【文科省】震災下の聴覚障害学生を支えた支援システム
12月8日(木)文部科学省「情報ひろば ラウンジ」
震災下の聴覚障害学生を支えた支援システム
標記、オガワの仕事の図書館関係でも活用できないかと考え、参加してきました。
当日の情報保障。iPadによる入力支援と手話通訳の方法でした。

筑波技術大学/村上芳則学長あいさつより
国立大学法人、筑波技術大学(以下技大)は国内唯一の、視覚または聴覚に障害がある学生を対象とした、わが国唯一の高等教育機関。
中でも修士課程で視覚、聴覚障害学生だけを受け入れる大学は、本学が世界で初めて。
今年4月からは中学・高校の教職課程も設置している。
白澤/日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク、PEPNet-Japan(ペプネット・ジャパン)の事務局。技大だけでも200人を超える聞こえない学生が在学、その他の大学にも聴覚障害の学生がいる。
http://www.pepnet-j.com/
1)震災発生!そのとき聴覚障害学生は…?
3/11の東北大震災で、仙台周辺の大学は直接津波の被害こそ受けてはいないものの、山間部でも揺れの被害甚大、聞こえない学生にも影響があった。
宮城教育大学には、自らが聴覚障害を持つ松崎先生の研究室がある。倒れたロッカーが道をふさぎ、避難もままならない状況。大学では自宅が倒壊したり、学生の安否確認など緊急対応の必要もあり、寝泊まりした教職員、学生もいた。
聴覚障害学生は無事だったが、支援にあたっていた学生が一人亡くなったと聞いている。
3/14の宮城教育大学内の様子。帰宅混乱や学生の安否確認などのため泊まり込みしている。

3/11、被災直後にPEPNet-Japanから松崎先生に連絡、夕方に先生と連絡がとれた。
県下の聴覚障害学生が心配なので情報サポート協力を、と要請があった。
4日後の15日には把握している学生21人がみんな無事だと確認できた。
PEPNet-Japan内の大学からは、支援できることがあればと申し出あったが、現地の大学では、「今はボランティアを受け入れできない」、「この状況で授業が再開した時に学生の情報保障サポートができるか心配だ」と言われた。
普通の講義ではノートテイク、パソコンテイク、手話通訳のサポートをしている。
震災の後、大学の講義が5月から始まったが、ボランティア学生が見つかる見とおしが立たなかった。そこで各大学で担えないコマをPEPNet-Japanでサポートすることを申し出て、3/31にはPEPNet-Japanで東北地区の聴覚障害学生のいる大学を支援していくことを決めた。
2)東北地区大学支援プロジェクトの概要
モバイル型遠隔情報保障システムは、スマートフォンと、Bluetoothのマイクを活用したカンタンなもの。
宮城教育大学9人、東北福祉大6名、東北生活文化大学1、宮城学院女子大学1名の計17名が支援利用。
支援開始にあたり、各大学で支援技術講習会を実施。
支援した授業は、のべ262コマ、支援学生の実数86名、のべ627名になった。
実際の支援の様子(利用者側)

実際の支援の様子(入力者側)

聴覚障害学生の多くは地域の聴覚障害団体とつながっていない。そのためせっかくある聴覚障害関係情報にアクセスできない学生も多い。そういう情報も大学から伝える体制が必要。
平常時の大学における支援でも、情報支援が必要な学生の人数と支援者の人数にアンバランスがある。学生が卒業し、学内で養成した支援体制が宝の持ち腐れになることも。ネットで共有すれば、不均衡を解消できる面もある。
3)モバイル型遠隔情報保障システムの概要
従来のシステムは準備に30分以上必要だった。このシステムは10分程度ですみ、中学生の子どもでも準備可能。
運用の問題、特に携帯電話の利用料金については、従量制だと問題が大きい。しかし今回のシステムのように、ネット接続定額サービスを利用すれば無制限に使用できて安心。
今回は携帯電話端末についても、ソフトバンク社の支援あり、無料だった。
システムはスマートフォンと、LogitecのBluetooth(ブルートゥース)マイク、それから字幕配信用のフリーソフト「ITBC2」を活用したカンタンなもの。
マルチタスク機能を活用し、スマホ1台に集約した。
LogitecのBluetoothマイク。iPhoneとペアリングすることで使える。講義の間ずっとつけたままにする。
マイクの音声をiPhone経由で入力者側に送る。
入力された文字をネット経由で、iPhoneに送り返し、文字表示する、というもの。

