時行くん「覚悟とは………………潔く死ぬ事ではないッ!覚悟とは!!暗闇の荒野に!!生きる道を切り開くことだッ!」
時行くんの中の王者の覚醒!!!
今回も時行くんの様々な表情と結川さんの感情の籠った演技で思いっきり楽しむことが出来ました。
いかにもタルカス感溢れるドスの効いた保科弥三郎に対しても、啖呵を切り、死にたがりの保科をその言葉と尻に敷くことで冷まさせた時行くん。既に多くの人間に対しても、天性の侍王子っぷりを発揮して、心を掴んでいく様は
「ジョジョの奇妙な冒険」第5部主人公のジョルノ・ジョバーナがブチャラティチームの人間達の心を掴む様を彷彿させます。
それ以外にも
吹雪が持ち上げられて、満更でもないモード
時行くん「話分かる人いたーーー!!」
という心なしか結川さんも時行くんに思いっきりシンクロしまくった感情の発露。
時行くん「無理無理無理無理無理無理無理!!!」
4コマの中で多彩な涙目表情を絵で見せ、
キッとなって保科に啖呵を切る
酔っている姿もエロさも満載な表情の時行くん
完全に無防備に口を開けて眠ってしまった時行くん
そして最後は生涯の「相棒」となるべき『逃げ若』のダリューンこと弧次郎との関係を深めていく時行くん。もうマジでアルスラーンよなぁ…
あ、そうだ。今回改めて見て思ったのですが、
色々な意味で顔が濃すぎる保科党の皆さんや良くも悪くも非現実的な美ショタ・美少女の集まりである逃若党の面々を実写化での俳優をイメージするのは困難なんですが、
平和な顔の門番さん(キャスト名:平和な顔の保科党)はティモンディ高岸がピッタリくるんじゃね?
と閃きました。ほら、顔つきといい屈託のない笑顔なところと言い実に良く似合う。是非、逃げ若実写化の時には
是非とも温厚そうな顔で、ギャップの凄まじさにドン引きさせてくれたら最高じゃないですか。それでは本編感想参ります。
〇国司は常に誰かの上に
清原信濃守「春は重税 ようよう温くなりゆく我が懐、麻呂世界は今日も平和じゃ」
少しオネェっぽさも入りながら、聞いたら凄い公家感溢れる声色で違和感ゼロだった麻呂国司。演じるのは勝杏里さん。チャカか…この後もアヌビス神よりも厄介な存在によって異形の傀儡と化すのも納得。それにしても声色だけ聞いているとフリーザ様感が凄い。
改めてアニメで見て思ったのですが、麻呂国司登場した時から常に輿…人の担ぐ乗り物に乗った状態でいる。そう彼は常に誰かを踏み台にしたような生き方を象徴し、自分一人では立つことすらできない哀れなる貴族としての存在を暗喩していることに気づきました。改めて松井センセイの見事な伏線です。
それにしても今回吹いてしまったのは麻呂国司に対する中間管理職の悲哀を一身に背負って、視聴者からの同情を集めてしまった
小笠原貞宗殿ww敵キャラなんだけど、周りが奇人変人だらけの中にあって数少ない常識キャラという意味で人気が鰻登りになるのはアルスラーン戦記の王弟殿下を彷彿させる。どんどんキャラ人気が高まっていく貞宗殿なのでした。
〇鎌倉武士の「理想形」保科党
保科弥三郎「では予定通り死ぬぞ各々方ッ!!!!たとえ勝ち目が無かろうが命を捨てても我らが意地を見せねばならぬ!!」
「お前のような幼子には分かるまい!!最高の死に場所を選んだ武士は後世まで人々から讃えられるのだ!!」
「侍の本懐とは舐められたら殺すこと」という某漫画の精神の通り、当時の武士たちにとって何よりも大事なのは「名誉」。その「名誉」を傷つけられたら命を賭してでも戦うのは当然。つまり、保科党の論理というのはまさに鎌倉武士の精神を体現しているのですよ。
