~ケーブルテレビ業界DX(デジタルトランスフォーメーション)推進企業として始動~
2021年7月21日、株式会社ブロードバンドタワー(以下、BBTower)の連結子会社であり、私が代表を務めるジャパンケーブルキャスト株式会社(以下、JCC)は、顧客向けセミナーを初めてWebで開催しました。この日は、同社にとって、また、日本のケーブルテレビ業界にとっても記念すべき日となりました。
というのは、日本ケーブルテレビ連盟が、今後のケーブルテレビ業界の2030年を展望した「2030ケーブルビジョン」を去る6月30日に発表したことに起因します。本ビジョンは、同連盟理事長の渡辺克也氏(元総務審議官)による強力なリーダーシップの下、ケーブルテレビ業界の経営者を代表するメンバーを中心に、三菱総合研究所、それに私も含めて10名の有識者支援メンバー(内閣官房デジタル庁担当、千葉市、会津若松市、NHK、KDDI、電通、DeNA、ケーブルラボ、インフォシティ、BBTowerの代表)が支援して作成されたものです。
既存事業としての放送事業を守りつつも、成長を続けるインターネット関連事業、ローカル5Gなどの無線通信事業、さらには地域DX事業などを伸長させて、2020年時点で約1.3兆円のケーブルテレビ業界(放送、通信、その他事業)市場を2030年に1.7兆円市場に成長させるというビジョンです。
https://www.catv-jcta.jp/jcta_news/detail/2005
7月21日のプログラムは、以下のメンバーによって、1時間という凝縮した時間で実行されました。
13:00~13:30 JCC代表取締役会長兼社長CEO 藤原洋
講演タイトル『2030ケーブルビジョン実現へ向けてのJCCの役割』
13:30~13:35 JCC取締役 営業本部長 樋山洋介
13:35~13:40 JCC執行役員 営業本部 イノベーションセンター 今井厚
13:40~13:45 JCC取締役 技術本部長 加藤典彦
13:45~13:50 JCC取締役 COO 大熊茂隆
13:50~14:00 質疑応答 登壇者
以下に、私の講演概要と質疑応答の概要についてご説明したいと思います。
●藤原洋『2030ケーブルビジョン実現へ向けてのJCCの役割』の講演概要
1.ケーブルビジョン策定にあたって
本2030ケーブルビジョンの出発点は、背景に「危機感」がありました。それは、株主資本主義が徹底している米国は「革新の国」らしく、Netflix、Amazon Prime等のOTT(Over The Top、インターネットを介した動画配信、音声通話、SNS等を提供するサービス)が台頭したことによるケーブルテレビ放送事業の価値低下が起こっていることに起因しています。日本は、「伝統の国」らしく、テレビを観る生活習慣や放送業界規制などに守られて、放送業界の地盤沈下は、現在までのところ、米国ほどの状況には至っていません。しかしながら、まず最初に、何もせずに放置しておくと、最悪シナリオとして、既存事業は40%減少するという仮説を立ててみました。この10年後の最悪の事態を回避し成長シナリオを描いたのが、ケーブルテレビ業界総力を結集した世界に誇る「伝統と革新の国」日本としての「2030ケーブルビジョン」であると位置づけられます。
〇「我が国が直面している状況」に対するJCC/BBTowerの役割
いくつか提示された社会課題の中で、当社グループは、グローバル経済における日本の地位の低下、テレワーク・ワーケーションなど新しい働き方の普及、政府におけるデジタル化に向けた取組の本格化という3つの課題解決のために、「地方でのスーパーテレワーク産業と地域DX産業創出」に取り組むということを表明しました。
2.「2030年の社会」に対するJCC/BBTowerの役割
いくつか提示された課題の中で、暮らしの変化、東京一極集中緩和の2点について、解決のために「地方でのスーパーテレワーク産業と地域DX産業創出」に取り組むことを再確認しました。
〇「2030年生活が変わる」に対するJCC/BBTowerの役割
いくつか提示された課題の中で、行政手続きのデジタル化、医療のデジタル化、教育のデジタル化の3つについて、「地域DX産業創出」のための「地域DXセンター構築支援事業」を行うことを表明しました。
〇「2030年テクノロジーが変わる」に対するJCC/BBTowerの役割
いくつか提示された変化の中で、Beyond5G/6G、DX、高齢者向けイノベーションの3つに着眼し、当社グループは、CATV局が運営する新世代無線基地局に隣接するエッジデータセンターをCATV局舎内等に設置し、これまで培った北海道の自治体向けIP告知サービス等(図1参照)を展開し、地域DX産業創出に貢献したいと述べました。
図1.北海道で始動したJCCのIP告知サービス – 約8千世帯 1万台(導入済み5町村)
3.今後のトレンド
〇放送ビジネス
いくつかのほぼ確実に起こることの中から、OTT配信事業の拡大、ケーブル事業における「放送ビジネス」の相対的な価値低下の2つに着目しました。また、いくつかの想定シナリオの中から、県域放送、地域メディアの再定義、主要各地で様々な形態の共通配信PFが登場、安価なデバイス(ドングルなど)の提供、地上放送の⾼度化(4K化)対応の4つに着眼しました。これらを実現するために、ケーブル業界の新放送市場地域メディア再定義支援を行う、地域メディアセンター構築支援事業を行うことを表明しました。
