JDF地域フォーラムin東京 Vol.1
障害者制度改革の動向と障害者総合福祉法

2/25(土)午後、新宿NSビル30階で開催。
キリン福祉財団・損保ジャパン記念財団・ヤマト福祉財団の助成を受けて実施。地域フォーラム、全国で12箇所目、東京都では初めての開催。
障害者自立支援法に代わる総合福祉法の動向が注目ポイントです。
以下、小川メモ。乱文お許しを。

■東俊裕氏(障がい者制度改革推進会議担当室室長)

総合福祉法部会で、10の分野についてとりまとめ、骨格提言を出した。
しかし先日厚労省で案として示されたのは12,3項目だけ。提言を取り入れたのは3つくらい。残りはふれていても、中身や方向性、書きぶりに問題があった。
部会でも多くの意見がだされた。大きくわけて4つ。
1)どう作っていくのか。運用、予算措置のレベルではない。
2)理念、目的。障害者基本法改正を若干取り入れてはいる。二つめの障害の範囲が問題。包括的な規定を設けた。厚労省案では一部の難病の人を入れただけ。書き方によっては制度の谷間を生む。
3)選択と決定。支給決定について、新しい内容を提示している。程度区分を廃止し、ガイドラインのもとに協議して決めていく。
厚労省案では支給決定の中で、程度区分の認定のあり方を見直す。
4)就労支援の問題では福祉的就労、一般就労の間でおおきな格差がある。
労働・福祉政策を一体的に進める新たな考え方を提案している。
しかし厚労省案の通りだと、平成30年の実施になる。方向性も明示されず、期間も長い。新しい仕組みとして定着するのか大きな心配がある。
骨格提言は4つの時間軸を設けて段階的に進める現実的なもの。
骨格提言自体が計画的、段階的実施となっている。
では何に向かうのか、どのような改訂か、工程表が厚労省からは出されなかった。
そのためJDFで検討して工程表を作った。
だが民主党の厚労省関係のワーキンググループで検討することになった。
民主党に投げられることになった。基本法のときは法案を直接だせたが、民主党政権では党の政策調査会の了承が必要になった。
従前の横断的なプロジェクトチームはなくなった。
厚労省案が出されたあとは、民主党のワーキンググループで原案を巡って議論がなされている。しかし外部にはわかりにくい。報道機関には資料が提示されているが。

厚労省案はかなり変更されているようだ。
21日の段階で10数個変わってきている。
理念、目的の部分。障害者基本法の改正を踏まえ、「障害の有無によって分け隔てられることなく」という文言が入っているようです。
法律の名称は確定していないようです。

障害程度区分の問題。現実の生活実態に即したものが出て来ないということにある。
身体と精神の程度区分が同じ6であったとしても、そこから必要なサービスは見えてこない。それが見える合理的な制度ならいいのだが。
実際には予算をどうコントロールするのか、という財政とのからみがつよい。
サービスの支給決定は、障害の程度が軽い人はもらえない仕組みになっている。
介護時間についても、知的、精神の長時間介護は想定されていない。
行動援護は移動支援の一つの方法。
家の中で長時間の見守りははいっていない。トータルで長時間介護の枠組みではない。
肢体不自由に限定されている枠組みをはずすという意見が、修正案で出されている。

障害者福祉サービスという書きぶりもある。
これまでふれていなかったのが、コミュニケーション支援。
手話通訳などの養成を県だけでなく、市町村でも行う。コミ支援では通訳者がいないと、制度だけでは機能しない。
何のために養成するのかといえば、派遣のため。
厚労省案では通訳者の不足についても書かれていない。

3月上旬には国会に出されるだろう。そのときどのくらい厚労省案にそったものになっているか。黙っていて変わるものではない。
地域で一丸になって進めてほしい。

質疑
Q/見通し、スケジュールについて教えてほしい。
東/スケジュール、民主党のワーキングチームは毎週水曜日定例開催。29日には大方決まるのでは。チーム自体はぎりぎりまで議論が続く。29日にまとめきれないとその翌週になる。国会に出す法案は予算に関連しないものは3月13、14日あたりが〆切。法案を作るときは閣法はすべて内閣府法制局のチェックを受ける。整合性をとるために、2週間は必要になる。29日の部会がデッドラインかと思う。
3月の中旬に国会に出されたとして、議論はいつからか。他の法律も多い。予算法案が優先される。それが終わってから審議される。基本法で言えば、7月の終わりに議論され、8月5日に施行された。時期的には同じくらいになりそう。