IP出力は大学のグローバルIPだと同時に50回線、使用できる。
ドコモやソフトバンクの回線を利用したデータカードからつなぐときは、5回線が限度か。
【質疑】
Tさん(明晴学園関係)/聴者の高校に入るろう学生の支援のために、システムを立ちあげることはできるか。当初全国の大学から支援を受け、連携していける可能性はあるのか。
白澤/立ちあげ支援ができるかについては、どこまでできるかわからない。聞こえない学生がいる大学で、ノートテイカー養成を行っている大学は約半分。大学の支援もまだまだ問題が大きいので、高校までサポートできるかは不明。大学で育った人材を高校での支援に活用していくことは可能かも。ただ謝金はどこが工面するか。学校か教育委員会か。皆さんのお知恵も拝借できれば。支援者の確保の問題はどこも大きい。足りない大学がたくさんある一方で、聴覚障害学生が卒業した大学では余っているケースも。
Tさん/テレワークという方法は可能か。
三好/可能といえば可能。しかし、(システムが複雑で)一般の情報保障者には不可能なレベル。
最初の質問、高校などの学生に支援できるかについて。愛知県下の大学で実際に一部実施した例がある。学内は謝金を払っているが、学外には謝金の問題があり、どうしようか悩んでいるとのことだった。
Mさん/既存の手話通訳組織、要約筆記組織との連携はあるか。歌舞伎でも使えるか。
白澤/全国の手話通訳組織、要約筆記組織との連携は模索中。
三好/システムがあれば歌舞伎でも使える。ただ、歌舞伎の舞台から、携帯電話を使っているとにらまれることがある。鼓方の方ににらまれたことがあった。理解があれば使えると思う。ただし文字では感情までは伝えられない等の限界がある。
【使用感想】
技大のスタッフによる手話通訳とiPadによる文字入力支援があった。
iPhone(iPod)とiPadを見ることができた。以下、オガワ比較。
・iPhone(iPod)よりも、離して使うiPadの方が、講師や手話通訳も目に入るので理解しやすく状況がわかりやすい。但し試したときは文字が小さかったので、もっと大きく設定できるとよいのではないかと思った。(→その後白澤さんから、文字の大きさは送信側で変更可能ですというご指摘いただきました)
・文字を小さくすることで、iPad上で20数行表示できていた。前後の文字を読み返すことができるのは、学生には大きなメリットだ。
・既知の内容であれば、文字は要約筆記システムのような、ある程度大きい方が見る側に負担が少なくてよい。
・iPadと全体投影(OHPやプロジェクター等)と比較すると、視線移動が少ない分、全体投影システムの方が見るのが楽、頭に入りやすいと感じる。
・メモをとるにはiPadの方が楽だった。視線移動が少ないからだろう。
・オガワは全体の雰囲気をつかみたいときは手話通訳。内容を詳細に知りたい、頭に入れたい、読み返したい、メモしたいときiPadを使っていたと思う。
以上
(メモ文責オガワ)
ピンぼけですが、手前がiPod。長時間持つのはちょっと大変かもです。台に置いて使いたいですね。→これも白澤さんからご指摘あり、「本学で使用するときには、スタンドに立てて使っています」とのことでした。

12月8日(木)文部科学省「情報ひろば ラウンジ」
震災下の聴覚障害学生を支えた支援システム
標記、オガワの仕事の図書館関係でも活用できないかと考え、参加してきました。
当日の情報保障。iPadによる入力支援と手話通訳の方法でした。

筑波技術大学/村上芳則学長あいさつより
国立大学法人、筑波技術大学(以下技大)は国内唯一の、視覚または聴覚に障害がある学生を対象とした、わが国唯一の高等教育機関。
中でも修士課程で視覚、聴覚障害学生だけを受け入れる大学は、本学が世界で初めて。
今年4月からは中学・高校の教職課程も設置している。
白澤/日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク、PEPNet-Japan(ペプネット・ジャパン)の事務局。技大だけでも200人を超える聞こえない学生が在学、その他の大学にも聴覚障害の学生がいる。
http://www.pepnet-j.com/
1)震災発生!そのとき聴覚障害学生は…?
3/11の東北大震災で、仙台周辺の大学は直接津波の被害こそ受けてはいないものの、山間部でも揺れの被害甚大、聞こえない学生にも影響があった。
宮城教育大学には、自らが聴覚障害を持つ松崎先生の研究室がある。倒れたロッカーが道をふさぎ、避難もままならない状況。大学では自宅が倒壊したり、学生の安否確認など緊急対応の必要もあり、寝泊まりした教職員、学生もいた。
聴覚障害学生は無事だったが、支援にあたっていた学生が一人亡くなったと聞いている。
3/14の宮城教育大学内の様子。帰宅混乱や学生の安否確認などのため泊まり込みしている。

3/11、被災直後にPEPNet-Japanから松崎先生に連絡、夕方に先生と連絡がとれた。
県下の聴覚障害学生が心配なので情報サポート協力を、と要請があった。
4日後の15日には把握している学生21人がみんな無事だと確認できた。
PEPNet-Japan内の大学からは、支援できることがあればと申し出あったが、現地の大学では、「今はボランティアを受け入れできない」、「この状況で授業が再開した時に学生の情報保障サポートができるか心配だ」と言われた。
普通の講義ではノートテイク、パソコンテイク、手話通訳のサポートをしている。
震災の後、大学の講義が5月から始まったが、ボランティア学生が見つかる見とおしが立たなかった。そこで各大学で担えないコマをPEPNet-Japanでサポートすることを申し出て、3/31にはPEPNet-Japanで東北地区の聴覚障害学生のいる大学を支援していくことを決めた。
2)東北地区大学支援プロジェクトの概要
モバイル型遠隔情報保障システムは、スマートフォンと、Bluetoothのマイクを活用したカンタンなもの。
宮城教育大学9人、東北福祉大6名、東北生活文化大学1、宮城学院女子大学1名の計17名が支援利用。
支援開始にあたり、各大学で支援技術講習会を実施。
支援した授業は、のべ262コマ、支援学生の実数86名、のべ627名になった。
実際の支援の様子(利用者側)

