ビビビっ!と示唆をいただいたので、勝手ながらメモを共有いたします。

長文でしかも読みにくくて恐縮ですが、よろしければお読みください。

 

 

講演会 欧州アクセシビリティ法が拓く未来
講師 Dr.ラースロー・ロヴァーシ
ハンガリー首相府大臣付顧問/ブダペスト公共サービス大学シニア研究員/国連障害者権利委員会元委員
1973年生まれ、80%失聴。重度の聴覚障害者。オガワと同等レベルのように見えました。補聴器・ヒアリングループ使用、音声言語で発信、視覚情報と音声情報双方で受信されています。

2月28日(水)、参議院議員会館102会議室で行われました。
日本障害フォーラム(JDF)主催、障害学会協力。キリン福祉財団、SOMPO福祉財団、ヤマト福祉財団助成事業。

2021年まで国連障害者権利委員を務め、障害者政策・アクセシビリティの専門家。2025年6月に施行される「欧州アクセシビリティ法(European Accessibility ACT。 EU指令2019/822)の概要と、今後の展望について、ブダペスト公共サービス大学シニア研究員の立場でお話しされました。

<講演概要>
EU(欧州連合)は27ヵ国が加盟。総人口4.47億人、
うち16歳以上の27%、1億100万人が何らかの障害を持つ。4人に一人以上。
65歳以上は52.2%。社会で重要な立場にある方の27%がアクセシビリティの問題を持つ。
EUの戦略として、10年以上かけてアクセシビリティ法を作ってきた。
例えばオーディオビジュアルに関するサービス、商習慣、電気コマースに関して、調整、向上に努めてきた。
国連の障害者権利条約はアクセシビリティや教育、労働について重要な人権規約になっている。障害者のQOL向上に資するもの。EUの法成立に大きく影響している。

欧州アクセシビリティ法
国際的な市場で(主に)電子機器・サービスが利用者にとってアクセシブルであるよう、EU域内で事業者に統一的な要件に従うよう義務づけるもの。6つの大事な分野を規定した。
・PCやスマホ
・発券機・チェックイン機
・テレビ番組
・銀行とATM等
・電子書籍(E-ブック)等
・オンラインショッピングサイトとモバイルアプリ。
企業も顧客も双方が利益を得られるように作られた、
障害者権利条約への言及だけでなく、アクセシビリティに関する手続きや要請にも使うもの。この法律によって、欧州でビジネスを行う者が権利条約の理念を実現するようになってくる。その最低限のラインである。
2025年6月施行予定だが、来年夏には法が求める内容にそって、各国で共通のアクセシビリティ要件に従わなければならない。加盟各国はどのように取り組むか、準備している。

国連が取り組んでいる、デジタルテクノロジーについてのレポートに注目してほしい。仮想空間という新しい技術革新が起きている。
今後教育やコミュニケーション上で、社会的に注意を払っていく必要がある。
EUの新しい建築基準についても採用されている。

高齢化社会の進展で、より多くの機会が生まれる。政策決定者は注意を払う必要がある。
「ソサエティ5.0」のレベルを目指している。ここではロボティクスが戦略上、有効である。日本の取り組みに敬意を表したい。バイオテクノロジーも重要な課題だ。
我々の重要な課題を、技術を使った解決方法で障害とともに考えていくことが大切になる。
必要なプロセスについてリサーチしている。大事な観点が3つある。
・ウェアラブル機器・デバイス等の活用について
・安全な侵襲型機器(人工内耳のような、体内に埋め込むもの)
・AIとロボティクスで、あらゆる分野で障害をサポートしていくこと。
人工的器官、侵襲型機器のテクノロジーのデータを集め、安全等の面から見ていくことが、事業の発展につながる。

課題
・技術的な解決が必要になってくる
・市場のニーズをふまえて標準化していく必要がある

結論
単独でブレイクスルーはない。協力が必要だ。
高齢・障害者のアクセシビリティで、日本は好例となっている。

<質疑応答>
Q 物品とサービスでEUの市場でどのように取り組まれるのか
A 各国の準備期間が来年6月で終わる。各国がアクセシビリティの状況をチェックする責任がある。
中長期的に、大企業にはマーケット毎にグループを作って、アクセシビリティの向上を図っていくということになる。日本企業の協力にも期待したい。
Q アメリカのリハビリテーション法508条(連邦政府のアクセシブルな電子機器調達義務など)と欧州規格EN 301 549(欧州におけるICT製品・サービスの、適切なユーザー補助要件)との関係は?
A (回答前半がよくわからなかったです!)
教育については法では直接触れてないが、機器を通してアクセシブルにしていくことになる。
Q 不服申し立ての機能はあるか?
A 各国で担当部署を設けるよう求めている。
Q モニタリングは誰がやるの?加盟国の責任で行うのか?
A まず各国、次いでEUレベルでもモニターすることになる。
Q 人工内耳や手話との関係は?
A 人工内耳は低侵襲型機器なので関係する。手話はコミュニケーションのことだと思うが、技術と手段の違いがある。コミュニケーション面については権利条約で書かれている。
インクルーシブ教育についても同様。法にそって、教育用アプリを適切に開発することが大事。
EU全体の教育ルールはないので、各国別に運用される。
障害者の交通アクセシビリティについては、例えばEU全体で使える駐車カードがある。
Q AIと労働について?
A ILO(国際労働機関)もAIについて触れている。
AIのアルゴリズムで、障害者を差別しないか、排除しないか危惧している。開発が大事。
Q ゲームはどうか
A ゲームについては詳しくないのだが、電気製品のアクセシビリティ面ではスムーズになるだろう。
Q AC新法は企業も義務を負うのか。
A 企業も責任を持つ。各国が責任を持つ。まず押さえてほしいのだが、各国のさまざまなルールが欧州アクセシビリティ法に適合するよう、調整が求められる。その上で企業も各国のルールに従うことになる。

以上
メモ文責・オガワ

 

以下、DPI日本会議の浜島様よりご教示を受けました。

『EUとしてインクルーシブな取り組みが不十分であることから、「欧州障害者戦略(2010-2020)」が作られ、この10年間にアクセシビリティ分野で「身体障害や移動における機能障害のある旅行者の権利」、「視聴覚メディアサービス指令(2010/13)」、公共機関のWebサイトに関する「ウェブアクセシビリティ指令(2016/2102)」、「製品およびサービスのアクセシビリティ指令(2019/882)」などが達成されました。このEC2019/882指令が、欧州アクセシビリティ法として知られるもので、欧州議会で採択されました。』