大規模災害等緊急事態における通信確保の在り方-最終取りまとめの公表-
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban02_02000043.html
総務省は、平成23年4月から「大規模災害等緊急事態における通信確保の在り方に関する検討会」を開催し、緊急事態における通信手段の確保の在り方について検討してきました。
平成23年12月27日開催の第8回会合において、「大規模災害等緊急事態における通信確保の在り方」についての最終取りまとめを行いましたので公表します。

■最終とりまとめより(※オガワ抜粋)
●今回の震災では、利用者からの音声の発信が急増し輻輳状態が発生(NTTドコモでは、通常時の約50~60倍のトラフィックが発生)したため、固定電話では最大80%~90%、携帯電話では最大70%~95%の規制が実施された。
●固定電話(NTT東日本)の通信規制は、比較的短時間で解除されたものの、携帯電話の通信規制は、断続的に数日間にわたり実施された。
●他方、携帯電話におけるメールなどのパケット通信では、通信規制が行われなかったか、又は通信規制を実施した事業者(NTTドコモ)であっても、その割合は最大30%かつ一時的であり、音声通話に比べて繋がりやすい状況にあった。
●携帯事業者によっては、音声通話とパケット通信を独立して制御するなど、災害時等におけるパケット通信の疎通を向上できる機能を導入している。今回の震災においても、各事業者において、この機能が活かされ、最大95%程度の発信規制がなされた音声通話と比べると、メール等パケット通信の方が疎通しやすい結果となった。
●ただし、送信したメールの到達時間に着目すると、メールサーバの輻輳により、通常よりも時間を要する結果となった。

●メールの場合、送信者は、受信者にいつ到達したかが分からず、その著しい遅延は、通信手段としてのメールの有効性を失わせるおそれがある。
→メールの遅延、以前あったPHSのダイレクト機能が使えればなあと思います。

輻輳時に携帯のメールに比べ、ツイッターによるダイレクトメッセージが有効だったという話もありますが。
基礎となるトラフィックの量を大きくするなど、どんな通信も障害なく使えるにこしたことはないです。

●この点、現在、緊急地震速報以外の緊急速報メールを提供可能であるのは、NTTドコモのみであるが、KDDI、ソフトバンクともに、2012年春の導入を予定しているため、提供事業者数の増加が見込まれるところである。
→エリアメール(ドコモ)のことらしいですね。視覚情報なので、聴覚障害者にも有効ではないかと期待されるところです。

●総務省では平成23年度第3次補正予算及び平成24年度予算案において「被災地域情報化推進事業」に取り組むこととしており、これにより住民に提供すべき情報が携帯電話やコミュニティFM、緊急速報メール等の多様な情報通信手段を通じて、一括して地域住民に確実に伝達されるような防災情報伝達システムを確立することとしている。
→(津波警報のような)提供内容の多様化、大いに期待されます。

(4)高齢者等向けの簡易端末など情報リテラシーやアクセシビリティに配慮した情報提供の在り方
→聴覚障害者向けの対応がおざなりになっているように思えてなりません。この分野、大きな進展がないままだと思います。電話リレーサービスの実施も不十分ですし。

●行政機関等による情報提供については、上述のように個別に提供されており、これら行政機関等による情報提供に基づきポータルサイト等の運営事業者が提供する情報も様々であった。インターネットサイト上で震災関係の情報が広範かつ速やかに提供されるよう、ポータルサイト等の運営事業者間で情報共有が行われることが望ましい。併せて、行政機関等として最低限集約・提供すべき情報の項目を整理するなど情報集約の在り方について検討することが必要である。
→聴覚障害者など、障害者向けにどのように提供すればよいのか、といえばやはり当事者を通したネットワークが必要になると思います。行政と共に構築する、そのための相談をすることが必要でしょう。

■別紙4 最終取りまとめ(案)に対する意見及びこれに対する総務省の考え方
意見3
②救命・救急、避難活動におけるICT を活用したシームレスな情報伝達体制の検討
今回の震災は被害がきわめて甚大でかつ広範囲にわたり、テレビ、ラジオ、携帯電話をはじめ、各種の情報機器・ツールは、避難を促進して人命を救出し、被害の拡大を防止するのに十分効果的だったとは言い難いと思われます。
iSPP 情報行動調査では、津波を受けた沿岸部で、特定の情報源を挙げて避難に役立ったとした回答は、計7件、1%にも満たない少数に過ぎませんでした(ラジオ:6件、防災無線:2件、ワンセグ放送:1件、複数回答あり、母数:786件)。反面、以下に代表されるように、避難に役に立つ情報がなかったといった回答が圧倒的に数多くありました。
「ラジオの情報が最初あまり大きな津波ではないようなことを言っていた。そのために避難が遅れた。田舎なので地元NHK放送しか受信できなくてそれを信じるしかなかった」(岩手県山田町)(以下略)(情報支援プロボノ・プラットフォーム)

意見16 障害者の命を守る観点を考慮してインターネット内の動画利用を抑制しないよう配慮すべき。((財)全日本ろうあ連盟)

意見17
災害用に特化して用意された伝言サービスは、全体の合計でも4.9%と5%以下だったのに対して、グーグルのパーソンファインダーをはじめ、ミクシィ、ヤフー、ツイッターなどの合計は12.4%と、倍以上の値であった。
利用者がふだんから馴染んでいないサービスは、非常時に利用することは難しい。ふだんから使い慣れているもののほうが、使いやすさなどの点で優れていると考えられる。(情報支援プロボノ・プラットフォーム)

意見22 情報提供にあたっては、手話放送、字幕、手話通訳ワイプ等の配慮を行っていただきたい。また、避難所には公衆FAX等の配備も必要。((財)全日本ろうあ連盟)
(意見45と重複)

意見36 災害弱者に対する情報提供・通信の配慮に関する円滑な対応を進めるため、厚生労働省とも連携を図るべき。((財)全日本ろうあ連盟)

意見47 情報リテラシーに加え、「アクセシビリティ」を明文化すべき。((財)全日本ろうあ連盟)
(サイトから引用)
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聴覚障害者の災害時情報アクセスを考慮する上でも、大変参考になる基礎データです。
「最終取りまとめ(案)に対する意見」に対して、(財)全日本ろうあ連盟からもコメントが出されています。これ、オガワも出そう出そうと思いながら、課題山積、できずじまいでした。

引用の個々の項目に
→ で入れたのはオガワコメントです。