聞こえているのに聞き取れない「聞き取り困難症」。日本初の大規模調査を実施。子どもの学びにも影響するため、早期発見と対応が大切【耳鼻咽喉科医】(たまひよ 2/6)

 

大阪公立大学医学部附属病院耳鼻いんこう科の阪本浩一先生たちの研究グループは、日本初の大規模調査を行いました。

 

耳から入った音の情報を処理する脳に何らかの問題があるため、音を「言葉」に変換して理解することが難しくなるのです。
これまでは「聴覚情報処理障害(APD)」と呼ばれていたのですが、原因が聴覚の情報処理の問題だけではないことがわかったため、海外では「LiD( Listening difficulties=聞き取り困難症)」と呼ばれることが多くなっているんです。国内では「聞き取り困難症」という名称を広めたいと願い、最近は「LiD/APD」と表記しています。生まれたときから聞こえの特徴があるはずですが、自覚しにくい。

病気が発見されたのがおよそ70年前で、比較的新しい病気のため、世界的に見ても、明確な治療法はまだ確立されていません。

阪本先生たち研究グループは、日本で初めて小中高生とその保護者を対象にした、聞き取り困難症の大規模調査を行い、その研究成果は2023年11月に、国際学術誌「International Journal of Pediatric Otorhinolaryngology」にオンライン掲載されました。

阪本 2021~2022年に、大阪の小中高9校に通う4350人の子どもとその保護者を対象にアンケートを実施しました。

743人から回答を得ました。
その結果、LiD/APDの症状を自覚する頻度が「若干高い」は12.4%、「中程度」は2.8%、「かなり高い」は0.8%でした。学年が上がるにつれて困難を感じる割合が高くなっていて、症状の頻度が最も高い0.8%の子どもは、詳しい検査を行ったらLiD/APDと診断される可能性がありそうです。
その一方、保護者は症状を「たいしたことではない」と過少報告する傾向にあり、周囲が気づきにくいことも明らかになりました。
さらに、保護者の10%が子どもに発達上に問題があると回答し、LiD/APDの症状が重いほど発達問題のスコアも高い傾向が見られました。

診療の現場でLiD/APDで困難を感じている子どもたちと、その保護者の間で、認識の違いがあることを感じていました。それを明らかにしたいと考えたのが調査の一番の目的です。

診断と支援の手引きを2024年3月ごろまでには発表できるのではないかと思います。

(サイトより引用)

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調査研究と適切な支援に向けての取り組み、注目していきたいと思います。

支援方法、補聴支援と共通するところもありそうです。音声言語に限らないかもしれません。