実際の支援の様子(入力者側)

聴覚障害学生の多くは地域の聴覚障害団体とつながっていない。そのためせっかくある聴覚障害関係情報にアクセスできない学生も多い。そういう情報も大学から伝える体制が必要。
平常時の大学における支援でも、情報支援が必要な学生の人数と支援者の人数にアンバランスがある。学生が卒業し、学内で養成した支援体制が宝の持ち腐れになることも。ネットで共有すれば、不均衡を解消できる面もある。
3)モバイル型遠隔情報保障システムの概要
従来のシステムは準備に30分以上必要だった。このシステムは10分程度ですみ、中学生の子どもでも準備可能。
運用の問題、特に携帯電話の利用料金については、従量制だと問題が大きい。しかし今回のシステムのように、ネット接続定額サービスを利用すれば無制限に使用できて安心。
今回は携帯電話端末についても、ソフトバンク社の支援あり、無料だった。
システムはスマートフォンと、LogitecのBluetooth(ブルートゥース)マイク、それから字幕配信用のフリーソフト「ITBC2」を活用したカンタンなもの。
マルチタスク機能を活用し、スマホ1台に集約した。
LogitecのBluetoothマイク。iPhoneとペアリングすることで使える。講義の間ずっとつけたままにする。
マイクの音声をiPhone経由で入力者側に送る。
入力された文字をネット経由で、iPhoneに送り返し、文字表示する、というもの。

IP出力は大学のグローバルIPだと同時に50回線、使用できる。
ドコモやソフトバンクの回線を利用したデータカードからつなぐときは、5回線が限度か。
【質疑】
Tさん(明晴学園関係)/聴者の高校に入るろう学生の支援のために、システムを立ちあげることはできるか。当初全国の大学から支援を受け、連携していける可能性はあるのか。
白澤/立ちあげ支援ができるかについては、どこまでできるかわからない。聞こえない学生がいる大学で、ノートテイカー養成を行っている大学は約半分。大学の支援もまだまだ問題が大きいので、高校までサポートできるかは不明。大学で育った人材を高校での支援に活用していくことは可能かも。ただ謝金はどこが工面するか。学校か教育委員会か。皆さんのお知恵も拝借できれば。支援者の確保の問題はどこも大きい。足りない大学がたくさんある一方で、聴覚障害学生が卒業した大学では余っているケースも。
Tさん/テレワークという方法は可能か。
三好/可能といえば可能。しかし、(システムが複雑で)一般の情報保障者には不可能なレベル。
最初の質問、高校などの学生に支援できるかについて。愛知県下の大学で実際に一部実施した例がある。学内は謝金を払っているが、学外には謝金の問題があり、どうしようか悩んでいるとのことだった。
Mさん/既存の手話通訳組織、要約筆記組織との連携はあるか。歌舞伎でも使えるか。
白澤/全国の手話通訳組織、要約筆記組織との連携は模索中。
三好/システムがあれば歌舞伎でも使える。ただ、歌舞伎の舞台から、携帯電話を使っているとにらまれることがある。鼓方の方ににらまれたことがあった。理解があれば使えると思う。ただし文字では感情までは伝えられない等の限界がある。
【使用感想】
技大のスタッフによる手話通訳とiPadによる文字入力支援があった。
iPhone(iPod)とiPadを見ることができた。以下、オガワ比較。
・iPhone(iPod)よりも、離して使うiPadの方が、講師や手話通訳も目に入るので理解しやすく状況がわかりやすい。但し試したときは文字が小さかったので、もっと大きく設定できるとよいのではないかと思った。(→その後白澤さんから、文字の大きさは送信側で変更可能ですというご指摘いただきました)
・文字を小さくすることで、iPad上で20数行表示できていた。前後の文字を読み返すことができるのは、学生には大きなメリットだ。
・既知の内容であれば、文字は要約筆記システムのような、ある程度大きい方が見る側に負担が少なくてよい。
・iPadと全体投影(OHPやプロジェクター等)と比較すると、視線移動が少ない分、全体投影システムの方が見るのが楽、頭に入りやすいと感じる。
・メモをとるにはiPadの方が楽だった。視線移動が少ないからだろう。
・オガワは全体の雰囲気をつかみたいときは手話通訳。内容を詳細に知りたい、頭に入れたい、読み返したい、メモしたいときiPadを使っていたと思う。
以上
(メモ文責オガワ)
ピンぼけですが、手前がiPod。長時間持つのはちょっと大変かもです。台に置いて使いたいですね。→これも白澤さんからご指摘あり、「本学で使用するときには、スタンドに立てて使っています」とのことでした。
