【DTM】モダンメタルのベースの音作り | しわすはやさブログ(DTM,ギター,音楽,作曲)

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ロックやメタルの曲ならベースの音も歪ませてヘビーで激しいサウンドに一役買いたいですが、どうしてもベースの音は曲の中で目立たないので、音源を聞いただけだとベース単体でどういう音が出ていれば良いのかよくわからないものです。自分もなんとなく適当に作っていたものの、いいのかどうかもよくわかっていませんでしたが、Adam Nolly Getgood氏の解説をみてようやく激しいベースサウンドのうまい作り方がわかり、ポイントが見えたので解説したいと思います!

激しいベースサウンドのポイント

最初に書きますがポイントは下記です!

  • 歪ませるのは中音域〜高音だけ
  • 低音はひずみなし
  • ダイレクト音とアンプサウンドを混ぜる→ミックス音をキャビネットシミュレータに

特に上二つが最も大きいです。ここに関してはドラムもギターも考え方は同様で、ヘビーなサウンドこそ低音の歪みは控えめか、ともすれば歪まないほうが良いということです。逆だと(低音を歪ませる)思ってましたけども。

How to make モダンメタルベースサウンド動画

激しいひずみのモダンメタルサウンドの参考サウンドの音源を作って見ました。動画内でも解説があります。

 

 

激しいモダンメタルベースサウンドの作り方

録音

まずはベースを録音します。録音に関しては「ベースアンプサウンド」をどうするか、で方法自体は変わって来ると思います。

ハード(実機)のアンプを使う場合

ベース→ダイレクトボックス→アンプと接続して、アンプのラインアウトとDI出力の生のベース音を両方同時録音するのが良いと思います。

プラグインのベースアンプシミュレータを使う場合

ベースをオーディオインターフェイスに直結でもいいと思います。わたしはダイレクトボックスを経由して録音しました。この場合はチャンネルをコピーしてドライブ音用とアンプサウンド用で2つ作ります。

ベースのバストラックを作る

ベースのバストラック(Cubaseだとグループチャンネルといいますね)を作成してダイレクト音とアンプサウンドをバストラックに出力します。
こんな感じですね。

DI チャンネルの音作り

ノイズゲートとコンプ

まずはノイズゲートをかけて、余計なノイズを消してからコンプでアタックを整えます。ここではゲートは反応は早くしますが、自然に聞こえるレベルのゲーティングにします。コンプはプラグイン自体はなんでもいいと思いますが、アタックタイムを短くできるものが良いと思います。下記は自分の設定です。
コンプ設定:アタック=0.5msec、リリース75-100msecくらい、AutoでもOK。レシオ=4:1くらい
鳴らして見て、ゲインリダクションが最大6dBくらいまでになるように入力レベルやスレッショルド調整する感じが良いと思います。

中高域だけを歪ませる

このチャンネルの肝の部分です。ここで活躍するのが「マルチバンドディストーション系プラグイン」です。おそらくですが、ハードのエフェクターやアンプでほとんどないのがこれです。プラグインだと結構あるんですけどね。今回自分が動画中で使用したのは下記になります。
  • Melda Production / MDistortionMB
  • Fabfilter Saturn2

このディストーションのところでは大体270Hz〜300Hzあたりをクロスポイントにして、Mid~Highを歪ませます。歪みはかなり多くて良いです。歪み音自体にもEQで中低域を落とす&高音を強調すると良いと思います。

250Hz以下の周波数帯域は歪みなしにするのが重要です。かなり中高域の歪みが目立つ音ですが、それくらいでちょうど良いです。

そしてディストーション音には「ゲートをかなりハードにかける」のがもう一つのポイントになります。ミュートするごとにブツブツ途切れるくらいがちょうどいいです。ピックの刻みがかなり鮮明になる上、フレーズの止めるポイントが強調されてタイトな演奏の音になります。

「ガンガン歪ませてゲートで切る」という、邪道というか抵抗感を覚える方が多そうなポイントですが、サウンドは間違いなく良くなると思います。

普通のディストーションで作る場合

マルチバンドディストーションを使わない場合はこのDIチャンネルをさらにコピーして

  1. 低域中心のクリアなDIチャンネル
  2. 中〜高域だけの歪ませたチャンネル

を作ればOKです。中高域を歪ませるのでいわゆるベース用ディストーションよりもギター用の方が向いているような気がします。自分は今回RATのシミュレートペダルを使ってみましたが、なかなかよかったです。ファズっぽい歪みの方が合うかも。

アンプチャンネル

アンプチャンネルは低音の厚みを増す目的なので音作り自体は普通にドンシャリくらいで良いと思います。ただこのチャンネルではキャビネットシミュレータは通さずアンプ出力そのままの音にします。歪ませないようにするのが良いと思います。

ベースバストラック

DIチャンネルとアンプチャンネルをバストラックにまとめて音を完成させます。ここではキャビネットシミュレータとEQで音を作り込みます。

キャビネットシミュレータは基本なんでも良いと思います。AmpegのSVT 4X10キャビネットなどが、定番の重いサウンで良いですね。EQでは下記のようなあたりを基本に調整すると良いかなと。

