えー、まずは私の中でノイエ銀英伝第3部のキャラベスト10の暫定1位が決まりました。

「暫定」というのは、アムリッツァの大敗後にヨブちゃんが議長職を引き継いだ時の肩書と同じで要は外れるのは時間の問題の「暫定」。それでは栄えある暫定1位を発表しましょう

フレデリカ・グリーンヒル!

おめでとう、フレデリカさん!!

何かというととかく石黒版と比較したがる悪癖の私。どうもやはりレギュラーキャラについてはどうしても石黒版のイメージを引きずってしまいます。どうしても銀英伝への入口となったのが石黒版なのでそのイメージが固定観念と化してしまっているのですね。でもそんな私ですが、

フレデリカさん

=榊原良子女史

=遠藤綾さん

完全に同一の関係となりました。

いや、これは地味に凄いことです。遠藤さんがあの榊原女史と互角にまでなるとは…本当に賞賛するしかありません。榊原女史はハマーン様にクシャナ殿下(『風の谷のナウシカ』)南雲しのぶさん(『パトレイバー』)などのクールな女傑キャラがメインの人がそれらの役とはかけ離れたデレデレヒロインを演じるというその破壊力が半端なく思いっきり好きとなったのですが、遠藤さんはどっちかというと「優しいお姉さん」系のキャラがメインで、ノイエ版のフレデリカさんも第1部・第2部ではまさにそのイメージ

そこに今回のベイに対する容赦ない追及シーンで見せた「強い女性」への変貌ぶりへのギャップ萌えで食い入るように見てしまいました。全く正反対だからこそ逆転させる手法で見事に演じられている遠藤綾さんは本当に素晴らしい。今回ですっかりその魅力に改めて惹かれてしまいました。

ブラボー!ブラボー!!

第1部・第2部中盤までは「憧れの人」と一緒に心躍らせる「可愛い女性」であったフレデリカさん、それが星乱編中盤からの変転、そして改めて覚悟を決めた「強い女性」へと成長する過程が遠藤さんの演技と映像での表情からも見事でありました。今後も遠藤フレデリカさんに関しては全力で応援していこうと思います…そう最後までね。それがフレデリカさんにもファンにも過酷な経過であろうと!

 

と、すみません。なんかちょっと前置きが長くなりましたが、今回はまさにフレデリカさんが見せ場!なのでこれは改めて皆さまもご覧になってください。あわせてこの前のヤン役鈴村健一さん、キャゼルヌ役川島得愛さん、そして遠藤綾さんの舞台挨拶模様の一部をご紹介します。これを合わせてみると今回の話は更に深く見れました。なお、本編感想は色々今回はツッコミ箇所が多くなります。第2章は概ね原作に忠実通りだったのでツッコミ箇所がなくてむしろ困っていたくらいですが、今回は久しぶりにツッコミ満載でお送りします。

 

〇呼び出しの査問会

イゼルローンに入るヤンの元へ国防委員長ネグロポンティから届いた首都への召還命令。「査問会」に出るように、とのことですが、それは何ら法律に基づくものではない恣意的なモノ。更にはノイエ版オリジナル部分として事前に「クブルスリーやビュコック爺さんにも内密に」という命令も添付されていました。本来ヤンの上位者であり、制服組のトップ2である2人にも内密に、というのがどう考えても「危険な匂い」を更に強めています。それにしても時代の流れとは恐ろしいもので、現在でなら「オンラインで全部済ませられるんじゃない?」と。いくら何でも重要な最前線の要衝から片道4週間かけて首都ハイネセンまで呼びつけるという距離を考えると凄まじい時間の無駄な感じがしてしまいます。まあ、もちろんヤンを危険視する同盟政府にすれば、査問会とはあくまでも表向きのものでありますから、仕方ないと言えば仕方ないのでしょうが…ここでノホホンと首都への召還に行こうとするヤンと危機感を露にするフレデリカさんやキャゼルヌとの温度差。2話前のキャゼルヌ家での会話でもそうですが、ここら辺は天才用兵家にありがちな鈍感力と言ったところでしょう。そういえば、舞台挨拶でキャゼルヌ役の川島さんは「キャゼルヌにとってのヤンは?」という質問で「戦友であると同時に親戚のオジサンが年の近い甥っ子を心配している」と答えていたのが笑ってしまいました。そうだよな、ヤンはどうしても好きなことしか頭にないからそれ以外に無頓着になるのは子供っぽいし、確かに言いえて妙。なお、スズケンさんは他のキャスティングで一番気になったのはキャゼルヌ役は誰になるか?だったのも良く分かっていらっしゃる。川島さんに決まった時「見事すぎる」とアンネローゼ奥様始め方々に「川島さんだよ、凄いよ!」と触れて回ったそうです(笑)まあそれぐらいやっぱり一番この2人こそ一番切っても切り離せない関係なんだよな。