〇通信ビジネス
いくつかのほぼ確実に起こることの中から、有線・無線市場の融合、地域BWAの5G NR化の進展、有線・無線の通信トラヒックの激増、ウェアラブル端末やIoTの本格的な普及の4つに着目しました。また、いくつかの想定シナリオの中から、ローカル5Gのエリア免許制、地域IX・MECの整備、ケーブルテレビネットワークの仮想化・スライシング化の3つに着眼しました。これらを実現するために、ケーブル業界の新通信システム(ローカル5G)の構築支援事業を行うことを表明しました。
〇地域コンテンツ
いくつかのほぼ確実に起こることの中から、コロナ禍でモバイルネット利用はいっそう進展、メディアを含むあらゆる企業が最適な顧客接点を模索、地方との関わり方が多様化の3つに着眼しました。また、いくつかの想定シナリオの中から、⾼齢者や障がい者対応としてコミch(コミュニティチャンネル)も含む ローカル放送の字幕化要請の強化、XR等オンライン空間でのコンテンツ利用の拡大、個人バイタルデータ等のコンテンツ化・メディア化の3つに着目しました。これらを実現するために、ケーブル業界の地域コンテンツ制作・配信支援事業を行うことを表明しました。
〇新たな事業(地域ビジネス)
いくつかのほぼ確実に起こることの中から、地域力向上・魅力創造など地域間競争の激化、地域のマーケットをいかに維持するかが至上命題へ、地域DXが一気に進む、IT人材のさらなる不足の4つに着目しました。また、いくつかの想定シナリオの中から、マイナンバー等を活用したコスト効率の高い官民一体型ビジネスが進展、スマートシティの普及拡大、分野横断型スーパーシティの実現の3つに着眼しました。これらを実現するために、ケーブル業界の地域DXサービス構築支援事業を行うことを表明しました(図2参照)。
図2.JCC/BBTowerが共同で進める地域DXセンター事業
〇テクノロジーロードマップ
いくつかの構成要素から、クラウド、エッジ、コアネットワーク、アクセスネットワーク、デジタルツインの4つに着目し、当社グループは、ケーブル業界の新通信システム(ローカル5G)の構築支援と地域IX(インターネット・エクスチェンジ、異なるISP間の相互接続拠点)、MEC(モバイル・エッジコンピューティング)センターの構築支援を行うことを表明しました。
4.2030年に向けた事業環境の見通し
何もしなければ、放送サービスは 10年で4割強減(米国事例並み)ということに対して、当社グループは、地域DX産業(地域DXセンター)創出支援事業を行うことで、業界の成長に貢献したいと述べました。
5.2030年のケーブルテレビが担うべきミッションと目指すべき姿
『地域DXで地域を豊かに、人々を笑顔に』をミッションとし、目指すべき姿として、6つのアプローチ(放送、コンテンツ、ネットワーク、ワイヤレス、ID、サービス・ビジネス)において、各々以下の6つのアプローチを標榜していますが、JCC/BBTowerは、以下の面で技術支援をすることを表明しました。
〇放送が変わる⇒地域における情報メディア・プラットフォームになる
本アプローチについては、図3.にJCCが考えるケーブルテレビ業界の新放送サービスインフラについて示します。
図3.JCCが提供するケーブルテレビ業界の新放送サービスインフラ
〇コンテンツが変わる⇒地域の魅力を創出するコンテンツプロデューサーになる
本アプローチについては、当社グループが、これまでの地域コンテンツ制作の実績と地域メディア配信センターの構築によって技術支援すると述べました。
〇ネットワークが変わる⇒安全で信頼性の高い地域NO.1ネットワークを構築する
本アプローチについては、CATV局舎有効活用、サイバーセキュリティ強化の面で技術支援すると述べました。
〇ワイヤレスが変わる⇒地域MNOとして第5のモバイルキャリアを目指す
本アプローチについては、ローカル5Gシステムやエッジデータセンターの構築に関して技術支援すると述べました。
〇IDが変わる⇒ケーブルIDで地域経済圏を構築する
本アプローチについては、ケーブルIDの2030年1000万ID発行へ向けてEコマースインフラ構築などについて技術支援すると述べました。
〇サービス・ビジネスが変わる⇒地域DXの担い手になる
本アプローチについては、CATV局に対して、地域DXセンター構築に関して、技術支援すると述べました。
6. 2030年に向けたアクションプラン
7. 2030ケーブルビジョンの実現に向けて業界が変わる!
8.2030年への飛翔
これら第6~8章のテーマについて、当社グループは、第1から5章について、具体的に述べたように、放送技術のJCCとインターネット技術のBBTowerとの連携によって、全力で2030ケーブルビジョンに記された1.3兆円市場から1.7兆円市場への成長へ向け、当社グループの総力をあげて取り組みたいと述べさせて頂きました。
●おわりに
初めての試みであったJCCウェビナーには、約150社、約180名の視聴者に聴いて頂き、大変有意義であったというアンケート結果を頂くことができました。BBTower/JCCは、一体となって業界発展のために貢献したいと考えております。
2021年7月28日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋


