〇1年に数回だけ訪問できる瀬戸内海の水軍城
瀬戸内海は島々が点在し、かつては水軍の活動が活発な地域。大陸からの物産は九州で荷揚げされ、そこから一大消費地である畿内地方まで多くの物資が運搬される重要な海・瀬戸内海。その島々にかつては多くの水軍城があります。そしてその中には1年に数回だけしか訪問できない島の城があるのをご存知でしょうか?
1年に数回だけ島の周りの海が干上がり、歩いて海底を歩くことで訪問できる城
甘崎城はそんなまるでモーセの十戒に出てくるように海が干上がって初めて訪問できる城。何しろ水深が浅すぎるために船では訪問できないという難易度の高さ。続日本100名城の能島城でさえ、ここまで難易度高くない(こちらはツアー会社のクルーズで行ける)さて、今治市では毎年、訪問可能な干潮の日を「海割れ予報」で出しています。大体、5月に数日、7月に1,2日というものですが、あくまでも「予想」は「予想」。確実に訪問できるわけではない博打な城巡りであります。
今治まで予讃線で到着。ここからしまなみ海道への高速バスで福山行に乗り換えていきます。
今治は造船で栄えていた工業地域、その一帯を過ぎると
いよいよ芸予諸島へと突入。ここからは西瀬戸自動車道を一路走っていきます。島の一つ一つを一回一回船を利用することなく、バス一本で訪問できるのはありがたい。ただ、過疎化が進む地域でもあるので、果たしてこの便利なインフラが何時まで維持できるかという現実的な課題もあります。
大三島ICでバスは一般道へと下りていきます。道の駅多々羅しまなみ公園に観光案内所があるのでそこで質問すると…
「海割れ予想?…」とまったく知らなかった模様。それでも何とか自治体支所に問い合わせしてくれて、やはりこの日の夕刻くらいに海割れがある…
ただ最近はなかなか完全に干上がらないそう
という衝撃的なお知らせ。さて予想時刻までまだ時間があるのでちょっと散策
真夏の暑さとは裏腹に瀬戸内海はどこまでも涼しく、ここだけは別世界のように過ごすことができました。
うん、やはり真夏は海だな(笑)
道の駅多々羅しまなみ公園から南へ歩いて10分ほどの位置が甘崎城との「接岸」地となります。
今は海に浮かぶあの小島がかつては水軍の城として立派な石垣を兼ね備えた要塞島であった名残。この日、海割れ予測当日ということもあってか多くの観光客でごった返しておりました。
私もこの日は濡れてもいい靴と靴下を用意。一部岩肌とかあるので、ここではビーチサンダルなどは危険。しっかりした運動靴を(濡れてもいい)ように用意しておきましょう。
足を濡らしながら歩いて10分ほどで到達!
明らかに天然の岩とは違う人工の石垣が鎮座していて大興奮。
島は一周できるようになっており、随所にかつての城跡遺構が残されています。
南の曲輪石垣
綺麗に並べられた石垣は基底部のみとなってしまいましたが、今も残されています。
舟を係留しておくための岩礁ピット
この辺りは今も地元の漁船が行き交っています。
まさにサンダルビーチ厳禁とされているのがこの険しい岩肌を歩くと滑りやすくなるから。危ない危ない。
甘崎城は一周するのは慎重に行っても20分ほどで一周できます。ただ、中央部の所は藪が酷く、ちょっと入れない状態。一応、あそこが主郭なんですけどね…
コチラも綺麗に整地された石垣跡
そして遂に積み上げられた立派な石垣遺構を発見!もうこれを見ただけでここへきて良かった!と歓喜の思いです。何しろ、今回はここを絶対訪問するぞ!という気概出来たので、本当に嬉しかった!
さてそれでは名残惜しいですが、30分ほどで対岸へと戻ります。水が干上がるのはほんの一瞬…ウッカリ長居してしまうと
歩いて戻れなくて孤島に取り残されてしまう危険もあるので
まだまだ訪問客がごった返しています。何しろ年に数回だけしか訪れることのできない貴重な海城ですからね。
そういうわけで、今回なかなか興奮とスリルを味わえる城巡りとなりました。真夏で暑かったけど、ここだけは暑さなんてへっちゃら!何しろ足はヒンヤリした海水に浸かっていてずぶ濡れだからね(ガンギマリの(笑))!そういうわけで今回は貴重な日本全国でここだけの城巡りとなりました。皆さんも是非とも訪問してみてください。
〇村上水軍の遺産
甘崎城は大三島の水場集落から160m沖合に位置し、瀬戸内海を最短で通行できるルートに面しています。城を運用していたのは村上水軍ですが、能島村上氏系の今岡氏、もしくは来島村上氏の村上吉継が城主として知られています。江戸時代にはここは今治藩藤堂高虎の領土となりましたが、対岸の安芸を治める豊臣恩顧の大名・福島正則の動向を監視するために近世城郭として改修され、江戸期にも現役運用されていました。その後、藤堂家が伊勢津へと国替えとなると、松山藩が藩主が参勤交代する際の狼煙場として活用したと言われています。元禄年間に長崎から江戸へ海路で向かったオランダ商館長ケンペルはこの城のことを記録しています。
〇アクセス
JR予讃線今治駅から瀬戸内海交通で大三島バス停下車約1時間 片道1,060円 そこから徒歩10分で対岸
※事前に海割れ予報で検索するように!
「甘崎城に狼煙が一本‥‥」






































































