制度改革推進会議 第37回・災害と障害者について(長文メモ)
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/kaikaku.html
推進会議当日の資料、動画配信が上のサイトに置いてあります。
今回災害テーマ。関心のある方はご覧になってみては?
全部で4時間あるのですが…。動画は字幕付きです。

第37回 平成24年1月23日
災害と障害者について
その他

以下、オガワメモ書きです。
ポイントは
・身障者、支援者が津波被災時に共倒れする状況もあった
・ほとんどの自治体は災害時要援護者名簿の存在を把握しておらず、緊急事態での対応ができなかった状況が浮かび上がってきた。
・手話通訳者の公的派遣が行われたが、支援者に対して地域の社会資源等の情報提供が行われないと効果的な支援が難しい。
・被災地のうち、福島は復興というレベルでは考えられない。長期間放射能の影響が続く。社会的弱者の視点で取り組んで行く必要がある。
というところかと思います。

最後に自立支援法の廃案でなく一部改正の動きがある、
という情報について、
東室長は把握していない、
藤井さんは状況把握のためもあり総合福祉法部会開催を提案している、
ということでした。

『いくお~る』 聴覚障害に関する情報ブログ-1/23推進会議
推進会議の画像。中央が全難聴・新谷委員。

■開始冒頭
・共生社会担当大臣は、元民主党幹事長の岡田克也大臣になったと報告あり。
推進会議も岡田大臣担当です。

■第一フレーズ 被災状況
※話題に出てくる、災害時要援護者の避難支援ガイドラインについては、以下のサイトご参照ください

http://www.bousai.go.jp/hinan_kentou/060328/index.html

南相馬市健康福祉部長・西浦武義氏/
南相馬市の要援護者名簿は、個人情報配布の同意を得られた64.9%で策定、4280人の登録。当事者団体との連携は全くなかった。

小野氏(宮城支援センター)/資料6に基づく報告。
センターは自治体と連携しながら3/30から被災地での支援活動。宮城県では9500名に及ぶ死亡、1800名に及ぶ安否未確認。障害者の被災状況は把握できていない。
NHKと毎日新聞の調査が直近の情報である。
1月になって県から手帳の再発行数が報告された。
被災者でない人も含まれている。
表にあるように女川町が最も高く、432人・84%に再交付。南三陸町でも手帳所持者のうち15.0%に再発行されている。

きょうされん岩手支援センター・小山氏/
陸前高田市の状況お話しします。JDFの支援センターを設置準備中です。
災害時要援護者計画は地震や風水害を想定していました。
震災後、津波でデータが流され、発災時に確認する手立てはありませんでした。
消防団や民生委員と要援護者の確認中に多くの方が犠牲になっています。ひとことでいうと実効性のない計画だったと現地では考えているようです。
実際地震後の津波がくるまでの間に、要援護者を救いに行く余裕はなかった。
それでも災害時要援護者支援システムの計画通りに救助に向かった関係者は、各市で津波の犠牲になっています。
近くに支援者がいない方は、地震後に自分はここにいるしかないのか、という無力感を感じ、自力避難ができなかった事例もあったようです。
計画を考え直すべきだ、双方が救われる計画を考えるべきだという地元行政意見がありました。
要援護者の安全な地への居住確保を考える、これは発災前は全く考えることができなかったそうです。町に要援護者が100人いる場合、100人を避難させるには、命を守ることを最優先とした場合、危険のある方をあらかじめ安全な地域に移住することを行政も本人も考えておく必要があるのでは。
障害者が一緒に暮らせる町作りは個人的に大切と思いますが、数十年おきに被災する地域では考え直すべきではと考えています。
災害時要援護者支援システムは今回のような津波被害には全く役に立ちませんでした。
揺れがおさまるまで4分弱、相次ぐ余震の中で自分の身の周り確認するだけで10分かかり、早いところでは最初の潮位変動が始まっています。
担当地区の要援護者宅に確認に走り、避難させようと準備しているうちに周辺は避難する車で渋滞。
移動困難な対象者を民生委員たちが高台に避難させるには無理があったようです。消防団員も水門を閉めながら最終的に要援護者の元に向かい、結果、間に合わないということもありました。
今後の復興計画で、行政や地元住民も含めた意識改革が必要です。早急な検討を。

福島県 白石氏
震災後市町村に要援護者名簿の提出を求めた。しかし個人情報保護の壁があり、情報提供ができなかった。唯一、南相馬市が開示してくれ、安否確認ができた。
福島県は原発の事故があった。現在も6万人が県外避難。行政対応も進まない。
要援護者名簿の活用がいちはやい支援のために必要。