 ハイネセンへの帰還に際して、自ら随行を志願するシェーンコップ。ヤンならずとも「要塞防御指揮官まで離れられるわけないだろ!」とツッコミたくなりますが、この人はこの人で絶対場合によって力ずくの事態も考えていたであろうと予感していたのではないかと考えてしまいます。それこそ、この査問会でもたらされる事態を考えれば、後年の原作第6巻のような事態を先取りするシチュエーションも想定できるだけに怖い。ただ今回、その思惑を見抜いてかヤンは随行は副官のフレデリカさん、護衛役にルイ・マシュンゴのみ、旗艦ヒューべリオンではなく巡航艦レダⅡでいくという最小限の備えでいきます。そしてこの時、ヒューべリオンとユリアン、そしてシェーンコップを残していたことがこの後の第3章で重要な意味を持ってきます。それと同時にこれがまさか後々の悲劇の伏線になるとは知らず…

「ユリアンは残してフレデリカさんは連れていく」ことにニヤニヤ顔で「ユリアンが嫉妬しないか」と余計な一言を言う不良中年。まあでもさぁ、ユリアンにはフレデリカさんにはない食事人としては絶対的アドバンデージがあるからそんな心配する必要性ないと思うの。あ、ちなみにここでのユリアンと不良中年の会話は舞台挨拶でもネタにされていました。子供にさえ、バレバレなフレデリカさんの「本音」を聞いた時に遠藤さんは「子供にまでバレバレで、あんな切れる女性があんな隙だらけ」がフレデリカさんのチャームポイントだったと挙げられていました。ちなみに男性陣2人は「私には隙がない」といった遠藤さんに「いや、隙の中に普通があるから隙が無いように見えているだけで隙だらけな所がソックリ」…これはもう笑うしかないやん。

 

〇ベタさの陰にプロパガンダ有

レダⅡの中でフレデリカさんとの会話で、今後の同盟の将来について憂えるヤン。ルビンスキーと同じようにヤンもまた現状のラインハルトの元で変革されつつある銀河帝国との新体制とは共存を考えないといけない。ここで避けねばならないのはゴールデンバウム王朝の旧勢力と「敵の敵は味方」の論理で手を結ぶことである、と。ここでヤンが懸念していた要素は見事に的中してしまいます。銀英伝が他の創作との違いは何かというと「民主主義(を奉じる国家)を絶対視しない」という点。よくある物語では専制国家(あるいは独裁国家)は一様に「悪」であり、それに対する民主国家は「絶対的な正義」として描かれ、紆余曲折はあれど大体「民主国家が勝つ」。でも銀英伝は違う。民主国家もまた人間が作り出す国家にすぎず、それが絶対ではないのは過去の銀河連邦もしかり、そして現在の同盟もしかり。一方の「悪の専制国家」もまた一つの体制であり、そこにいる人々からすれば「悪」でもなんでもない。そこを「一方的な視点」「上から目線」で見てしまうとまさに作中の同盟と同じでしかないのではないか、と現実世界を見て思う次第。

 ハイネセンからのTV番組で娯楽ドラマが流れて、興味津々で見るヤン。

「悪い大臣に国を乗っ取られた少年王子が流浪の果てに集めた仲間たちと共に大臣を倒して、国を取り戻す」

貴種流離譚の物語を恐ろしくベタで描かれる劇中劇。もちろんこれは石黒版もそうでしたが、スタッフがわざとベタベタな設定で描いています。それにしてもこんなベタ過ぎる設定、ネタでもなければ流石に21世紀の水準ではあり得んレベルなんですが、まあ銀英伝世界はそもそも「13日戦争」という終末戦争、更にその後の「シリウス戦役」、何よりもルドルフによるゲルマン文化均一化政策によって大きく娯楽水準が低下してしまった設定ではないかと推測します。ルドルフが「有害」な娯楽を禁止もまた政策で掲げていたのであり、それから考えればこれらの娯楽技術もまた一時失われ、改めて同盟の建国で「一からやり直し」の状態にまで低下したと考えると自然な設定。それにしても今回はキャラデザインもなかなか芸が細かい。それは「専横を欲しいままにする悪い大臣」が金髪キャラであること。もちろん誰を擬しているかは明らかですね。それにしてもこの設定、身近な所でなんかすごいデジャヴを覚えたのですが、

