さて年明けから2週間のジャンプ発売を今か今かと待っておりました。何しろ日曜日がまさに北条家開闢の物語が放送されるのであり、本作の主人公がまさに鎌倉殿の正統なる後継者として再興運動を起こすことになる。「貴人」の地位を築いた北条家がかつて田舎の地方武士からいかにのし上がったか?その始まりと終わりの歴史がいま同時並行で語られるなんて胸熱くなるじゃないですか!そんなこんなで『鎌倉殿の13人』と『逃げ若』を同じ週に書き上げなければいけないかなりキツイノルマとなってしまいましたが、負けずに頑張っていこうと思います。それでは本編感想参ります。

 

〇機動武士時行くん

神業級の煽り顔!

という見出しと共にこれまたヒドイ顔で煽るクソガ…じゃないや7歳の「神」諏訪頼継。彼を捕まえるために今度は「逃げ上手」の時行くんが「オニ」となって捕まえないと行けない羽目になったわけですが、その「神」の権威を盾に諏訪大社の皆さんを意のままに動かし、襲い掛かることになります。しかし、我らが主人公・時行くんは全く動じません。

一斉に襲い掛かる諏訪大社の皆さんの妨害部隊をまさに「苦も無く」といった風情でスラリスラリと交わしていきます。立場上、時行くんの活躍を知る諏訪盛高さんは納得の表情です。既に幾多の戦闘を経験し、時行くんの身体能力は既に最初の頃から大幅に成長しており、もはや人ならざる領域に達しつつありました。特に時行くんにとって大きな成長の糧となったのが、先の信濃大乱において宿敵・小笠原貞宗率いる歴戦の武士100騎に包囲された体験がここへきて生きてきたのでした。

時行くん「時行を止めたくば、矢でも貞宗でも持って来い、だ!!」

頼重さんが狙った通り、時行くんは唯一自らの「逃げ上手」能力を2度も破った強敵・小笠原貞宗を自らの戦う目標にして、成長していったのでした。これはあれだな

小笠原貞宗=『機動戦士ガンダム』のランバ・ラル

小笠原貞宗「見事だな!しかし小僧、自分の力で勝ったのではないぞ!忌々しい諏訪の庇護のおかげだということを忘れるな!」

時行くん「私は…あの男に勝ちたい!」

完全に一致です。そう考えると時行くんの成長もニュータイプへの覚醒という解釈じゃないかな。人として姿を保ったまま、人ならざる領域へと能力を更に開花させているという意味で。既に能力と行動が人ならざる者へとなりつつあるラスボス尊氏との対照ですね。

諏訪頼継「嘘です!?こんな簡単に!全員を突破して来るだとぉ!!」

自らが用意したはずの妨害部隊をあっさり突破されて愕然となる頼継。「神」とかしずかれても坊やでしかありません。あっという間に頼継との距離を一気に縮める時行くん。

時行くん「さあ・・・二人きりだ、頼継殿」

 

 

 

完全に目がおかしな輝きをしている怪物のようなド変態となりつつある主人公(笑)

諏訪頼継「え?怖い怖い怖い。何で興奮しているんですか!?」

とすっかりブルってしまった頼継。余裕綽々だったはずの勝負はあっという間に捕まるか逃げ切れるかのデッドヒートに。頼継は木橋を落とすことで時間を稼ぐ策に出ますが、

 

尋常ならざる跳躍力で崖を飛んでしまった時行くん

によって呆気なく勝敗はついてしまいました。頼継の敗因はまったくもって皮肉なことに姑息にも自らが仕掛けた妨害部隊。それが逃げながら追うというシチュエーションを生み出してしまい、逆に時行くんのテンションUP させてしまったのでした。

 

〇思慮深い若君

振り返りながら自らの生き方を語る時行くん。彼にとっては純粋な「オニごっこ」は鎌倉滅亡以来に久しぶりのこと。誰も死なない平和な時代の遊びの頃に戻れたことを懐かしく思い出しています。

