『甘くは無い…』



当然の事だ。





尿検査(失礼)の結果糖質に問題は無いはずなのだから。


『熱いものは熱いうちに♪』


てきぱきとサンプル採取を負えて中待合に戻ると滝川クリステルばりに不自然な角度でこちらを見つめる『おかっぱ黒ぶち眼鏡萌え女医』こと小沼女史の潤んだ瞳と視線がぶつかり絡み合う。



『…判ってますよ…血液検査でしょ?』



小沼女史は無言でにっこりと微笑む。

一見カマトトが白衣を着て歩いている様なルックスであるが意外と目でもの言わすタイプなのかも知れない。いつの時代も女はミステリアス。そしていつでも漢(おとこ)はまだ見ぬ何かに惹かれ続ける。



名残惜しみつつ勝手知ったる何とやらで速やかに血液採取に赴く。

担当するのはお馴染みのベテラン看護婦。誰に似ていると言われれば『女朝青龍』(失礼)であろうか。あ、国籍は日本らしです。




『…チェンジ』




無意識に呟くが幸にして当の本人には聞こえなかった様で…いや、あの細い目からは何も窺い知る事罷り成らず。とり敢えず命拾い♪


『ちゃんと禁酒してた?』


大きなお世話である。きっと自分は夜勤明けに缶酎ハイでもぐびぐび呑んでいるに違いない。神様は不公平…いや、寧ろ公平なのかもしれませんね。うん。


室内が乾燥しているのだろうか…ベテラン看護婦こと女横綱(ん?)むくんだ丸顔に細い目で舌なめずりするのだけは止めて頂きたいものである。赤い唇が妙に蛇を…ツチノコを…寧ろヤマタノオロチを連想させる。怖いから止めて下さい。本当に。

役者が揃いいよいよ戦いの火ぶたが切られる。いざ決戦の時は来たり…



乱暴に腕をとられマジックテープできつく縛り上げるられる。


『痛く無い♪?』


ここで痛いと言おうものなら彼女を喜ばせて仕舞うは必至。


『ちょうどいいです♪』


気持ちで負ければ相手は女横綱(失礼)…立ち合いは一瞬で決まり敗北を喫す事だろう。

縛り上げられた腕を台の上で強引に伸ばされるサブミッション(関節技)…プライドルールであれば正に秒殺されている所である。



『はい♪結んでぇ~開いてぇ~♪』



不自然なまでの前のめり、明らかな前屈姿勢のヤマタノオロチ(女横綱/失礼)の前で、結べこそすれ頑(かたく)なに開く事が出来無い、哀れ漢(おとこ)の拳(こぶし)…



(『…開いたら触れて仕舞う!!』)


危うく一呑みにされる所であった。必殺のその時まで決して瓶(かめ)から出てはならないのである。相手は人では無いのだから。



『血管はどこかなぁ~♪』

『!!!』


私の血管が浮き出ないのを良い事に女横綱(失礼)が腕を丹念に摩(さす)り始めた。

次第に摩り方は激しくエスカレーション&エモーション♪


『えいっ(打撃)♪こいつめっ(連打)♪』


本来の目的を忘れパチパチと嬉しそうわたくしの腕を打ち据える女横綱(失礼)…この目に余る惨劇に漢(おとこ)はうち震えただ耐えるのみであった。




…以下、筆舌につくし難い血や暴力シーンが続く為、フィルタリングを考慮し断腸の思いで割愛させて頂きます(涙)…





…時は流れ

勝者無き死闘をくぐり抜け帰還した漢(おとこ)を女(おんな)小沼女史が慈愛に満ちた眼差しで見つめている。


『…肝臓の数値に改善が見られます。良かったですね☆』

おかっぱに輝く天使の輪…黒ぶち眼鏡萌えの天使を此処に見つけたり。


今にも『ちゃん♪リン♪シャン♪』と聞こえてきそうである。


『でも油断したらダメ。食事とお酒は気をつけて下さいね☆』


『わんっ♪…は、はいっっ♪』


天国のアッサムもきっと短い尻尾をフリフリ喜んでくれているに違いない。


『来月○日の火曜日に…私の担当の時にまた来て下さいね☆』

衣服を不必要な段階まで下ろし、女横綱(失礼)とは打って変わった甘美な触診の後、小沼女史と熱い誓いを交わして診察室を後にする。病魔が去り、愛が訪れた瞬間…


漢(おとこ)は旅立ち女(おんな)は誓いを胸に帰りを待つ


それは、いつの時代も変わらぬ幾万も幾億も繰り返される『ア・イ・シ・テ・ル♪』のカタチであった。





会計待合に到着した私に惜しみ無くそそがれる祝福と羨望の眼差し…

小学生低学年男子もアッサム似の母親も

空気の読めない美人受付嬢も

あの労災○゙バァ(失礼)でさえ

院内の全ての人が私の快復を祝福しているに違いない。



(『アーメン…そしてハレルヤ…』)



