〇陣屋としては最高クラスの史跡整備度
三日月乃井野陣屋跡は兵庫県西部、佐用郡佐用町に築かれた陣屋です。江戸時代に石高が少なく、「城」持大名とは認められなかった小藩が築いた陣屋。その中で比較的遺構が保存、復元整備されたもので一度は訪れてみたいと思っていました。今回桜の季節に丁度訪れることができて、貴重な機会でしたのでご紹介します。
JR姫路駅から姫新線に乗車して目的地まで向かいます。姫新線は兵庫県内区間は車両も新しく更新されており、それなりに整備されているので訪れやすい路線です。
車窓から見た桜の光景
本竜野駅ホーム
播磨新宮駅から2駅、三日月駅に到着です。ここで下車したのは私と地元民らしき老婦人だけでした。
三日月駅舎
さて困ったことに案内所の類が無いので自力で探すしかありません。
簡単な駅前の地図で場所を大まかに確認。もっともかなりアバウトなものです。
移築復元された三日月藩表門
ここ表門は江戸時代に三日月藩士たちの居住地(郭内)にあったもので、この郭内から内側は武家屋敷街となっており、この表門が大手道の役割を成していました。古文書には「総門」と書かれ、藩主が参勤交代で往来する時に通ったことと、午後6時には占めることなど多くの往来の記録がのこされています。明治になって三日月藩の施設などは払い下げられて、、西法寺の山門として使われていましたが、平成29年に移築復元されたのです。(なお正確には少し道からずれた形になっているそうです)
更に道を進んでいくと
三日月藩陣屋館
現存する物見櫓と他の御門を木造復元整備されたものです。「陣屋」の中でこれほど大規模に復元整備された建物はなかなかありません。
現存建物としては「物見櫓」で他は全て発掘調査で復元整備されたものです。
陣屋正面にある堀と石垣は、藩主の居場所を区切ることでその威を高める役割を果たしていました。
一番東側にある通用御門
中御門の東側に位置する門で右側に番所が置かれていました。
中央にあるのが中御門と橋
陣屋で一番高い建物でもっとも格式の高い門となっています。藩主不在時はここは閉じられたままであったようです。2階には時打太鼓があり、陣屋町の門扉の開閉する合図や時を知らせる役目を担っていました。
長屋
中御門と物見櫓の間にある幅約5メートルの建物で、ここは簡単な展示館となっていました。
長屋内部
蔵?倉庫?
中御門内部
物見櫓
陣屋唯一の現存建物で、明治以後学校として使われ、この地域で移転を繰り返し、平成にようやく現在の位置に戻ったのでした。
物見櫓内部
物見櫓2階部分は畳が敷かれ、非常に綺麗なものとなっていました。
長屋門
陣屋館は西端にある長屋門形式でここが受付となっています。受付では史跡の案内などのリーフレットが販売されています。
さてここ陣屋館、実は土日祝日しか開館していない。平日はずっと閉じられたままです。
廣業館
明治に廣業小学校として使用されていた建物で、移築保存されたものです。
そしてこの建物は烈祖神社
藩祖である森忠政とその父・可成を祀った神社であり、古い形式がそのまま残されています。
水堀
物見櫓(外側)
陣屋館(内側)
ここ三日月藩陣屋は見所として多くあり、隠れ名所としてうってつけです。周囲の景観も江戸時代の光景を比較的良く残されており、この雰囲気は私的にもお気に入りとなった場所でした。
JR姫新線三日月駅から徒歩15分
・陣屋館
開館日 土・日曜日・祝祭日(年末年始は休館)
開館時間 10:00~16:00
入館料 無料
受付にてリーフレットなど販売(200円)
「三日月陣屋に狼煙が一本・・・」