ジュエリー物語というテーマで3回目のエッセイです。





リングを最初に取り上げたのはデトロワのリングのことがあるからで、

リングの起源は印章ということを書きました。





その中でお目にかかった、スカラベとは何か。

整理するのに時間が必要だったのは、スカラベに2つの意味を見つけたからです。







まず1つ目、スカラベは昆虫の名前。

専門的な分類は横において「フンコロガシ」という名称で考えると、想像し易いかと思います。






昆虫に詳しくない方も、クワガタとかカブトムシならご存知ですよね?

あのような感じの昆虫が、フンを丸く転がしている姿を想像してみてください。







丸くなったフンを従えた、その姿はまるで太陽を手中におさめたかのよう

……と、考えたらしいのです。

紀元前4000?~3000頃のエジプトでは。






太陽を神と崇めたエジプトでは、

スカラベの姿を太陽を操る神に通じるものと考えたようです。

そうした理由からでしょうか、

スカラベの形を、例えばアメジストに彫り、リングにしたものが残っています。







では、2つ目のスカラベの意味はというと、

「スカラベ型のリング」という形のことです。






スカラベの形に掘られた石、またはそうでなくても、

石の穴にリング部分を通し、その石がクルクル回る形を想像してみてください。






スカラベ型リングのイラストや写真を見ていたら、

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私の頭の中では、デトロワのリングと重なったのです。






これが、スカラベと エジプトと デトロワの、私の中でのつながりでした。

デトロワのリングのデザインについて、清水先生に伺ったときの言葉を思い出しました。





「できるだけシンプルにと思って、たどりついた形」と。

確か、そんな風に表現してくださったように記憶しています。






紀元前3000のエジプトのスカラベ(型)リングにデトロワを見る。

新年のスタートに、身勝手ながら楽しい発見をした気分になりました~






そして、さらにリングの歴史を紐解いていくと、

紀元4世紀には、回転する石の一部にスカラベ、別の部分に封ろう(封印のために蝋で印をつけること)の印を掘ったリングがありました。

これは、まさに「印章」としての指輪であり、

リングの起源のもう1つの意味「護符」としての役割も兼ね備えているといえるのではないでしょうか。






きょうはこの辺で。つづく。

参考文献
『指輪の文化史』(浜本隆志著)白水社
『指輪88』淡交社

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