『全ての人々に(マクロな立ち位置から)許しと幸福を心から願い祈る』そんな心境であった。


幸せの絶頂…


『お先に失礼♪おれ、健康だから♪』


…病んだり患ったりしている皆さんには本当に申し訳ないが皆の視線が私に集中しているのが何より羨望と嫉妬の証(あかし)♪











私の『スラックス中央に位置するジッパー…所謂チャックがフル・モンティ(全開)である』事に気が付くのはまだまだずっと先の事でございます。




『今度は頭も診て貰おうっと♪』


馬鹿と恋には薬は効かぬ


…内科医は頭も診られるのでございましょうか♪(^^ゞ











再び舞い戻った漢(おとこ)が見たのは想像を絶する光景…



『神よ…こんな行いが許されるのですかっ!!!』



次回『子連れ徒然☆妄想戦記~病院へ憩う/スピンオフ~』に迄うご期待でございます(^^ゞ
『最初に言っておく…病院は戦場だ』。



再検査の為に某C県N市にある総合病院へ舞い戻る。


『肝臓の数値がよろしく無い』


真剣に闘病なされているブロガー諸氏の皆様には申し訳無いがこの程度の事由である。


『おかっぱ黒ぶち眼鏡萌えの方には堪らない感じの微妙にオ○ク(失礼)っぽい女医』に『一月後の火曜日の午前中にまた来てね☆』と誘われその間『禁酒』『食事制限』『運動と休息』無理難題を申し付けられ…


『わしゃヘラクレスオオカブトかっっ!』とC難度のノリツッ込みを決めてみる。

その後の涙ぐましいまでの節制と生活改善により男は漢(おとこ)に生まれ変わったのだった。


そして時は流れ…

七つの試練と数々の誘惑を乗り越えた一人の漢(おとこ)が病院(戦場)に舞い降りた。

前回は有料駐車場の料金を気にするあまり『そわそわもじもじ』していたものだが今日は電車・バスを乗り継ぐ完璧な段取り。もーノー・プロブレムである。初陣(初診)での苦い経験値が漢に賢者の如き英知を授けたに違いない。


漢(おとこ)は革靴の踵を鳴らし院内に踏み込むと『常連です♪』とイワン・バカリノフに自動受付機に不惑直行する。

約1分で再診受付を済ませると隣の初診受付カウンターから『社名を聞くだけで必ず労災扱いにしてくる』通称『労災バ○゙ァ(失礼)』が口惜しそうにこちらを睨んで来た。

『昨日の敵は今日の朋(とも)』

釈迦の如き無限の慈愛で微笑み返す。今日はこんなザコ妖○に用は無い。


意気揚々と待合へ赴(おもむ)こうとした刹那

『顔は可愛らしいが空気の読めない受付嬢』に保険証の提示を求められた上『内科は奥の…』と余計な説明をされかかったものの即座に『3番待合…ですよね☆』と極々爽やかに切り返す。



(『…優良患者♪(ハート)』)



語句的に矛盾を孕んだそんな彼女の声無き声が今にも聞こえてきそうである。


廊下奥を突き当たり3番待合に到着し『どーも♪』と看護婦に挨拶してから悠々とソファに腰を降ろす。


『(眼鏡女医の)小沼先生居る?』

たった一言で周囲の視線が私に集まる。



(一同:『こ、こいつ…ニュー・タイプ!?』)



(N:『突貫工事はモロッコへ♪』)



それはニュー・ハーフであろうとセルフノリ・ツッ込みを決め周囲を一瞥。

隣の小学生低学年の男子に至っては明らかに畏敬の眼差しで鼻水ばかりか涎(よだれ)まで垂らして私をガン見したまま凝固している。



『オ○ッコ漏らすなよっ♪(爽笑)』



男子の隣に座るヨークシャーテリア似の母親を警戒して喉まで出かかった言葉を飲み込む。


不覚にも独身時代に同じアパートの独り住まいの女子大生(20歳・秋田市出身)が飼っていた愛犬『アッサム(2歳・雌)』を二人で看取った事を思い出す…



(『有難うアッサム…君のお蔭様だ』)


何がお蔭様だったか今となっては知るよしも無いが胸にひしひしと迫るる万感の想いと甘酸っぱい記憶の中で暫しの間アッサムと飼い主の諸々を反芻しながら時が移るに身を任せる。



看護婦:『Nさ~ん』


N:『わんっ!…は、はいっっ!』


隣の小学生男子に『男の生き様』の何たるかを見せるべく威風堂々と立ち上がる。


アッサム(似の母親)と小学生男子に一瞥で別れを告げて漢(おとこ)はさらなる戦場へ…




看護婦:『Nさ~ん、尿(にょう)採って来てね♪』


N:(『…!!』)



風雲急を告げる新たな展開に波瀾万丈必至!何故?何故に尿!?


次回『子連れ徒然妄想戦記☆病院へ憩う3~決戦ホスピタル~』に続くでございます。



『最後に言っておく…病院は戦場だ』(^^ゞ-☆