【確勝競馬~最終章】
『君は一度も勝負を仕掛けないのか?』
これはある日、外資系生命保険の営業マンに当方が悩みを打ち明けた時に頂いた言葉。
派手な人生を歩んでいて、金に困ったことはなさそうなこのエリート営業マン。
年収は恐らく当方の5倍以上。いわゆる人生の成功者だ。
しかし聞くところによると、彼もまた人生の分岐点が存在し、そこで悩んだと言う。
『今の成功は勝負を仕掛けた結果』
転職する前の企業は給料も非常に安定していたし、出世も同期に比べれば早かった。
だが安定の反面、刺激がなかったし、自分の人生が計算出来て予測可能なものになっていた。
彼ほどのエリートが、ただ仕事をこなし時間を浪費することに関して疑問を持たないわけがない。
向上心ある人間にとって、刺激のない日々はまさに拷問。
だが彼には家族もいるし、住宅ローンはまだ残っている。
その状況を捨てて、今の職に就くのは非常にリスクの高いものだと当時を述懐していた。
家族は反対したし、ご自身の両親も反対したという。
それでも彼は、現在の恵まれた状況を捨て勝負を仕掛けた。
自分の状況を変えるために、更なる高みを目指すために。
「将来、あの時勝負していればと後悔はしたくなかった。だから、勝負を仕掛けた。今、年収は以前の3倍になった。」
そう話した彼が見せてくれたのは、成功者の証、愛車「LEXUS LS」、そしてニューヨークのタイムズ・スクエアにある大きなビジョンに映し出された自分の顔の写真。
彼の営業成績が優秀だったために、広告として使用されたそうだ。
まさに成功者、外資系の企業で生き残りを賭けて闘っている人間はやはり違う。
『君はずっとこの鳥かごの中で囀り、勝負も仕掛けず生きていくのか?』
正直、ガーンと心に響いてしまった。
当方、彼がロジャー・ウォーターズに見えた。
“うんざりするような一日を 時はきざんでゆく
君は何も考えず 無思慮に時を浪費する
生まれた町から 抜け出そうともせず
道案内をしてくれる 誰かか何かを待っているだけ”
これは、Pink FloydのTimeという曲の歌詞。
当方はこの曲が大好きで、自分の状況、自分の心境そのままの歌詞に共感を覚えた。
彼らの最高傑作『Dark Side of the Moon』に収録された名曲。
当方は彼からこの名曲の歌詞をそのまま言われたようなもの。
心に響いた。
人生の先輩から含蓄のある言葉の数々を頂いた。
有言実行した者の説得力。成功者だけが持つ説得力。
『自分を信じて、勝負してみろ』
彼に言われたこの言葉は、悪戯に放った言葉ではない。
無責任に放った言葉でもない。
そう確信させる何かを、当方は感じ取った。
確勝競馬管理人ワカクサ、心を決めた。