〇ドイツ=戦車(Panzer)
4日目の目的地はムンスター戦車博物館。ここにはドイツの戦車が一堂に会しているという場所でここも最優先目標。ところでややこしいのですが、ドイツには「ミュンスター」と「ムンスター」という2つの街があります。アルファベットだとスペルは同じなのですが、非常にややこしい。ミュンスターはルール地方にあり、鉄道や高速道路が交わる交通の要衝、片やこちらは小さな町であり、当然観光情報には全く記されていない。そのため、「MUNSTER」と検索してもうっかり前者に引っかかりやすい。さてムンスターですが、ここにはドイツ連邦軍の戦車学校があり、そこに併設される形で博物館が設けられました。当然、事前に時刻(万が一乗り遅れた際の第2プラン)、地図も完備して臨みました。さて本日の結果は如何に?
北ドイツ・ニーダーザクセン州の州都・ハノーファー、この名は「ハノーファー朝」を通じて英国とも関係の深い地です。ここハノーファーの選帝侯家が18世紀に英国王となり、現在の英国王室はその直系子孫となるのです。さて朝8時にチェックアウトしたのですが、外に出た時点で「冷える・・・」、流石に北部となると早朝には冷えるものです。
ハノーファー中央駅前広場
駅前にあるのはハノーファー王のエルンスト・アウグスト騎馬像
機関車にはニーダーザクセン州の州旗が掲げられていました。
さてここでまたしてもここ数日悩ませていた問題が発生。またしても列車遅延のアナウンスが流れ、「またか・・・・」もうここ数日いやというほど学習していたので、30分前には到着しておいて正解。途中の乗換駅である「ウルゼン(ユルツェン)」までなので普通列車で向かいます。
ウルゼン駅
駅舎はなかなか古風で非常にこれも趣があり、写真に収めておきました。
さてここから「ブレーメン」行の列車ホームに辿りつくのですが、(ドイツ鉄道(DB)のありがたい所は必ず到着・出発番線まで必ず明記してある所)ここで高齢の地元男性に(当然ドイツ語)で話しかけられました。うぅ、弱った。ポケトークは私からの会話しか使えないし、おじいさんはかなり訛りのあるドイツ語なので聞き取りにくい。多分話しぶりから「この列車は〇〇へ行くか?」と聞いているのでしょうが、下手に答えられない。でも次の単語が私にヒントを与えてくれました。
「・・・Braunschweig」

私「ブランシュヴァイク?」

『銀河英雄伝説』のブランシュヴァイク公オットーが思い浮かび、一気に理解が進みました。プラットホームに上がる時に列車の行き先表示をチェックしていたので、すぐにホーム向かいの列車がBraunschweig(ブランシュヴァイク)」行であるのに気が付き、片言のドイツ語と手振りを交えながらも隣のホームであることを伝えられました。更に階段で降りようとするおじいさんに「この先にエレベーターがありますよ」と案内して、老人から感謝の言葉を伝えられました。あー、やっぱり異国でも人の手助けになれたら心地いいものです。それにしても『銀河英雄伝説』知識が役に立つとは思わなかったなぁ・・・・
ありがとう・・・ブランシュヴァイク公(笑)
ムンスター駅到着
無人駅で小さなローカル線のいかにも、という感じ。列車も2時間に1本なので必ず時刻表は要チェックです。
ここから戦車博物館までは歩いて15分ほど、
駅前の案内図の通りに行けば進んでいけます。周囲は閑静な田舎町といった趣。安心してゆっくり散歩で進んでいけます。
戦車博物館にはあっさり到着。出発が速すぎたせいかまだ開館前。ここで数分程まって開館時間と同時に入館。
本日の入館者第1号となりました。それでは戦車の見学を始めます。
まずは第1次世界大戦時のドイツの記念すべきファースト戦車「A7V」
そしてWW1敗戦後の軍備制限後、ドイツは戦車の保有を禁止され、秘かに「トラクター」を使用しての実験を繰り返します。そして再軍備後のドイツ国防軍の初めての戦車「Ⅰ号戦車」
 
2号戦車の砲塔
(あれ?もしかして修復中)
Ⅲ号戦車
そしてⅣ号戦車
第2次世界大戦通じて一番生産された戦車であり、

『ガールズ&パンツァー』のあんこうチーム車であります。それにしてもこれを主人公機・・・じゃないや車と聞いた時にはなかなか渋いチョイスだなぁ・・・と。「ガンダム」でいえばガンダムをさしおいて「ザク」を主人公機にする「0080 ポケットの中の戦争」のようなものです。