ゆめ風基金の八幡氏
阪神大震災以来ずっと防災について取り組んできた。大規模災害に備える施設は少ない。地域の人と話すと、民生委員が地域の人と話していないことがわかる。事業者が災害時の計画を作ろうという意識がない。
中越沖地震では名簿をもとに3日間で1000人以上の安否を確認した。

清原/要援護者支援事業に取り組んでいる三鷹市としても衝撃を受けた。
支援のマッチングが必要と思っている。小山さんからも、障害者、それを助けようとした支援者双方の命が失われた状況の報告があった。適切なマッチングについてお伺いしたい。

佐藤/西浦さんに。障害者死亡率が2倍くらいとのこと。毎日、NHKのデータでも共通している。
南相馬は全体が0.9%に対し、障害者は0.8%となっている。南相馬で死亡率が低いのは、何か工夫があったのか。
→西浦/未確認。わかったら報告する。

藤井/被災地の方、名簿開示についてどう思うか?
白石/個人的には全て開示すべきかと。支援できる体制をつくるべき
八幡/南相馬もかなり時間がたってからの名簿公開とのこと。障害者が逃げる場所がない現状。地域の自主防災でできるものと、障害者側の理解がないとできないものがある。
中越沖地震で全ての障害者のローリングをした。しかしバッシングは受けなかった。
事前に出す名簿、緊急時に出す名簿と分けて考えるべき。
小野/女川町など役場や社協も被災、データが流れ、被災地の運営管理でいっぱい。

久松((財)全日本ろうあ連盟)/質問ではないがお話ししたい。障害者手帳に関する情報は100%管理しているわけではない。障害者が亡くなったとき、役所に届けがないと、データ上は生きたままになっている。その情報に振り回されるということもあった。それを考えると、登録した後の管理ができないのではないか。更新の確認が必要だと考える。
支援活動は民生委員が中心になっている。比較的地域の情報に詳しい。民生委員は高齢者が多い。
要援護者が名簿登録したとしても、名簿登録している人が少ないという実態があった。名簿に必要な支援、必要な配慮の項目がない。必要な支援、必要な人を配置できるか。民生委員が配置されてもコミがとれない。その実体を見た。
制度を根底から洗い直す必要がある。地域の当事者団体も含めて検討が必要。

新谷(全難聴)/ガイドラインは早急改正が必要。大切なことはほとんど書かれているが、なぜ実行されなかったか。実行できるものにしなければいけない。
1月31日に中央防災会議が開催される。震災後はじめて。しかし障害者は私だけ。どのように意見を出すのか躊躇した。
私も2年前地域の要援護者名簿に登録したが、居住地域から災害情報が来たことはない。作っただけで終わっている。会議で話していく。

藤井/本日のベースは障害者の死亡率が一般人の二倍であること。障害ゆえに被災か。
ショックだったのは岩手。名簿にしてもマッチングにしても共倒れと。原発問題も同じ。これをどう考えるのか。
名簿にはニーズを書くところがない。信頼関係やマッチングも含めかんがえたい。
もうひとつ、個人情報保護。情報公開とのせめぎあい。これらが大きな問題。

■第二フレーズ 安否確認と支援ニーズについて
西浦/行政は、開示要望があり緊急時に特例を適用して開示するのが適当と判断、
約3000名分の開示をした。身体知的障害者は開示、在宅者590名を確認。
新谷さんのいうように名簿把握していれば早急に開示できたと思う。把握していなかった。
藤井/南相馬市だけが情報公開したことの功罪は?
西浦/避難後電話があった。避難できなかった方がいっぱいいたと。高齢者、障害者など。
人工透析患者の病院が避難してしまった。
透析しないと三日目には生きていられなくなると言われた。しかし新規患者は受け付けなかった。薬不足のため。
今回は生命を守るために開示。JDFの協力により安否確認ができた。
開示には異論もあったが特例措置を使った。訪問して、安心した、見すてられなかったという声があった。支援物資も届けた。

小野/安否確認は宮城においても困難だった。宮城県の紹介状を持って沿岸地域を回ったが、名簿は開示されなかった。
避難所、障害者施設、自主避難先など訪問して安否確認した。把握した人数1600名。
気仙沼は震災後10日で住民台帳を自治会長、民生委員に開示。特例がある。
被災地の県のイニシアチブで支援の窓口をつくり、そこを拠点に安否確認をする。外部の支援者が行う。そのようなガイドラインにすべき。

八幡/安否確認の内容が難しい。最初大丈夫でも親戚宅で具合が悪くなる人もいる。支援ニーズについて、震災以前のサービスは継続して受けることができるのか。
寝た子を起こすなと言われたところも。責任主体側でどうするか、がないと、外部からは入りにくい。
障害者支援センターの位置づけがない。大阪では地元の自治体が集まって支援活動することがなかった。行政として進めないとならない。