  • 250Hzあたりを広くがっつり落とす。
  • 50Hzあたりを少しあげて、70~150Hzくらいの音のレベルが同じくらいになるように調整する
  • 高域がキンキンするようであれば、ピークを探して鋭いフィルタで落とす

あとはドラムなど全体の音を聞きながら、各チャンネルの音量バランスや、最終のEQを調整すれば良いです。「ベースの担う帯域以外は全く音が出ないレベルでかなり激しくEQかける」みたいな解説を見ますが、そこまでやってしまうと迫力がなくなったりアタックか出なかったりと、あまりいい効果はない気がします。ある程度他の楽器と被りながらの方が、厚みもアタックも良い感じになるかなと。特にキックとベースはある程度音域を重ね、曲全体としてマルチバンドコンプやダイナミックEQなどで必要に応じて低音を落とす方が良いと思います。

まとめ

かなり歪んでいるのですが低音がクリアなので重く、音程もしっかりしたベースサウンドになると思います。この方法であれば、ただのディストーションをかけたベースサウンドにありがちな低音が聞こえにくかったり、アタックが聞こえなくなったりと言ったことことがないです。メタルは当然ながら、少しひずみを少なめにしてロック系のサウンドでもいい感じの音が作れるのではと思います!

番外編① Neural DSP Parallax

ちょっと他の方法とは違いますが、似たような方法をとっている単体プラグインがNeural DSPのParallaxです。
Parallaxは
  • 低音は歪みはなくコンプのみ
  • 中域と高域にそれぞれ歪み設定がある
  • 低域〜高域をまとめてEQ&キャビネットシミュレータ

というように方法はまさにNollyの手段そのものです。それを一つのプラグインの中でこなせるという、まさにモダンベース作りに最適と言えます。なかなか図太いサウンドで良いです!

キャビネットシミュレータもいつものNeural DSP通り充実しています。また、Ver2.0にアップデートされたことで、「重すぎ」という評判だった動作がかなり改善されているのではと思います。ただ、中域の周波数が固定な点がちょっと残念ですね。高域の周波数をうまいこといじりながらいい音を探す必要があり、設定はそんなに簡単ではないかな、という気がします。

番外編② プラグインの比較、紹介

今回、図らずもいくつかのプラグインを比較できたので簡単にレビューしたいと思います。

コンプレッサー

Cubase付属Compressor

正直な話、「なんか大体はこれでよかったんじゃないか?」と思えたくらい一周回って良い感があります。たまに同様のレビュー見ますが、マジです。各パラメータの対応幅が広く、頭を削るコンプから、遅くゆるくかかるコンプまで問題なく設定できます。結構音も自然な感じゃないでしょうか。ベースのようにある程度音質変化をしてほしいものには特に向いているような気がしました。

Melda Production MTurboCompLE

去年のPlugin BoutiqueのBFセール時に無料だったので入れたプラグインでしたが、これが非常に良くてだいたい使っています。とにかくいろんな定番コンプのプリセットがあり、非常に面白いです。結構音が変わるんですよねやっぱり。そして動作も軽いです。最近更新されたみたいですがUI がダサくて不評なようですがまぁ許容範囲かなと。自分のはライトエディションなのですが、上位版のMTurnboCompはコンプの動き方自体のエディットもできるようで。。。もはや設計者レベルのプラグインです。ちょいちょい半額セールになるので安くなったときであればかなりのコスパだと思います。おすすめです。

GGD Smash&Grab

別でレビューしましたが、もともと「ドラム用」と銘打ってはいるものの、全パラメータが普通に設定できるPROモードで使用するとかなり良いです。当然ベースも良いです。しっかり圧縮されますが、音が自然なコンプです。少しここでサチュレーションを付加すると若干の厚みが出ていい感じになります。

マルチバンドディストーション

Melda Production MDistortionMB

あまりレビューを見かけないのですが、非常に高性能で良いと思います。設定できるパラメーターがあまりにも多く、なんだかよくわからないものも多い気がします。ひずみの種類や周波数帯域のクロスオーバーの減衰率はもちろんのこと、MS処理やひずみのトランジェントの設定、AGC,リミッターなど、逆にできないことは何だろう?というくらいです。普通にギターに使って見ても面白いかもしれませんね。

Fabfilter Saturn2

Saturn2はディストーション〜サチュレーションまでカバー範囲の広いマルチバンドプラグインです。とにかくわかりやすく使いやすい、音が良い流石のFabfilter製です。MDistortionMBはあくまでディストーションなのでサチュレーターとして使うには歪みすぎなのですが、Satrun2は歪み関係を全てカバーできます。相当用途が広いと思います。そして各歪みにモジュレーションもかけられると。EDMなどドラムなどに使うデモもありました。モジュレーションを使うと結構CPUを食いますね。
MDistortionMBもSaturn2も機能的な差分はそこまでない気がしますが、MDistortionMBの方が破壊的なディストーションが得意でSatrun2は幅広く使える汎用性が特徴に思います。どちらも良いプラグインだと思います。