の重要拠点です。かつてはかなりの広がりを持つ城であったとわかります。
三の曲輪跡は田園地帯となっていました。
空堀跡
こちらはより鮮明な空堀跡
元本城と呼ばれるエリア
かつてはここに小笠原氏や家臣団の屋敷があったと思われます。
櫓台跡
櫓台から見た鈴岡城跡
こうしてみても目と鼻の先に別の城があるとは果たしてここに住まう小笠原氏の皆さんはどんな気持ちだったでしょうか…?
『逃げ上手の若君』で一躍知名度を上げた南北朝時代の信濃守護・小笠原貞宗
主人公である北条時行くんに立ち塞がる信濃の強敵にして、互いに惹かれあうものがある良き宿敵として読者にも大絶賛人気が沸騰した人物ですが、実はその出身はここ伊那地方でした。
元々小笠原氏は阿波国(徳島県)の守護でしたが、貞宗の代に南北朝のラスボス・足利尊氏に従い、倒幕戦争において活躍し、その功で信濃守護の座を与えられました。この時、貞宗が自らの出身地である信濃伊那郡の松尾であったことから、国府も置かれた中信の井川(松本市)と共に小笠原氏の重要拠点となります。
しかし、時が経つと共に小笠原氏はやがて3家に分裂します。一つが府中(深志)小笠原氏でこれがやがて宗家となります。これに対して、ここ松尾に地盤を置く松尾小笠原氏はすぐ近くの鈴岡小笠原氏と共に壮絶な内部抗争を続けました。間もなく鈴岡小笠原氏は早くに滅び、対決の構図は府中VS松尾の小笠原へと移りますが、やがて松尾の小笠原氏は甲斐の武田信玄を頼り、その元で信濃の所領を回復させたのでした。府中の小笠原氏は武田に抵抗を続けたために他国へ亡命することになりましたが、松尾小笠原氏はその後武田家滅亡と共に徳川家臣となり、同じく徳川家臣となった府中小笠原氏と共に譜代大名となったのでした。やがて、徳川家の関東移封と共に松尾城も廃城。
南北朝時代から長く家を保った小笠原氏の出身とされる城は信濃に今もその痕跡を遺していました。
〇アクセス
JR飯田線毛賀駅から徒歩30分
「信濃松尾城に狼煙が一本…」