 

逃げ若じゃん!よく考えたら、時行くんも貴種流離譚の要素満たしていた。そう考えると「国を乗っ取った悪い大臣」は南北朝のラスボスじゃん。なお結末は(以下略)

それを見たヤンとフレデリカさんの会話なんですが…実は劇場で見た時、かなり怒りのツッコミを入れそうになりました。番組のスポンサーを気にするヤン。フレデリカさんはフェザーンの食品メーカーであると答えますが、原作及び石黒版と微妙だけど実は重要な要素が改変されていました。

原作及び石黒版

①ヤン「そうか、私はまた、銀河帝国の旧体制派が政治宣伝をしているのかと思った」

②フレデリカさん「まさか」(クスリ)→

③(同上)   「そうともとれる内容ですわね」(キリッ)

一方のノイエ版

①ヤン「そうか、私はまた、銀河帝国の旧体制派が政治宣伝をしているのかと思った」

②マシュンゴ「まさか」

③フレデリカさん「そうともとれる内容ですわね」(キリッ)

なんでやねん!!(# ゚Д゚)

最初は大好きな人の「あー、ハイハイ、いつものですわね」と笑おうとしていたのが、すぐに態度を変えてキッチリ大好きな人のフォローをする、これまさにヤンに対するフォローの達人・フレデリカさんの腕の見せどころじゃないですか!キャゼルヌやシェーンコップ、ユリアンらだったら鼻で笑い飛ばすシチュエーションでもキッチリフォローの切り返しをするフレデリカさんの見せ場なのに…真ん中の段がマシュンゴにしてしまった所為でお堅い真面目なシーンになってしまっているじゃないですか!このシーンの「肝」は普通だったら彼らのような才人でさえ、鼻で笑い飛ばすくらい突拍子もないように見えるヤンの推測、でも実は

正鵠を射ていた

という点にあるんですよ。まあ主体を「ゴールデンバウム王朝の旧体制派」というのは間違いですが、それ以外は正解。実はこれはきたる第4部で明らかになるのですが、現在ルパートの元で着々と進められている「計画」に向けてのルビンスキーらが仕掛けた同盟市民へのプロパガンダ工作なのですよ。プロパガンダというと「北の国」のような全体主義国家のアレを思い浮かべてしまいますが、実はこの手のプロパガンダ工作というのは体制の如何にかかわらず、日常生活で何気ない形でも流されているものなのですよ。まあ「タネ」が分かってしまえば、「なーんだ、下らない」と思ってしまうレベルでも、それに気づかなければ「プロパガンダを流す者の思惑」に引っかかってしまう危険性は現実世界でも変わりありません。

 

〇査問会キャラ集合

ハイネセンに到着したヤンとフレデリカさん。2人を引き離すように武装兵を連れて、ヤンを連行するベイ准将。実はこのベイは元々救国軍事会議に所属していた軍人なのですが、密かにヨブちゃんに密告してその逃亡を手助けした功績で昇進した…という背景は言及されるのかしら?それにしても惜しいと思ったのは

第5話のこのシーンは絶対ベイにしておくべきでした。そうすれば、ベイ個人がヤンを敵視する理由も明示されて、今回の話にもつながる見事なオリジナル伏線として私も賞賛できたのに…と残念な思いです。ところが、クリスチアンにしてしまったために物語上辻褄の合わない意味不明な改変になってしまい、しかもその改変は「なかったこと」にされてしまい、ノイエ版の「瑕疵」となってしまったのですから…本当に残念。

そして査問会のシーン。ここでのメイン場面は概ね原作通り。ヤンの過去の説明からネグロポンティらの「言いがかり」のような追及の数々を全て粉砕してのけたヤンの会話。実はスズケンさん、ヤンのオーディションの時に抜粋された台詞を録音して送ったのですが、この査問会の台詞があって、やはりヤンを語る上で欠かせない重要なパートだと感じて、今回遂に本演技でここに至って感無量だったそうです。それくらいヤンという人を語る上で欠かせない場面なのは確かです。ただ、ちょっと一つだけ突っ込ませていいですか。

(↑石黒版)

ネグロポンティの補佐役として登場したエンリケ・マルチノ・ボルジェス・デ・アランテス・エ・オリベイラ先生。国立自治大学学長であり、トリューニヒトのブレーン、有体に言うと御用学者なんですが、その無駄に長ったらしい名前をスラスラ言うことでヤンに内心で「そんな長ったらしい名前を言えるなんて尊敬に値する」とまで言われたキャラです。ところがノイエ版のテロップでは

「国立自治大学学長 オリベイラ」…

なんでやねん!!(# ゚Д゚)

この「無駄に長ったらしい名前」こそオリベイラ先生が凡百のトリューニヒト派の政治家に比べての、読者に深い印象を植え付けた重要要素じゃないですか!折角佐藤正治さんという大御所をキャスティングしているのに何でここをカットしてしまったんだ!!

