先週、映画館で鑑賞。
あ…ありのまま
今起こった事を話すぜ!
な…何を言っているのかわからねーと思うが
おれも何をされたのかわからなかった…
詐欺だとか催眠術だとか
そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
戦争映画として見るのは難しいのですが、(まず派出な戦闘シーンとかあるいは歴史の流れを期待すると肩透かしを食らう)「金返せ!」とか「こんなの詐欺だ!」とか感じさせない、というかそんな疑問を起こさせないよう巧みに構成されているので、映画を観終わるまでは引きずり込まれること必至です。
1940年春 ヒトラーのナチス・ドイツの西方電撃戦によってドーヴァー海峡に面したダンケルクに追い詰められた英仏連合軍40万人の将兵を脱出させるべく、イギリスはありとあらゆる船舶を動員して英国本土までの撤退作戦「ダイナモ作戦」を発動します。本作は
本作は「脱出しようとする陸軍兵士の一週間」「撤退作戦で徴用された民間船乗組員の一日」「上空で援護する戦闘機パイロットの一時間」と3つの物語が同時進行で描かれます。当然、時間軸が異なるので、視点が変わる毎に時間の流れが変わり(だから日中のシーンのすぐに夜間になる)、それが映画の進行と共に他の物語との絡みが多くなり、最終的にすべての時間軸がクロスして一つの時間軸へと融合していく様は秀逸。これはなかなか計算された構成は全編中だるみの無いハラハラドキドキものでした。
一般的には大成功とされる「ダイナモ作戦」ですが、映画ではドイツ空軍の空襲、潜水艦からの魚雷と次々に攻撃が仕掛けられ、多くの犠牲者が続出する。特に急降下爆撃機シュトューカのあの金切り音のようなサイレンを再現度が高くて思わず耳を塞いだ。実際、当時連合軍将兵や市民を恐怖に陥らせたのですが、確かにあの金切り音が頭上から聞こえてきたら、そうなるわなと当時の人々の気持ちを体感できます。この再現度の追求についてはもう抜群のクオリティがありました。
残念だったのは通常の映画館だと画面上下40%がカットされてしまい、本来の醍醐味を味わえないこと。しかしIMAX上映は日本全国で数箇所しか無い。ブルーレイまでお預けとなると口惜しい気分にさせてくれます。
あといくつか印象に残ったのは
①同盟の信義など存在しない
冒頭、主人公らと同じく桟橋に押し寄せた同盟国フランス兵士らに対してイギリス側が
「イギリス人が優先!フランス人らは乗るな!」
拒否して通さない(後から割り込んできた主人公らイギリス兵はさっさと通過させるのに)シーン、これが途中からのある登場人物に関する重要な伏線になります。それにしても今まで共に戦ってきた友軍に対して、それは無いんじゃないのと思いますが、窮地に陥った時には結局自国民ファーストになってしまうのも当然で、国家に真の友情や信義を求めるのなど愚の骨頂と言えるでしょう。この辺、ひたすら「誠意」を見せれば、何があっても助けてもらえるなどと考えるのなど甘いとしか言いようの無い。(一応フォローでチャーチルからも厳命されて同じく救出されているのは付け加えておきます)現に末期には枢軸同盟国間でも似たような事象が発生しますので。
でもイギリスの場合昨日までの同盟国(フランス)が降伏した途端に艦隊がドイツに引き渡されるのを阻止するという理由で昨日までの「友軍」艦隊に(相手に攻撃意思が無かったのに)
攻撃を仕掛けたのは如何なものでしょう。
流石自称「紳士の国」。
②人の尊厳
首脳部の想定では3〜4万人救出できれば、御の字であったのですが、軍艦・民間船を問わない総動員と後衛部隊の奮戦で34万人の将兵がイギリスへ退避させることに成功します。普通であれば、帰着して歓喜のシーンになるのがお約束ですが、本作では「仕掛け」がまだありました。帰路の列車で兵士達は自分達が民衆から罵倒されるのではないかと戦々恐々としています。敗軍のであったからです。しかしロンドンまで戻った時、民衆から歓呼の声で迎えられた時に雲散霧消して彼らはようやく帰還できた喜びに打ち震えます。イギリス政府による世論誘導の結果ですが、それは民主国家が個人を尊重する社会だからこそできたことです。国家の威信>個人の国ではこうはいかない。やはり「人」を大切にできない国は最終的な勝者になれないことを示しているように感じられました。
ダンケルクかなりのオススメです。