藤井/他の自治体へのアドバイスは?
西浦/行政がやる意識をもってもらいたい。ガイドラインは知られていない。県、市町村とも。周知していれば違ったと思う。

藤井/ガイドラインは18年改訂。ここでは2つ把握した。
ひとつは安否把握。もうひとつはニーズ把握。第一義的には基礎自治体の役割。それが壊れたときの行政との連携のありよう。こういう状態でも障害者支援の中心的な機能を打ち立てておかないといけない。
外部から支援に入るときも、市町村の障害者を支援する中心機能をどうするのか。
民間の職員、外部からの受け入れの日常準備がないと混乱する。
超法規的、行政のやる気も問われるが、ここも考えなければならない。

■第三フレーズ 避難所の問題
(略)
久松/社会資源への情報提供について。公的派遣について。ふたつ出したい。
社会資源に地域格差がある。岩手宮城福島の行政と情報交換した。全国的に言える事だが、社会資源の状況が全く違う。
特性に応じた資源の活用が必要。情報提供施設の所長に今回支援していただいた。情報センター所長は県職員。彼のがんばりで県を動かした。手話通訳、要約筆記の資源を出してくれた。人的ネットワークを作り、支援体制を構築した。
社会資源への情報提供の必要性について。支援するにあたって手帳保持者に地域の制度情報を提供する必要があるが、支援者が必要な情報を持っていないと支援できない。地域の社会資源情報を支援者に提供できるような、効果的システムを作るべき。

ふたつめ。公的派遣について厚労省と交渉したとき、阪神淡路大震災のときは、ボランティア中心の支援だった。今回災害救助法に基づき公的施設に勤務している手話通訳者等に依頼した。これは効果あったが社会資源の情報がないと、効果的な配置サポートができない。公的派遣と社会資源はセットで対応する必要がある。
公的派遣するとき、受け皿の安全確保が必要。県ともめたことがある。安全確保は派遣先の事業者が確保するのか。被災県は他県からの派遣に対応する余裕ない。意識の差がある。
県行政で派遣時の公的ルールを作るべき。福島から他県に避難したろう者の話。埼玉の方が支援しようとしても町役場から断られたと。自分たちが守るからと言われた。

門川/被災三県と茨城県にアンケ実施。共通した答えがあった。地震発生後、情報機器や白杖、ループなどが破損してしまった。再申請しようとしても耐用年数を紹介していないため申請が受理されなかった。緩和を検討してほしい。

藤井/避難所のあり方に2つの視点があった。
当事者が入っての検討が必要。応援もできていない。

■第四フレーズ 復興に向けた課題など
新谷/福島でショックを受けた。福島は復興特区というレベルでは考えられない。中通り、会津も復興対象として考えなければならない。
今回は広島の30倍以上の放射能が。こどもにも蓄積する。長期間、世代を超えて影響していく。これに対する取り組みは復興というレベルではない。史上初めて突き当たる問題。
福島は除染が先行し、復興計画が立てられない。社会的弱者の視点で取り組んでいく必要がある。

藤井?/復興庁ができる。障害児の状況も注目する必要がある。障害者の死亡割合が二倍と出ているが、あくまでも民間のデータだ。国は3点で検証を大至急すべきだ。
1 障害者の犠牲者数
2 直後から障害者はどう暮らしてきたのか
ライフライン、情報の寸断の中で。
3 既存の政策が障害者という観点から有効だったのか
このデータがすべての検討のはじめとなる。

福祉部会の開催、厚労省に働きかけている。具体的な時期は未定。

福島/(盲ろう者協会)1年以上アメリカにいた。今後の福祉施策の推進が気になる。一部政治家は自立支援法廃止せずに改正でと。違憲裁判で、廃案にすることになっていたはず。
推進会議の存在意義が問われる。

東/総合福祉法部会はまだある。部会を念頭にと考える。
自立支援法の一部改正の動きについて。ヒアリングでそういう意見もあった。議員さんの発言もあった。全体としてどうなっているかは把握できていない。
1月11日厚労部門会議があり、その内容が取り上げられていた。一部改正という内容だった。そのこと自体が改正ですますということにはつながらないのではないかとも思うが、厚労省の議論内容がわからないので何ともいえない。
藤井/情報不十分。政府案が出ていない。だが政府案が出た後では遅すぎる。
推進会議は責任をもって総合福祉部会の骨格提言を大臣に提出した。総合福祉部会の開催を厚労省に提案している。歯切れ悪いが。
以上
(メモ文責オガワ)