藤原洋のコラム -30ページ目

~注目を集めたイスラエルのコロナテック企業群~

 

 去る6月12日、総務省所管の国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が主催する『NICT特別オープンシンポジウム"アフターコロナ社会のかたち"』がZoomを用いたオンラインで開催されました。本セッションでは、図1に示すように、新型コロナウイルスによる感染症拡大と収束のフェーズを区分し、私は、3つのセッション(Inコロナ、Postコロナ、Afterコロナ)のうち、セッション1(Inコロナ)にパネリストとして参加させて頂きました。

https://www2.nict.go.jp/publicity/open-symposium/

 

 セッション1では、私の他に医療機関から冨澤登志子氏(弘前大学大学院保健学研究科 看護学領域教授)、黒田知宏氏(京都大学医学部附属病院医療情報企画部教授)、井上大介氏(NICTサイバーセキュリティ研究所  サイバーセキュリティ研究室室長)、鳥澤健太郎氏(NICTデータ駆動知能システム研究センターセンター長)が参加され5名でパネルディスカッションを行いました。

 

図1.NICT特別オープンシンポジウムでの各セッションの検討範囲

 

 このセッションで私が主張したことは、ICT(情報通信技術)、特にインターネットを用いた「新型コロナウイルス院内感染防止システムの開発」の必要性です。その中で、私からは、必要となる様々な要素技術、システム技術、開発手法、国際連携の重要性について述べさせて頂きました。

 本シンポジウムの議論の詳細については、NICTから公開される予定ですので、ここでは、詳しく述べませんが、今回は、そこで注目を集めた「イスラエルのコロナテック企業群」について、ご紹介させて頂きたいと思います。

 

 私は、長年にわたって、イスラエルに注目し、連携を深めてきました。その理由は、私の信念である「科学技術立国」を標榜しているからです。イスラエルは、建国以来70年以上に及ぶその政策の結果、研究開発投資(対GDP比)、科学者・技術者の割合(人口比)、人口1人当たりの大学学位数、学術論文出版数は世界トップに位置するまでに発展しています。

 

 さて、世界各国に大変な災禍をもたらした新型コロナウイルスCOVID-19の対策においても、持ち前の科学技術力によって、早期に封じ込めに成功し、未知なるウイルスに対する重症患者の治療法、ワクチン開発、感染症拡大防止システムの開発などに大きな成果をあげています。図2に新型コロナウイルスCOVID-19の院内感染防止システムのイメージを示します。本図にあるように病院内での入院患者から医療従事者への感染を防止するためにコンタクトフリーを実現するEarlySense社の開発した入院患者のリアルタイム病状監視システムを紹介しました。また、病院外の感染者の病状監視と診療を行うTytoCare社の遠隔診療キットと遠隔診療システムを紹介しました。

 

図2.新型コロナウイルスCOVID-19の院内感染防止システムのイメージ

 

 また、当社の連結子会社であるグローバルIoTテクノロジーベンチャーズ)株式会社(GiTV社)のベンチャーキャピタルファンドが創業期から出資しているBinah(ビナー)社は、センシングとAI技術を用いた企業向けアプリの開発に成功しました。ビナーの技術によって、従業員のスマホから非接触かつリアルタイムに心拍数・メンタルストレス等のバイタルサインを確認することでビジネス上のリスクを抑えることが可能です。ビナーのスマートフォンアプリは、信号処理とAIを融合させる独自の数学的アルゴリズムと組み合わせた新しいテクノロジーを利用しており、内カメラで顔の頬上部のビデオデータを取得するか、あるいは外カメラに指を置く事によって得られるデータを使用し、2分以内に医療機器、医療機器レベルの精度でバイタルサインを確認することができます。こうして、ビナーの技術を用いることで、企業は、感染リスクを大幅に減らすことができるとされ、欧米での本格的な普及が始まっています。


 この他にも、BATM社は、30分以内に唾液サンプルからコロナウイルスを検出する診断キットを開発しました。Soapy社は、すでに多くの国で使用されている自動手洗い機に抗ウイルスハンドソープを組み込むことに成功しました。Sonovia社は、コロナウイルスを防御するだけでなく除去もでき、病院の布カバーや抗がん剤治療患者の衣服やフェイスマスクに使われる繊維の開発に成功しました。


 以上に紹介した新型コロナウイルスによる感染症に対するテクノロジー企業群は、70社以上にのぼり、図3に示すように「コロナテック・カンパニー」と呼ばれ世界からの熱い視線を集めています。当社グループとしてもInコロナからWithコロナ、そしてPostコロナ、Afterコロナ時代へ向けて、GiTV社からの投資事業を皮切りにイスラエル企業との連携を深めていきたいと考えております。
 

図3.イスラエルのコロナテック企業群

 

2020年6月24日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