時行くん「でもこの先私は傷つける事を前提に…戦の象徴にならなくてはならない」

それ以降の血生臭い戦い、そして戦になれば敵味方関係なく容赦なく命が奪われる光景を目にしてきました。そしてこれからは自らがその凄惨な殺し合いでの象徴しないといけない。まだ10歳の少年には重たすぎるものです。それは目の前の7歳の子供もまた同じであり、悲しいのは次の台詞

時行くん「お互い幼くして象徴になる宿命だが、君が人を傷つけるのはもう少し先でいいと思うよ」

これもまたある意味では残酷な台詞です。この幼児がまだ人の命を奪うことになるのは「もう少し先」でしかない。もう乱世である以上は遅いか早いかの違いでしかないことを時行くんも理解している。そして皮肉なことに時行くんもまたかつて戦乱によって家族を失った孤児なのであり、滅び去った一族の分も背負って戦い続けなければならに。そしていずれは頼継もまた孤児となることになるのですから…他ならぬ時行くんによって。

 それでもなお強がりで続けようとする頼継でしたが、誤って崖へ転落の危機。それに差し伸べたのは

最初の出会いの時に引っ張られた時行くんの髪でした。

自らの「神聖なる象徴」が根こそぎちぎれる恐れも構わずに助けようとする姿勢がようやく頼継の心を開きます。それにしてもここ、台詞としては時行くん良いこと言っているのですが、ギャグ顔でツバも零れる顔芸(笑)

それにしても髪のほどけた姿もまた非常に美しすぎて、松井センセイ気合入っているな~(笑)

ぱっと見、少女と見分けがつかないくらいの美しさであり、またTwitterでも賑やかになっています。ようやく心を開いて、神から一人の祖父への愛に飢える子供に戻った頼継。あれほど一緒だった頼重さんは来てくれなくなり、多くの信濃の武士たちとの会見に忙しく、それはとりもなおさずいよいよ大戦への総仕上げが迫っているという事でした…が、それはいいのですが、ここでのイメージ画がヒドイ。

離れ離れになった諏訪家の絵図なんですが、ここで頼重さんと一緒になる時行くんの顔がおらついた時行くんイメージなんですよ。つまり頼継は脳内イメージでいつも時行くんのことをああ見ていたということです。なんてヒドイ話だ(笑)

 

 

〇2人一緒のサリサリサリサリ

そこで一肌脱いだ時行くんが「主命」として頼重さんと時継親子に下したのは三日間だけ、諏訪家当主としての業務を時継が代行すること。そしてその間は頼継と一緒にいることでした。こうして三日間を「御祖父上」と一緒の時間を作ってくれる粋な計らいでした。

頼重さん「早く言えばよかったのに!全身全霊で愛で尽すぞ~!」

さりさりさりさりさりさりさりさりさり

念願の頬ずりを受けて、頼継もご満悦…

頼継「・・・ん…痛い…年齢肌が痛いです」

あ、てっきり時行くんが苦悶している姿を見て、嫉妬の炎に狂っていたから、本人は極度のマゾかと思ったのですが、違っていたようです。単にお祖父上に構ってもらえなくて、「盗られる」のが嫌だっただけで、別に頬ずりが受けたかったわけではなかったのね。そしてある事実に気づきます。これを三日間受け続けなければならないという拷問でしかないことに。

ひたすらショタ大好き頼重さんの偏愛を受けた7歳の幼児の絶叫が響き渡りました

かくして一切の悪意ナシにまんまとこれまで地味な攻撃を続けていた頼継への「善行」という名の復讐を達成した時行くん。亜也子の言う「直って怖い」というのはある意味非常に辛辣なものです。

解説「諏訪頼継、この時七歳。後の時行の盟友である」

頼継「時行…覚えてやがれです」

かくして時行くんと頼継の間にあったわだかまりは消えて、改めて恨まれながらの腐れ縁という形で2人の関係は再出発(笑)この解説が入ったということは

大徳王寺城での宿敵・小笠原貞宗との戦いを描いてくれると期待したいです。なんだかんだといいつつ、共闘する姿が楽しみ!