ドイツだけではありません。ソ連の戦車T-34/76もあります。
Ⅴ号戦車「パンター(豹)」
そしてようやく巡り合えました。
「ティーガー戦車」にめぐり合うことができました。
これが連合軍を畏怖させた伝説の戦車・・・いざ生で見るとなると震えが止まりません。
白い★マークがトレードマーク、アメリカのシャーマン戦車
Ⅵ号戦車「ティーガーⅡ」です。おお、「王虎(ケーニヒスティーガー)」!!
「黒森峰」学園でエリカさんが搭乗しているのがこちら。

巨大戦車・マウス・・・の縮小模型

 

それにしても最初のⅠ号戦車から10年足らずでよくもまぁこれほど進化したものです。ほとんどザクⅠからジオングまでの進化過程を見ているようなもの。これ以外にもヘッツァーやゴリアテなど多種多様な車両兵器が展示されているのでこれは時間がいくらあっても足りません。

戦後のコーナーに展示されてあるセンチュリオン戦車
そうだよなぁ、あれ絶対WWⅡ戦車に分類するのは無理有りすぎる程オーパーツだって
戦後のコーナーは東西冷戦を象徴するかのように西ドイツと東ドイツの両陣営戦車が向かい合う形で展示されていました。ドイツは東西に分断される苦渋を味わいましたが、それでも本物の戦争にならずに済んだのはせめてもの幸いでした。何しろ東西両陣営が本格的戦争になった時には真っ先に戦争になるのは東西ドイツだったのですから。
屋外にある戦車に実際に中に入れるものがありました。それにしてもハッチが思ったよりも狭い・・・
内部
 
さて2時間ほど見学したら再び駅まで戻ります。
12時ごろ、駅ホーム付近はドイツ連邦軍の軍人で溢れかえっておりました。そうそうここはまさしく訓練場だったのでした。そして1両しかない普通列車は軍人の方々で満員列車となる混雑状態に。これは日本では想像できなかった事態でした。
そして途中から電車に乗り換えてヴォルフスブルクまで向かいます。
この列車はなかなか最新式で日本の列車に近いものを感じます。
ヴォルフスブルク駅に到着。
ここヴォルフスブルクはあの有名なフォルクスワーゲンの本社が置かれているまさしく企業城下町そのものです。
 
目指す目的地はヴォルフスブルク城
ただ駅から城までの距離が分からないのがネック。ベルリン行の列車はわずか1時間20分後。果たして間に合うか?
巨大な工場と共に
自動車版ディズニーランドであるアウトーシュタットや自動車博物館といったまさしく自動車関連で観光施設までできている半端ねぇ。
高架橋を渡ると一気に緑溢れる空間に変貌します。
そして森に見えてくるのがヴォルフスブルク城です。大体駅から歩いて20分くらいでしょうか。
ヴォルフスブルク城は1600年に創建され現在では市立博物館となっています。
 
城の中心部
さてこれで本日の散策は終了、急いで駅まで戻ります。
ベルリン行のIC(特急)に乗車しますが・・・生憎満席でこのままベルリンまで立ったまま乗車です。
やがて列車は田園風景から大都市近郊へと入っていき・・・
ベルリン中央駅
シュプレー川を渡り、
ベルリン東駅
かつて東西ドイツ時代、ここは東ベルリンの中心駅でした。この駅から歩いてすぐ
「イーストサイドギャラリー」
ベルリンの壁の一部が保存された区画です。
長さは1・3キロにわたり、分断された都市の象徴を現代に遺してくれています。
この壁は1990年春に21か国、118人の芸術家が1900年に描いたイラストで彩られています。
中には日本のものも。
 
さてここから更に東、リヒテンベルク駅まで移動します。この時生憎の週末でベルリン中心部はどこもかしこも値段が高騰。やむをえず東ベルリンの再開発対象となるリヒテンベルク郊外の宿を予約したのですが・・・・これが大失敗でした。
リヒテンベルクはかつての東ベルリンの一部
その信号「アンぺルマン」
かつて東ドイツが消滅した時、この特徴的なマークも一時消えかけて、一般的な青信号マークに変わりかけたのですが、市民の熱烈な運動で今や愛されるマークとなっています。
 
さて問題はここから。目標の宿は駅から真っ直ぐ北へ進めばいいとなっていたのですが、延々歩けど歩けど到着せず。これは完全に駅から歩いていくべきもので無かった。しかも周囲は住宅街もポツンポツンとしか無く、逆に人の気配の無さが怖い。ガイドブックにも「夜の一人で歩くのはおススメできない」と書かれているし、自然と足が早くなります。それでも結局徒歩40分、それも重たい荷物を抱えてようやく到着しました。ここ土日2日間連泊しているんで明日また戻ることになるのですが、これはヤバイ。
明日は1日ベルリンを東から西まで市内散策します。
 
「Ein Rauch in der Schloss Wolfsburg
(ヴォルフスブルク城に狼煙が一本・・・・)」