 

言うまでもありませんが、作り手それぞれの解釈によって「違い」が出るのは当然です。

私は何度も言っていますが、「より面白くなる改変ならそれは大歓迎」というスタンスですが、折角の原作者の田中センセイが用意してくれた「ネタ」要素がカットされて「お堅い真面目」な要素に改変されてしまったのは「Why?」という思いです。

ちなみに上には上がいて、

マクシミリアン・フォン・ヴァイクス元帥(WWⅡ期のドイツ軍人)はそのフルネームは

マクシミリアン・マリア・ヨーゼフ・カール・ガブリエル・ラモラル・ライヒスフライヘア・フォン・ウント・ツー・ヴァイクス・アン・デア・グローン

オリベイラ先生も真っ青という「これ本当に本人もフルネームで言えるの?」くらいの量です。世界一長い人名だと誰がいるかな?

査問会のネグロポンティらの「難癖」をことごとく論破して、緒戦を勝利を収めたヤン。ああ、そういうことしているから敵視されちゃうんだよ…と。キャゼルヌが「万事、慎重に、政府の連中に口実を与えてはならない」というアドバイス通りにしておくのが本来の得策であるのですが、それを無視して平然とマジレスしてしまうのがヤンのヤンたる所以。それにしても「辞めてやる!」と息巻いているのはいいのですが、肝心の紙がメモ紙程度なのはどうか?あんなのに書いた「辞表」は受理されるのか?いや、もちろん労働法制上はOKですけどね。

 

〇フレデリカさん、戦う

さあ今回のハイライトでございます。軟禁状態に置かれたヤンを解放せんとベイに詰め寄り、ヤンの居場所を明らかにするよう要求するフレデリカさん。国家機密を盾にして、頑として口を割らないベイに対してその言葉尻を捕らえて、容赦なく相手の逃げ道を塞いでいくように論破していくフレデリカさん。そもそも査問会が何ら「法的根拠」のない代物であり、それを理由に処罰することなどできないと追及します。ここのシーン、フレデリカさんの絵も秀逸なら遠藤さんの演技も秀逸すぎて、本当にキュンとなってしまいました(死語)目は静かな怒りの炎に燃えながら、それとは対照的に遠藤さんの声は淡々と感情を押さえつけるようにいてそれでいて容赦なく事実を付けていく。遠藤さんも舞台挨拶であのシーン「淡々としていてむしろ息が足りなくなるくらい難しい、それこそ感情ぶつけて「バカー!」と言ってしまった方が楽なんだけど、これこそ彼女の『強さ』の現れ」と言っていた程で、本当に尊い思いで見ていました。第2章で何度でも見たいと思えるのは

ガイエスブルク要塞のワープ実験とこのフレデリカさんの台詞

もうこれはやくDVDが見たいよ!!本当に遠藤さんのフレデリカさんは素晴らしい!!(力拳)

失礼、感情がほとぼしってしまった。結局、その彼女の剣幕に気圧されるように父親のドワイトパッパのことを持ち出して、退散するベイ。本当に最高にカッコ悪い様ですね。

そしてこの時のフレデリカさんにフラッシュバックしたのはかつての
あの「君がいてくれないと困る」のシーン、そう全てはあの時の言葉があるからこそ今の彼女がある。もう最愛の人のためならどんなことでも屈しない彼女の「覚悟」を決めた、もう彼女を妨げられるものはいない!
 

所で気になったのですが、ベイに対して「ゆっくり気長にいけ」と特に何か思惑が見えない所があります。あるいは査問会のメンバーに非トリューニヒト派の政治家であるホワン・ルイをわざわざメンバーに加えたあたりを考えると、今回の査問会自体はフェザーンからの「要求」に応えた形で、万が一の場合に責任問題が発生した時に備えて保険をかけていたかもしれません。

 

そしてその頃イゼルローン要塞ではヤンの動向をヤキモキするキャゼルヌらにもたらされたオペレーターからの緊急報告。モニター画面に突如出現したガイエスブルク要塞が現れ…物語は終了。

 

ウォォォ!ここで終わってしまうのか!続きが早く見たいじゃないですか!まさか「要塞対要塞」は第3章でフルコースになる模様。もうこれ絶対原作3巻で第3部は終了だわ!