武士は、「いかに名をなして、後世に残すか」を最重要視する
古くは源平合戦の時代に軍記物で恐縮ですが、『義経記』などでも九郎義経が郎党に対して、「どうやって自害すれば、人々は称讃するだろうか」と問いかけるシーンがあります。『義経記』のこの話はまあもちろん創作と考えて差し支えないのですが、大事なのはそれが当時の武士の「あり方」を体現していることにあります。
ナレーション「一族のほとんどが逃げることなく討死か自害し、天下の舞台を自ら降りた北条氏は最も潔く死んだ一族と言ってもいい」
大河『太平記』でも敵方にあるにもかかわらず「鎌倉炎上」の回で凄まじい映像美によって、その最期を締めくくった北条一族はまさに「当時の武士としての精神を全うした」と言ってもいいでしょう。一門を含めて870人もの武士が切腹して果てたがために、後世に名を残すこととなりました。当時、郎党は進んで我先と腹を切ったと言われており、そのには「地獄でも殿の先陣を仕る」という、鎌倉武士の愚直なまでの忠誠心を表しています。それにしても思うのは果たして、どの幕府終焉が果たして「一番ベター」なのか考えることがあります。
鎌倉幕府→北条一族は郎党もろとも集団自害し、壮絶な最期で幕を引くタイプ
室町幕府→足利一族は京を追放され、流浪となって自然消滅したタイプ
江戸幕府→新政府に降伏開城することで、徳川一族の身の安泰と流血を回避するタイプ
この辺はXでも色々と意見の分かれる所でした。面白いのは一見すると一番「カッコ悪い」足利一族にも人気があることで、やっぱり人の意見は多種多様。だからこそ、面白い。
全員が同じ考えというのは勘弁願いたいものです。
〇北条時行という少年の生きざま
時行くん「潔く死んでも何も残らない!せいぜい無力な子が残るだけだ!」
そんな保科党の「武士の理想形」に対するアンチテーゼとして、まさに打ってつけの題材となるのが、まさに我らが主人公北条時行くん。そもそも史実での彼自身の生きざまがまさに「当時の武士らしくない」のです。でもだからこそ、この時代を描くにあたって現代人に響くものがある。まさに松井センセイの慧眼が光ります。
時行くん「私は何が何でも死にたくない。自害する暇があったら死ぬほど生きたい!」
凄いよね、現代価値観補正という批判を跳ねのけるのに史実の時行くん自体がまさにこのセリフの通りの生涯だったのですから。そして南北朝時代を通じて、やがて武士達の意識は鎌倉以前とは大きく変わってきます。皮肉なことにまさに時行くんにとっての怨敵である南北朝のラスボス足利尊氏とその一族もまた「生き意地」の戦いであったと言えるでしょう。ラスト公方の足利義昭なんてまさにそれだからね。
時行くん「分からず屋には…おしおきら!」
メイドインヘブンによる「加速能力(逃げ)」に加えてC-MOONによる「重力反転能力」による尻攻撃まで手に入れた時行くん!
一人でプッチ神父のスタンド能力を網羅しつつある主人公って一体…尻が重力が反転したかのようにあり得ない動きをしているし、更には攻撃された対象の性格を反転させる効果を持つとは恐るべし。ちょっとばかり保科弥三郎に対する羨望が生まれそうですね(笑)いずれにせよ、「血に酔った」死にたがりの保科党も時行くん渾身の「尻に敷く」ことで、冷静さを取り戻します。
そしていよいよ関係が深まっていく時行くんと弧次郎。ああ、やはりこの関係アルスラーンとダリューンだわ。他の郎党にはない特別性(雫ちゃんは除く)本当に今となっては逃若党の面々にこのキャスティングで本当に良かったと思えるようになりました。
さあ、いよいよ次回は(とりあえずの)最終回。お楽しみに!