オガワ参加報告です。
障害を理由とする差別の解消に向けた地域フォーラム
1月31日(火)14:00-17:00
練馬区立区民・産業プラザ3F
主催 内閣府・東京都
開催趣旨 28年4月施行された障害者差別解消法について、地方公共団体と連携し、パネルディスカッション等を通して意見を広く聴取し、差別解消法の円滑な施行、取り組み促進等を目的としています。
■1 内閣府資料から抜粋
法律の概要
合理的配慮サーチ(内閣府)
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/
■2 東京都高原部長挨拶から抜粋
2020年オリパラに向け、ダイバーシティ推進を目指すよし。
1/30に差別解消法の好事例を発表した。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/tiikikyougikai.html
■3 基調講演 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律について
野澤和弘氏(毎日新聞論説委員、障害者政策委員会委員等)
1)法の目指すところ…差別的取り扱いを禁じる。
合理的配慮を提供しないことも差別である。
過度な負担がある場合、建設的な対話が望まれる。
ex)某大学で、車いすの学生が、教室のスイッチの改修を申し出た。車いすからは手が届かないので、改修してほしいとのこと。大学側では大きな改修が必要になるので、過度な負担にあたるのでは、と判断。
話しあいを持った。これがよかった。学生が困っているのはスイッチだけではなかった。他の学生とも話し合いを持ち、理解が広まり、多様な場面で協力してもらえるようになった。
合理的配慮について、障害者自身がまだまだ知らない。意見を示すのが難しい人もいる。そのときは家族等が代弁する。
2)雇用の場では、障害者雇用促進法がある。
近年は発達障害の人が注目されている。
不適応的な行動が本人のわがままだと見られていたことが、理由があってのことだと理解されると、改善され、労働効率の向上に結びつく。
感覚過敏の人に、耳栓を提供するようになり、集中力が向上した例。
高学歴の発達障害の人。能力があるが、職場でイライラした様子だったり、上から目線の尊大な態度をとっていたが、周囲が対応を変え、対等に扱うようにしたら、イライラがなくなった。職員の差別を感じる対応が、彼の尊厳を傷つけていた。周囲が変わると彼も変わった。彼の働きやすさが向上した。
3)広島のフォーラムで、車いすの人の質問に、満場シーンとなった。
東京ドームで、車いすの入れる席の数は? 5万人のドームに12席だけだった。
甲子園は3席。しかも3塁側。阪神ファンの車いすの人は、巨人側から応援していた。
マツダスタジアムは144席。多目的トイレやホスピタリティスタッフもいる。
大リーグの球場は、車いすの人が多い。ADA法の効果らしい。
合理的配慮の出来るチームは、個々の選手の対応もできるのでは。昨年は広島が優勝した。
4)北海道の施設、「ハルニレの里」。
重度の自閉・知的障害をはじめとした、発達障害の方の施設。ここに、他の施設では「暴れる」と言われた利用者が集中。
職員は特に予算のない中、個々の障害の様子を見つめ、対応した。
例えば夜中に暴れる人がいた。様子を観察していると、月が丸くなるころ暴れる。月と関係があるらしい。
満月近くは夜、外を見せないようにすると、暴れなくなった。
感情が高ぶりがちな人は、押し入れに個室を作り、ブルーライトの環境を作って入ってもらうと、一人で入って落ち着くようになった。
特別な予算をかけることなく、通常の業務で対応できた。
合理的配慮の進化ではないか。
5)人生を楽しもう
元・ブルーハーツの関係者らで、障害者とともにバンド活動をしている。
そこに障害者施設の入退所を繰り返した人が来た。バンド活動をするうち、ステージにも立つようになった。観客の大きな拍手に感激して、こんなことを言った。
「前は施設を出たから自由になった、と思った。でも間違っていた。だまされていたんだ。
ここでは大勢の客に演奏を見てもらい、共感してもらうことで、自分の頭の中でなにかがはじけた。
檻から出られたんだ!」
一同、感心した。
どんな障害があっても、一人の人間として、人生を楽しむことができなければならない、
どなたでも生きがいを持って、人生を楽しめる社会にしなければ。
■4 東京都の取り組み状況 守田ミドリ課長代理
1)都内の27年度障害者数
身体障害者手帳交付者数465,324人
愛の手帳交付者数 82,999人