2つめは政策委員会について。基本法による中央障害者施策協議会はなくなる。推進会議は閣議決定を経ている。総合福祉法、差別禁止法の二つの部会は政策委員会に吸収される。4月からは政策委員会になる。法律上メンバーは30名。ジェンダーバランスを考慮する。女性が少ない。年齢、分野の問題もある。
総合福祉法部会は4月以降はなくなる。役割は意見をとりまとめることだった。昨年8月に役割は終わっていた。その提言の行く末の議論はあるので、ぎりぎりまでがんばりたい。
4月以降どういう案になるにしても時間軸がある。さらにつめて新しいものを作る。その当事者参画の仕組みが準備でいるのか。厚労省案には、「障害者などの意見を聞く」とだけしかかかれていない。ヒアリングだけで足りるのか。
政策委員会は監視機能が重要視される。モニタリングの機能です。監視する機関の中に政策を進める組織を入れるわけにはいかない。新しい組織ができるのか。

3つめ。皆さんに望むものという質問。
頑張ってもらうしかない。東京ならロビー活動の地の利がある。行政関係者と会えるチャンスが多い。思いを福祉関係者だけで話していても世間には伝わらない。対外的に声を挙げなければならない。

■芦田真吾氏(東京都福祉保健局障害者施策推進部長)
(前半略)
骨格提言について
まとめられたことに敬意。個人的意見。
これから国民的議論になる。当事者だけでなく社会保障制度改革の中に位置づけることが必要。
総合福祉法が目指す6つのポイントがある。ただ現行制度を廃止する理由がない。
提言の直前に、部会作業チームの報告書が出されている。
自己責任論の解消、新法に移行する中で廃止する。
一般に社会サービスの利用料は負担能力に応じて適性に利用料をもとめることで、将来的に安定した運営をするのが目的。
所得保障を実現した上で、利用者負担を求めるという考え方。どちらがいいかは意見が分かれる。
障害者なら無料、そうでないなら1割や3割の負担となると、谷間の問題は解決しない。ニーズに合わせたサービスの提供というのが東京都の考え方。
もう1点。
措置制度から契約制度というのを否定するのは現実的ではない。公的責任の拡大強化。これには違和感がある。行政が特定の人のために行っていた措置制度へのノスタルジアを感じる。
現在の社会保障制度は民間、地域、行政の力が相互に補い合い、全体的に機能するもの。自助、互助、公助と呼ばれるもの。公的責任だけを強調して措置制度を懐かしむ表現には違和感がある。
「自立支援法の利点については、障害者総合福祉法に反映させること…。」
これはバランスのとれた意見だと思う。これが重要だと。

Q/東京都の姿勢を確認したい。インクルーシブな社会を目指すのですよね
芦田/インクルーシブ同感です。東京都の施策の基本理念にもその趣旨は入っている。当事者との関係、東京都は大事にしてきた。かっては緊張感が続いた時代もあった。
昔は怒号が飛び交うものがあったそうだ。
身体以外でもさまざまな団体と。ご意見を全て取り入れることはできないが、できるだけ施策に取り入れていきたい。
Q/アウェイ感のある会場に来ていただけてありがとうございました。
(会場拍手)

■歴史的な話と今後について(抄) 森祐司氏(JDF政策委員長)
24時間介護を実現する方法があるならやならければならない。
だが無料というのはやめたほうがいい。払える人には払ってもらう。最高は3万7200円、そこで頭打ちにしてもらう。障害年金ができた裏に、費用徴収制度が出た。当時私は身障課長だった。缶詰になって話をした。扶養義務者は半分にした。親兄弟からもお金を取るべきだと主張した。
当時は緊張関係だった。東さんがうまくまとめてくれるかと期待している。うまくおさまってほしい。

■世話人団体からの発言 宮本一郎氏 東京都聴覚障害者連盟理事長)
情報コミュニケーション支援法は、聴覚障害者だけでなく、視覚の方の点字、知的の方の記号やわかりやすい日本語など、あらゆるコミュニケーション環境について全ての障害者の方々を支援するものであることの説明や、手話言語法への理解を会場の皆さんに訴えていました。


■世話人団体からの発言 小野 浩氏 きょうされん東京支部 事務局長)

ニュージーランドに視察。日本の障害程度区分の説明をしたら笑われた。点数化することは客観性があるのか、程度がはかれるのか。それよりも個々の障害、個別性でしょうと。
今回のフォーラム、東京都での開催なので、議員も呼ぶべきだった。都内では地域フォーラムが次々開催される。森さんが政策委員長としてまとめたJDFの見解がある。町田でもこれを参考にまとめる。
(文責オガワ)