精神障害者保健福祉手帳所有者数93,935人
2)職員対応要領
東京都版職員対応要領 28年3月策定。
対応要領の制定状況…別紙(都内・全国)
3)自治体の取り組み
障害者差別解消支援地域協議会での取り組み
協議会の設置状況 別紙
関係機関の連携イメージ図 別紙
東京都では4月の施行以来、11月までに107件の相談が持ち込まれた。
差別解消法の合理的配慮は当事者同士で相談するわけですが、そこでは解決できない場合に、東京都に持ち込まれることがあります。
4)その他
ヘルプマーク・ヘルプカード普及の取り組み
障害者への理解促進及び差別解消のための条例の制定…平成30年度の施行を目指して検討開始
■5 明石市の取り組み 金政玉(きむ じょんおく)氏
明石市で法関係施策推進するにあたり、国会付帯決議の「事業者の負担に配慮する」を重視。
助成制度を4月から開始した。12月までに145件の申請あり。
予算350万のうち、200万を消化。年度末にはなくなる見込み。
市の持ち出しで実施。事業者の持ち出しは少ない。いずれは予算を基金の形にしたい。自治体が提供できる環境整備として、求められるのではないか。
明石市の条例3つの特徴(別紙)
■6 京王プラザホテルの取り組み 中村孝夫さん
1971年新宿に開業、50年前の設計。
東西南北どちらからでも車いすで入りやすくなっている。
1988年、アジア初のリハビリテーション世界会議開催。ハンディキャップルームを15室作った。
28年4月からUDトーク導入。
■7 高橋玲子さん(視覚障害)
官民交流派遣で経済産業庁へ。
官庁内の合理的配慮は、外から来る人のためのものと感じていた。
なぜアクセシブルな製品が広まらないか。
メーカーが製品を作っても、利用者からの反応がない。困ったときしか反応が届かない。
これは当事者の責任ではないか。よかった部分も伝えるべき。評価がないと、開発は終わる。次に買える製品がなくなってしまう。
当事者同士で話し合い、広い視野でニーズを見ていかなければならない。
もう一つの問題は、大きな市場がないこと。
政府が適合した製品を消費者が進んで買うシステムがあるとよい(米リハビリテーション法508条)。JISにも公共調達に関する項目はあるが、推奨であり義務付けとはなっていない。
■8 シンポジウム
野澤氏/千葉県には差別解消法に先行して、差別禁止条例がある。県民に条例を知っているか聞いた。
知っているという回答は20%程度だった。だが、他の自治体の人には「20%も?」と、びっくりされたが。
関係者には比較的理解してもらいやすい。だが街頭の周知イベントで呼びかけても、立ち止まって聞いてくれる人はいない。
ある大学で、聴覚障害学生に、情報保障を求められた。音声認識アプリのUDトークを活用。ほぼ全文表示され、喜ばれた。
UDトークは認識結果を12カ国語に翻訳表示できる。なんとか使えないか。
2020年にはオリパラもある。世界に向けて、日本の技術を発信する大きなチャンス。誰もが暮らしやすい国だと発信したい。日本の技術を海外の人に見せたい。
金/費用の伴う配慮は難しいのが現状。負担感を和らげる。明石市では、そのための助成制度を始めた。
仕組み作り、仕掛け作りを考えた。地域の実情にあわせた環境整備を行いたい。
中村/人の介在がないと、設備は生かせない。
高橋/銀座線での視覚障害者の転落事故以後、駅の放送や、声をかけてくれる人が増えた。
SNSの効果を感じる。逆に変なことも。Twitterで、視覚障害者が白杖を掲げたらSOSのサイン、的な書き込みがあった。だが実際にはそんなことはあまりしていない。
FacebookよりTwitterの方が、視覚障害者には便利。リツイートができる、140文字で発信ができる。活用したい。
それから製品普及のために、アメリカのリハビリテーション法508条のように、公共調達の仕組みを広めたい。各企業で理解を広めるために、もっと障害者を雇用できるようにしたい。
座長川内/日本には508条のような仕組みが充分に機能していない。当事者が要求しないから。声が届かないから。
伝えるだけでも力になる。2020年世界を驚かせよう!
以上
高橋玲子さんコメントのように、企業に当事者意見を伝えることが大事です。
このような場の一つとして、
「障害者自立支援機器 シーズ・ニーズマッチング交流会」があります。
2/3(金)、お台場のTOC有明で開催。
http://www.techno-aids.or.jp/needsmatch/
企業に直接意見を言える場です。
ぜひみなさんもご参加、ご意見を!